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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第3章 涙の20.3cm連装砲

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第38話 キャンプ地


 訓練艦 香取。正式名称は香取型練習巡洋艦香取。訓練施設に所属しているためか訓練艦と呼ばれていた。


そのために訓練艦香取として行政に登録されて運用している。細かいことを言うやつもいるが訓練に使っているんだからと押し通されて今に至っている。


ファンティアを含む地域で艦船に関わる者、ハンターになる者、都市の外で働く者、軍関係者は必ず香取の世話になると言われており、訓練艦香取は香取先生と敬われ愛されている。


全長133.5m、最大幅16.7m、主機 艦本式2段粒子反応機関2基 艦本式22号10形粒子融合炉2基、粒子発生機関ホ号艦本式粒子融合炉、移動形式4脚歩行、出力8000脚力、速力29.6km/h。


兵装 50口径14cm砲 連装2基4門、12.7cm連装高角砲1基2門、25mm連装機銃2基4挺、5cm礼砲4門、6年式連装パンジャンドラム発射装置2基4門、呉式2号5形グレートパンジャンドラム射出機1基


その他、車両格納庫、船尾乗降車装置、機械人形整備装置、訓練機獣制御装置、機獣格納庫、VR艦船関連訓練施設、あとは省略。ほとんど推測情報で謎技術や不明な単語は多いけれど、そこはロマン成分。


「そそるなぁ! それにしても主砲……かっこうぃぃなぁ!! 艦橋もシュッとして上品なのにドーンと勇ましい!! 後部なんて機能美に溢れているなぁ!!」


「ムサシ?? 香取のこと、そんなに気に入ったの?」


「なんだよ? ナギ。やっと軍艦に乗れたんだ。心の声が漏れたって仕方がないじゃないか? 僕はね。とても興奮しているのだよ」


「気持ちは理解できる。それより……ムサシ。こういう隙間時間にはバディと親睦を深めることに使うべきと思うのだが?」


「クリス。正論すぎて反論の余地がございません」


「気にしなくていい。ムサシのはしゃぎっぷりは弟たちを見ているようで和む。好きなだけ盛り上がって欲しい。こちらは見ていて楽しい」


「ムサシ……アーニャの方が大人だよ? しっかりしているね。アーニャ」


「ナギ。私は背は低いが私は戦士になりに来た。そう扱って欲しい」


「アーニャ。君があまりに愛らしいもので。すまなかった」


「何をイケてるボイスで返してるんだよ。ナギめ」


「ムサシが正気に戻った。ほら仲良くするんだよ」


「了解です、ナギ。アーニャ、ごめんな。船が好きなもので、ついな。それにしても兄弟がいるんだな」


「年上の姉が1人、あと弟と妹が沢山いる」


両親の事を言わないということは何かあったんだろう。こんなに年端も行かない子が過酷な稼業に手を出そうっていうんだ。なにか事情があるんだろうな……可哀想に。立派だよ、アーニャ。


「血は繋がっていないんだけど仲が良いんだ。今は姉が面倒を見ていてね。私が稼いで皆でファンティアに移住するんだ」


「そうなのか。ん? ファンティア? ファンティアだって? そっから来たんだよ、俺たち」


アーニャの表情が微妙に変わる。興味を惹かれたらしい。


「そうなのか? あの街は安全か? 住みやすいか? 教えて欲しい」


「安全だと思う……ごめんな。なんせ、俺。こちらに来てから日が浅いもんで。ナギ、クリス、教えてあげて」


「ナギ、貴方は開拓街やら洞窟都市やら出張で来てるでしょ、違いがわかるんじゃない? 」


「そうだね。クリスよりは知ってるかな? 洞窟……マルクランよりは格段に安全じゃないかな? お天道様システムも内郭街なんか充実してるからね。外郭街もある程度は安全かな? 」


