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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第3章 涙の20.3cm連装砲

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第35話 訓練生 集まる!

 犬たちとの長い休暇は終わった。精神的にも安定して恐怖に怯えることも無くなった。


そして俺たちは事前に連絡があったので訓練の準備をしていた。支給されているダークグリーンの運動服に着替え、指定されていた時間に運動場に集合することとなっていた。


また、アミからはお客様期間は終了したので今後は私を教官として対応してと話があった。具体的にはこれまでのお友達感覚ではなく教官として敬意を払って対応してほしいと言っていた。ついでに挨拶の後に格闘実習を行うので、こないだまでの訓練を思い出して生き残ってねと伝えられた。冷ややかな笑顔が怖かった。


そんなワケで集合場所に移動をしているのだが何やら前方で揉め事があるようだ。なんだか騒がしい。何事かと注意を向けてみると聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「いい加減にしろって!! 鬱陶しい!!」


「貴方たちは訓練に来たのではないのか? 口説くなら酒場にでも行ってするといい」


ナギとクリスが絡まれているようだ。これはいけないと思って彼女たちに近づいた。


「俺たちは仲良くしようぜって言っているだけじゃないか? 穏やかにいこうや?」


そう言ってガタイのいい5人の男たちがナギとクリスを囲んでいた。クリスの肩に手を置いて馴れ馴れしくナンパをしている。


「肩に置いた手をどけて欲しい……痛い目を見るのはイヤだろう?」


「クリス? やっちゃう? やっちゃってもいいよね?」


二人はご機嫌が斜めである。


「俺たちは綺麗どころとお知り合いになりたいだけなんだよ? なぁ? 仲良くしようぜ?」


あきらかに好色の目で見ている。実にスケベったらしい下品な男たちである。そのウチの1番ガタイがいい男がナギの腰に手をやろうとしていた。その時である。ナギの肘鉄が男の腹に突き刺さる。続いてクリスが肩に手を置いていた男の手を捻り上げる。すると男たちの目つきが変わる。


「なんだこのアマ? 優しくすりゃあよ? つけあがって。痛い目を見るのはそっちだ? そら!!」


男が声を荒げてクリスに襲いかかる。捻り上げていた男を突き飛ばし、殴りかかった男へぶつける。ナギは肘鉄でダウンした男をそのままにして次の目標を蹴り飛ばす。クリスも重みのある蹴りでで一撃KOを出している。やりすぎだ……俺は慌てて止めようとしたが躓いてよろけてしまった。結果として彼女たちに突っ込む形となった。


「まだ来るか? この!!」


最初にナギの洗礼があった。振り向きざまにボディブローをもらう。凄く痛い。


「あれ? ムサシ?」


殴った後にムサシはないだろ? ナギさんよ? といっている場合ではない。体勢が崩れてよろけてしまった……目の端にクリスがゆっくりと動いていた。横蹴りが飛んでくるのが見えた。


「シッ!!」


クリスが打撃の呼吸音が聞こえる。とっさにガードをするが重い蹴りの衝撃で吹っ飛ぶ。


「ムサシ?」


クリスが驚いていた。


俺は吹っ飛ばされてはいたが格闘訓練の成果でワザと吹っ飛んで衝撃を殺すことが出来ていた。立ちガードしたまま横へスライド移動する。体ごとふっ飛ばされてはいるが姿勢は維持できていた。


ズサササーと効果音が着くような感じで飛べたことを少し喜んでいた。俺ってば格好良くない? 格闘マンガでよくあるシーンぽくない? と虚勢を張っていた。なぜならばナギのボディブローがきつい感じであった。かなり重いのが入った。