「もっと、もっと教えて欲しい」


興奮するアーニャに押され気味のナギであったが丁寧に説明していた。


取り残された俺は聞き慣れない単語が気になっていた。


「クリス、なんか知らない単語があったんだけど教えてくれるかな」


「ん? どのことかな?」


「マルクランってのがわからない。あとお天道様システムも」


「マルクランってのは洞窟都市の事だ。通称で洞窟都市って言っている。端末に情報があるはずだが?」


「ごめん、見逃してた。戦闘とか敵の事とかを重点にやってたもんで……じゃぁ? もしかして列車を降りた駅のある街? あそこにも名前が?」


「うむ。あそこは開拓前線街キバルハラと言う。訓練後のお楽しみが待っている素敵な街だ」


「キバルハラ? 妙に北欧の戦士が戦い続ける様な名前だな……そしてどこかイントネーションが日本っぽい気がするのは気のせいだろうか?」


「ふむ……興味深い話だ。ムサシ、詳しく聞きたい」


なにかクリスの琴線に触れたらしい研究者のちが騒いでいる。そう言えばクリスは文化面も好きだったよね。


「ヴァルハラってヴァルを強く言うだろ? 俺の知っている街にアキハバラってのがあるんだけどさ。なんとなく似てない?」


「ヴァル、ルの音の遠方が違う気がするのだが。アキハバラ、キバルハラ、アキバハラ、アキヴァルハラ、ヴァルハラ、キバルハラ……濁っている部分が気にならなくもないが? ムサシの気のせいでは?」


「そうかな? 言われてみればそんな気もする。両方とも血みどろの戦いをしているイメージがあるからかな? ん? そう言え戦場はビックな国際展示場だった? いやまて? レア商品争奪の激戦区という意味ではそれ程間違っていない気がする。 わかんなくなってきた? ごめん。クリス。俺、何が言いたいかわからなくなってきた」


「ふむ。では次はお天道様システムについて教えよう。正式名称は色々諸説あるのだがな。お天道様が見ているシステム、早い話がありとあらゆる場所に設置された監視カメラ、移動カメラ、個人が身に着けているカメラ等による映像記録機器群による監視システムだ。元はハンターの評価をする為に装備義務があったゴーグルカメラや極小カメラ装備を参考としていてだな。端末の情報になかったかな? 艦船、建物、プライベートな空間等、ファンティアの影響下に存在している。身近な物では装備品かな。特にゴーグルやバックパック、衣類なんかにも付いている。この地方にもあるがファンティア程の性能は持っていない。AIによる犯罪抑制システムと機械人形との連携で市民の平和が守られている。軍警の仕事がなくなるくらいにな。リアルタイム分析や犯罪予測に抑制など至れり尽くせりだ。何かしでかせば賞金首になりバウンティハンターに追いかけ回される。それでも捕まらなければ軍警が意地になって追い詰める。考えてみろ殺人でも犯したとする。何処へ逃げてもハンターが探しに来る。追い返したとして次は軍だ。街中ならまだ良い、追跡者も建物や施設を壊したくないから、せいぜい特殊部隊突入レベルで済む。運が良ければ生きれる。たまに凶悪犯が旨いこと逃げ出せて荒野の遺跡やアジトになんか隠れる事もあるが。面子を潰された連中が血眼になって捜索して、地の果てまで追いかけてだ。軍艦と車を遠慮なく使ってブチ転がしに来る。それも機械人形なんかで丁寧に確認されたら、もう終わりだ。演習目標にされて艦砲射撃の的だ。軍の暇な時だけれどコスト度外視で来るからな、何がそこまで駆り立てるのか……平和を愛するが故なのか。そこまでするから安全な生活が保たれていると都市広報が言っているがな。まあ、それだけでは無いと私は思うのだが……それらシステムと関わる人間たちの努力、市長らの政策やお役所の仕事ぶりによる平和もあって、ファンティアが想像以上に治安が良いのだ」


「凄いもんだな。オーバーテクノロジーってやつもあるけど、人が作り上げた努力の結晶なんだなってのは理解した。そしてクリスの圧が凄い」


「まぁ、そうだな。機能を使いこなすのは人間だ。細かい仕様を決めて運用してきたのは歴代ファンティアの住民が有効活用しているからだ。こんなシステムは使い方を間違えれば監視社会のデストピアが出来てしまうもんだ。本当に上手に運用している。ちょうど良いゆるさで程よく暖かく見守るシステムとして。お天道様が見てるなんて実にいい表現だと思うの。日本の昔の宗教的な道徳心に基づく倫理を参考にしているというのだが本当だろうか? ムサシ程に親しくなれた元日本人ってのがいなくてな。サラにも聞いてみたがあまり参考にならなかった。分析の仕事でも聞く機会が訪れなかったんだ。で? どうだろうか?」


「お天道様か? そうだな? てんどうさま、太陽神って言ってるのかな? そういう意味ならそうかもしれない。んー? 良い倫理観を持った日本人の感覚であったのかも知れない。悪いことをしたら罰が当たるとか。地獄に落ちるとかな? 誰かが見ていなくても太陽が行いを見ているってな。結局は自分自身が見ているから己に恥じない生き方をしろ。こんな感じの性善説から来てる話とかなか? 昔話や文化遺産の記録なんかではそんな感じだったかも知れない。実際はどうなんだろうな? 俺自信は当たり前だと思っている事とかなんだろうけど? 倫理観とか宗教的な文化ってのはそこまで深く考えたことなかったな?」


「ふむ。興味深い。倫理的な文化面の話が知りたい。幼少期に躾けのようなものとかで記憶にあるものはないだろうか?」


「そうだな……そうだな幼稚園の先生に言われたことを思い出したな。人の嫌がることをする」


「人の嫌がることをする? それはつまり相手の足をすくったり? 失敗に漬け込んだり? 傷に塩を塗り込む? という事か?」


「クリス? 日本のことわざや言い回しに詳しいな?」


「文化面の分析官でもあったからな」


「確かにそういうふうにも取れるな。でも違うんだ。俺の解釈はな。人の嫌がる仕事や面倒事を引き受けたり、変わったりってやつかな? 奉仕の心を持った人とか高潔な人とか? 上品な人って言うのかな? 尊敬されるような? まぁ、善い行いをするって話」


「なるほど……実に興味深い……では……」


俺たちはそんな事を話しながら船に揺られていた。


語っていたのは俺のグループぐらいだった。


他の訓練生はげんなりしていた。訓練生は甲板で安全帯をベルトにくくりつけられ輸送されていた。


甲板で揺られていることが憂鬱な原因ではなかった。彼らは次の訓練が過酷であることを知っているかのようであった。


やがて湖畔にたどり着き停止した。


それなりに大きな湖があることに、綺麗な砂浜があることに驚いた。なんだ水が豊富にあるじゃないか。あるところにはあるんだなと少しホッとした。


下船の指示を受けて船から降りて、少し離れた所に集合した。


「イサム監督からお言葉がある。注目!!」


「ここーぉ、キャンプ地とする」


「これより、4人組を班としてチームを組む。そして、テントを作ってもらう。訓練の間の寝床だ。あまり水辺にはテントを建てるなよ。資材はコレだ。トイレは香取の設備を利用しろ、シャワーは寝る前だけだ。わかったら、各班で準備しろ」


アミが言うと船からクレーンで資材が降ろされてきた。そして、柱とそれに小さな鐘を設置したら鐘を1回鳴らした。


高い音が響き渡る。


「心が折れたやつ、我慢ができなくなったやつはこの鐘を鳴らせ。脱落の鐘だ。どうだ? 親切だろう? 鳴らすやつはいないんだろうがな?」


それを合図にチームごとに資材を受け取りテントを組み上げてゆく。


辺りは少しずつ暗くなり始める。しかし、訓練艦香取からライトアップされ作業は続けられた。


周辺には哨戒用のメイドなのか、アサルトライフルを持ったメイドが幾人も立っていた。


訓練生は各チームごとに設営を進めていた。まごつく班、手際の良い班、それぞれであった。


やがて、俺たちはテントを組み上げることができた。軍用の濃い緑のA型テントが組み上がった。


スカウト的なクラブに所属してある程度の知識があった。ついでにキャンプ好きだった事もあり迅速的確に作業を進めることができた。そんな記憶があった。なんとなく覚えてるレベルだけど。


「ムサシ訓練生。なかなか手際が良いな。最初に石をどけて平らな場所を作る。幾つかの大きな木がある場所を選んだ。なぜだ?」


「アミ? んっと、サー!! 風が強いときにロープで補強しようかと。落雷対策は香取が避雷針替わりになるかと思いました。そして朝の日光でテントが蒸し暑くならないようにしてみました。サー!」


「作業を続けろ!」


「サーイエッサー!!」


うっかりアミと答えてしまった。今は教官であるから気をつけなければ。


アミは他の訓練生を見て回った。中にはろくにテントを建てられずに怒鳴りつけられているものもいた。


創意工夫を凝らせ、頭を使ってだ!! そうアミは厳しくしていた。


厳しいが時には具体的な指示や実際に作業を行いコツを訓練生に教えていた。


イサム監督は甲板から俺たちの動きを眺めていた。葉巻を吸っていた。


「設営が済んだ班から食事だ。メイドから受け取れ!! しっかりと食え!!」


アミ教官からありがたい指示を受ける。


食事だ。テントを張り終えた俺たちは受け取りに行く。空腹に食事の喜びを携えて資材をおろしているメイドに近づく。


期待は消えた。無味無臭の携行固形食料エネルギーフレンドを渡されたからだ。しかし、小さな幸せを見つけた。紅茶が支給されたからだ。焚き火台にシングルバーナー、金属製のカップにケトルも支給された。


「キャンピングセットはちょっとしたご褒美だ。さっさと食って焚き火で見てろ。水は資材置き場に、トイレは艦内施設を使え。明日は早いぞ! シャワーを浴びて早めに寝ろ。以上だ」


そう言うとアミはテント設営でまごついている連中を見つけて厳しい指導を行う。メイドたちが遅い連中をサポートしていた。


俺たちは火をおこして湯を沸かし食事の準備をした。


献立は味も匂いもしないエネルギーフレンドだった。それをモシャモシシャ食う。旨くもなんとも無い。実に虚しい。


だが、紅茶がとてつもなく美味かった。香りがよくて、とても優雅な時間を過ごせた。俺たちは火を囲んで団欒していた。


「さっき聞いてきたけど湖は酸性が強くて生物はあまりいないんだって。飲めるようなレベルらしいけどね。あと敵性体も香取がいるから寄ってこないから安心しろって」


「じゃぁ、なんでメイドが警戒しているんだ? シャワー代わりに湖に入って溺れたやつがいたらしい」


「どこの馬鹿だ?」


「毎回出るらしくて、メイドが警戒するようになったみたい」


「シャワーが寝る前だけだから気持ちはわかる」


「そうね」


「あっそれわかっるー」


「うん」


「まぁな」


「じゃ、シャワーと行きますか?」


「男女別になってるって、残念だね? ムサシ? 軍事訓練では男女平等に扱われる事もあるんだけどね」


「はー? 残念とかないしー? はー? 見るんなら同意の上で堂々とひん剥いて見るしー? なぁにを言ってるかなー? ナギはー?」


「イチャついてないでシャワー行わよ、ナギ」


「はいよー、クリス」


俺たちはシャワーを浴びた。香取から降りる頃には夜の闇に2重の月灯が照らされてキャンプとしては実に雰囲気があって大変よろしい感じになっていた。

しばらく焚き火にあたっていた。


しかし、俺たちは訓練で疲れていた。アーニャが眠そうにしていたのでとっとと寝て明日に備えることにした。


資材の中にあった寝袋を用意してテントの中に配置した。


こっこれは? 俺も一緒に寝てよいのか? 美女美少女と同じ空間で寝てもよいのか? そうだよな? なんのやましい事はない。軍事訓練には男女関係なく兵士として同等に扱われる。


そういうもんだよな? それじゃぁ仕方がない。うんうん。あーんなことやそーぉーんな事が起こってもラッキーな事故だな。うんうん。仕方がない仕方がない。


そんな俺のやましい心を察したのかナギとクリスは寝床の仕切りを始めた。


「テントの出入り口に並べてっと。ムサシは端っことして、アーニャを反対側の端っこにしようか? アタシは寝相が悪いかもだし? クリス、どう?」


ナギが指示を出していた。外に出る時に誰かを踏まないようにA形テントの出入り口に頭と足がくるように寝袋を並べてる。


「そうだな。アーニャはムサシにまだ慣れていないだろうから離しておこう。ムサシ良いな?」


クリスがナギの提案を受けている。


いくらなんでも年端もいかない可憐な少女に見えるアーニャにそんな邪な心を抱きませんことよ? 俺の倫理観は平常運行ですよ? そう思うと頭にキタ。


「俺のバディをなぜ離す? 何だというのだ? 同じ仲間じゃないか? 他意はないぞ? 寝ようじゃないか? なんだその疑う目は? ナギ? おい? なんか言いたそうだな? おい?」


「アーニャは眠い。俺も眠い。皆、眠いだろう? さんざん走らされて疲れているんだ僕たちは!! そして同じバディとして一緒に並んで寝て何が悪い? なんなんですか? どのみち同じ空間で寝るんでしょう? なにか問題でもあるんですか?」


「よーし、ムサシ? 腹を割って話そう?」


「ナギ? 何を話したいのか? 腹を割って話そう? 違うだろう? 問題はソコじゃァない! 散々走って疲れてる。やっと寝れる。ボカァね、テント設営で珍しく活躍できた張り切っちゃったよ? ご飯も終わってさぁ寝ようとした。寝ようとした。僕はわだかまりも、やましい気持ちも何もない。バディに気をかけて寝ようとしただけだ? それを何だ君は? もぅ良い時間だぞ? 何を話すっていうんだい?」


「あーわかったわかった。ムサシには邪な気持ちはないとそうおっしゃるんですね? ふーん? クリスさんどうでしょうか?」


「ムサシ? すまない……君が我々をどう見ているかはすでに気がついている。それはしかたがない。体は立派でも君は思春期、真っ盛りの若い男子だ。私たちも自分の容姿がどのような評価を受けているかも理解しているつもりだ。それを君がどのように見ているか? 君が何に興味を持つか? 私たちはすでに知っている。わかったかな? じゃぁアーニャは反対側に」


「ウェイウェイウィ! 僕がこれまでにどう君たちに接していたか? 真摯に接していただろう? それをなんだい? 僕は寝かしてくれって言っているだけなんだ? 僕たちは朝早く起きるんだろう? 疲れているんだ? それをなんだ? 急に? 僕が何かをするというのかね? だいたい、なんだい? 腹を割って話そうって? 何を言っているんだ? 全く違うだろう?」


「寝れるんだからいいじゃない? 別にテントから出ていけっていってるわけじゃないんだし? ね? ムサシ? さぁ端っこに!!」


「違うだろぅ? これは僕の精神性に関わる問題になってしまった……何度も言うけれども。僕はバディはバディ同士で寝るべきと思うんだな? それに明日の早朝にィ!! 訓練に備えてだ!! ボカァ、早朝に準備をしようと思っている。だから、大人しく寝てしまおうと思っている。それをなんだい? おぃそこ? なんで爆笑している? ナギィ?」


「バハハハハハッ。プックックック。何必死になっているの? なに怒っているの? ムサシ?」


ナギが俺を指差して爆笑していた。


カチン! 何か心の中で音がした。


「バカヤロゥ!! 寝るって言っているんだよ? そもそも腹を割って話そうって言ったやつが意味不明なんだよ! なぜにバディとの距離を離したい!! おかしいでしょう? 物理的な距離が近いほど人と人は仲が良くなるっていうじゃないか? それをなんだい? よってたかって離そうとして!! ボカァネ? こんな問答をしてないでさっさと寝かしてくれって言ってるわけですよ!」


「眠い」アーニャが端っこで丸くなりだした。


少し時間が立つ。


「皆さんは明日早朝に起きなければなりません。もうひとついいましょう? 僕は走り疲れて具合が悪くなってきたんだ!! 眠たいんだ!! なのに? ナギは爆笑して僕に。まだ僕と腹を割って話そうっとしているんですよ! この状況を? 僕の尊厳を? どー思いますか?」


「あたしが言いたいのは明日速く起きるんでしょ? さっさと寝なきゃいけないんでしょ? その確認をしているですよ?」


「うんうんうんうん、そ-そうかいそうかい? ナギサン? それならそう言ってくれれば良いんだよ? 何も腹を割って話そうって息巻いて言わなくても良いんですよ?」


「改めてね? ムサシに早朝ね? 起きれるようにってね? 配慮しているんですよ? 寝過ごさないようにね?」


「そーですよ? うんうんうん、うーん。そーですね」


「でね? ムサシ君がね? なんかね。あたしと腹を割って話そうって」


「違うだろぉ!! 全く違うだろぅ?」


10分経過


「良いかい? ある女がだな。早朝に起きなければならない男だ、その男は。夜もいい時間だ。ある女がだ。寝ようとしている所に邪悪な精神を持った男がいるから少女をそばに置けないって言うんだ? ししてそいつが腹を割って話そうと言うんだ? そいつにおい寝ろ!! 寝かせろと言っているんだ? 俺にはやましい気持ちなんて無いからバディと寝転んで寝かせろと言っているんだ? バディと一緒に並んで寝る。なんの不思議もない!!」


「だからね。ムサシ君がやましい気持ちを抱いていないってね……」


「う~ん?」


さらに5分後


「あぁ? ワカリマシタ僕は早朝起きるんですよね? 僕は? おぅおぅ、こんな時間になっちゃった。わかりましたよぅ。ということは早く寝なきゃならない。これはいけませんね。コレは申し訳ありませんでしたぁ」


「早く寝なさいっていいに来たんですよ? あたしは? イタズラし過ぎたよ、ゴメンね」


「あなた方が心配していることがやっとわかりましたぁ」


「眠い……」


今度はクリスがは眠たげで限界が来ているようだった。そそくさと寝袋に潜り込んで行った。


「アーニャが端で、その隣がクリスで……フフフ」


ナギが不敵な笑みを浮かべている。


「美女二人でサンドイッチにしてあげようか? ん? ん?」


イッラァ!! なんなのさこの子は? こっちは意地になってるのだ!! 男の尊厳を!! 俺の紳士スピリッツをコケにしたのだ!! ソコんとこを理解しているのかコイツは? 俺はなぜこんなに頭にきているのか自分でもわからなくなってきた。


「いいさ!! 君たちの提案のように、ボカァ端っこで寝るさ!! あぁ、寝ようさ。何も文句はないさ」


「よーしよしよし。落ち着くのよ、ムサシ? どーどーどー」


俺はそう言って端の寝袋にくるまって横になった。


「ごめんて。ムサシ。あっそうそう。アタシ、寝相が悪いかもしれないから。そんときはごめんね?」


「もぅ、わかったから寝ようぜ? おやすみ」


「オヤスミ、ケダモノ」


カチン!! 


「ンナァーギィー?」


「冗談冗談、ゴメンって、ちょっとムキになってるムサシが可愛くて。プププ。ほらアーニャもクリスも寝てるからね? 寝よ?」


「オーヤスミ!! ナギ!!」


なんだよぅ、そんなにイジること無いじゃマイカ? からかうだけからかってさ、悔しい!! いたいけな思春期の青年をさ? 


あーもー寝よう寝よう!! 明日は早いんだしな!! 寝てやる! ふて寝してやる! 


あ……ん……それからぁッ!! メッチャいい匂いするんですけど? このテントの中? 柑橘系? 果物系? 微かに甘いような? あーもぅいい匂いだなコンチキショウ!! 余計に腹が立つ!!


そんな事を思いながら悶々としていたが疲れていたので俺はスグに意識を失うことが出来た。めでたしめでたし。




そんなめでたくとはいかなかった。浅い眠りに着いた頃に突然の発砲音。銃声と警報音、笛の音が鳴り響く。射撃音が連続で鳴り響く。訓練生は混乱状態で飛び起きる。深夜であるはずだ。周囲はまだ暗い。


「起きろ!! 集合!! バディはどこだ? 確認しろ!!」


訓練生は集合する。チームでお互いにバディを確認する。


「水浴びだ!! プールに飛び込め!! もたもたするな。ムーブ!! ムーブ!! ムーブ!!」


そして集合次第に用意されている腰の高さくらいはあるビニールプールに訓練生を飛び込ませる。


プールから出たものには腕立て伏せや筋肉トレーニングをさせている。筋トレの最中にホースで水をぶっかけられる。


寝起きに虐められて惨めな思いをする。


「大人しく寝られると思ったか? マヌケめ!! 敵は甘くないぞ? 動きを止めるな!! 子供用プールに飛び込め!!」


訓練生は混乱状態の中で命令に従い動く。


夜は冷える、凍えそうだ。水が風で冷たくなり震えが出る。


「強化体、サイボーグ、機械体だろうが既に強制的に調整をしている。負荷は平等に訪れる。香取には特殊なOT技術がある。嬉しかろう! 再トレーニングだ。お前はよつんバインで地を這え、獣になって歩け。そこのお前はバディを担ぎ上げて歩け!! ムサシ! お前もだバディを担げ!! 動けば熱が出る。そら筋肉を動かせ」


「アーニャ? いいかい?」


「あぁ、よろしく頼む」


俺はアーニャをお姫様抱っこした。彼女は満更でもない感じである。くぁわぅぃぃ。


「バカヤロウ!! お姫様抱っこじゃない!! お米様抱っこだ!! バカヤロウ? 肩で担ぐんだ!!」 


「ん? どうやるんだ?」


俺はアーニャと目を合わせる。彼女はフルフルと首を振っていた。知らんわな。俺も知らん。


「そこの奴!! 馬鹿かお前は? 誰がバックブリーカーしろって言った。こうやるんだ!!」


アミはそう言うと大男を肩で担いだ。相手の胸を自分の肩で支えて担ぎ上げる。


あぁ、重い袋を運ぶ時にやるやつか!! 


「アーニャ? やるよ?」


「ん」


アーニャを担ぎ上げる。彼女の体温を感じる。あぁ、暖かい!! そして彼女の胸を己の肩で感じる。全神経集中!! 違うそうじゃない!! 誰が邪で淫らなスイッチを入れろと。俺は紳士である。そして、これは訓練である。触っちゃったけどノースケベ!! ノーロリコン!! 俺はそう心で呟いた。


一方、担がれたアーニャは不満そうにしていた。


「これはロマンがない……荷物か私は?」


そんな事をよそにアミ教官は動き回る訓練生にホースで水をかけながら告げる。


「不確定要素はいくらでも遭遇する。それが恐怖を戸惑いを生み出す。恐怖は選択の問題だ。戸惑いは慣れろ。自分で決めろ。逃げ出したい奴は鐘を鳴らせ? 脱落の鐘を!! 鳴らしたやつは殺してやる! 鳴らす前に誰の信頼を裏切るかを考えろ?」


なんつー理不尽な!! でも迷惑をかけるのはバディだ。チームだ。それは誰しもわかっている。


「そうだ! バディだ! チームだ!! これから更なる苦難やひどい目に合う。合わせる。私が憎いだろう? まだ難くないか? 鐘を鳴らしたいやつはいるか?」


「いない!! 鳴らすような弱虫はいない!!」


「誰もいない!! 」


「やめない!! 」


「モガガガガ」


訓練生は次々に叫ぶ。一部ホースでジェット水流を口に放り込まれモガガガしていたやつもいた。


俺的には仲間の信頼ってのもあったがアミの期待も同じ様に裏切ることができなかった。自分の人生の中でコレほど辛くて苦しくて頑張ったことがあっただろうか? そんな事が頭をよぎった。 


「チームで集まれ!! 手をつなげ!! 輪を作れ!!」


訓練生はチームで手を繋いで人のサークルを作る。お互いの目を見る。不思議と寒いが震えがなくなった。体を動かしたこともあるだろう。しかし、体の奥から力が湧いてくる。その精神的な力が体を熱くしていた。


「整列!! 着替えをメイドから取れ、5分で着替えろ!! すぐに行軍する。遅れるやつは湖に叩きこむぞ!!」


夜戦テントが設営され、ある程度のプライバシーを保たれていた。訓練性は着替え次に備える。これから夜通しの行軍が始まる。

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