ギリギリ耐えられる感じである。強化人間ゆえ耐えられたのであろう。


なんか自分の体から聞こえちゃいけない打撃音がしていたのはきっと気のせいである。駆け寄ってくるナギとクリスが見えた。


「ムサシ!!」


「大丈夫か?」


俺はなんとなく余裕を見せたくて格好をつけた。体についたホコリを落とす仕草を行い彼女たちに答えた。


「やぁ? ハニーたち? どうしたんだい? やけに機嫌が悪いみたいじゃないか?」


キッザったらしく良い声でサービス満点に言ってみた。ナギとクリスが一瞬驚いた様子ではあったがスグに表情を作り、ニヤリと笑みを浮かべた。


「悪い羽虫が寄ってくるの? 追っ払っていたらダーリンが飛び込んでくるんだもの間違えてボディ入れちゃった? ごめんね!!」


ナギが声を作って言っている。


「急に来るから貴方が悪いんですよ? なにも格闘中に……お戯れを……そういうのは時と場合を考えてください」


クリスが艶かしく言う。


「すまない、すまない。石に躓いてしまってな!! よろけてしまったら突っ込んでしまった!! おかげで良いやつを貰ってしまったよ!! ハッハッハッハッ!!」


こんな感じで茶番は進んだ。伸びている哀れな五人組は機械人形に片付けられていった。そして俺はナギとクリスにもたれかかられていた。クリスがそっと耳打ちする。


「ナンパが激しいから虫よけになって欲しい」


「ムサシ……俺の女に手を出すなとか言ってよ。面倒くさいったらありゃしないんだ」


「フム?」


「ホラはやく。ふ~っ」


ナギが耳にそっと息を吹き込んでくる。


「んおっ!!」ヤメなさいナギ。そういうの慣れてないんだ。


否が応にも注目が集まる。


「あー? コホン!! 俺の女に手を出すやつはまだいるかい? キレイだが。少々危険でね? 綺麗な花にはトゲがあるものでな。怪我をしないように近づかないでもらいたい……死んでも知らんぞ? そもそも女性には紳士的に接するべきだ。花を愛でるように優しく丁寧にな」


良い声で言ってみた。芝居じみてて自分でも少し恥ずかしい。


「40点。イマイチだよ。ムサシ?」 とナギが小声で言う。


「綺麗は兎も角……トゲってのは酷いな? 私はトゲなぞ無いぞ? まったく」


クリスがとどめを刺しに来た。


二人はご不満であった。二人は俺に寄りかかった格好をやめて横に普通に立った。それなりに彼女らも恥ずかしかったらしい。


「しかし……まぁ、目的は達成できたみたいだな」とナギは辺りを見回して言った。


辺りではムサシを称賛するものやナギとクリスに手を出すのはヤバイことを呟いていた。


「あのボディを食らってもピンピンしてら」


「蹴り食らって吹っ飛んでったぜ? すげぇな」


「美人でもあんなに強かったらおっかねぇな」


「どうなってんだ? あのゴリラ?」


辺りはざわついていた。その中に何処かで見た少女がいた。簡単に思い出せる目が綺麗だったアースアイの少女だ。


こんな所になんでいるんだ?そんな事を考えていると。透かした格好の男が近づいてきた。


「おぅ? ヤンのかテメー? いい女を侍らして調子に乗ってんじゃねーよ? あぁ? コラ?」


「やめーや? 所構わずにメンチを切るなや。こら!!」


小太りな男が宥めていた。


「すんませんなぁ? ちょいとな、気が立ってましてな? イラついてますんねん。ほんと!! すんません!!」


ちょろっとまともに見える金髪の調子の良さそうな男が、手をゴメンのジェスチャーをして俺に話しかけてきた。


「お強いでんなぁ? どこかで鳴らしたクチですかい? それにしてもエライべっぴんさんやなぁ?」


調子の良さげなやつは続ける。


「こいつね。発掘船の噂聞いて訓練中だから行けないって言ったら機嫌が悪くしてしまってな。ほんとご迷惑をおかけしました。えろぅすんませんでした」


「おっ? ヤンのかー? てめ? どこ中よ? どこ都市よ? あ? お?」


透かしたやつは当たり散らしていた。


「こら? アル中め!! すんません!! 本当にすんません」


小太りの男が透かしたやつと一緒に謝っていた。


「あぁ、気にしないよ。それより……発掘船って? 気になる話だな」


「お兄さんも船を探してるクチで? お宝ですもんなぁ。売り飛ばしたら、しばらく遊んで暮らせますわなぁ。でも、あれ。噂ですから? そうそう見つかる訳ありませんわな」


「それをな。あのバカ!! 信じよって!!! 昨日から荒れてますねん!! 探しに行きたいって!! 見つかるわけないのに!! ホンマ。アホやでアイツ!!」


小太りも金髪の調子の良い男も馴れ馴れしく話しかけていた。しっかし、こいつらコテコテしてる。


「ヤンノカコラー? ザッケンナコラー?」


透かしたやつは他の訓練生に当たり散らしていた。


「あぁ!! 所構わず、せわしないで!! ホンマに……これで失礼します」


「あのバカ!! えろぅ、すんませんした!! ほな、お邪魔しました」


嵐のように3バカは去っていった。


「やーね? ナニ目立ってんの? あのブス? ウザイわぁ~」


聞こえるか聞こえないかギリギリのラインの小声で話していた。


聞こえた方向には歩くハーレムがいた。イケメンを中心に露出の激しい5人の女性がいた。目が合うと露骨に目をそらして誤魔化していた。そいつは微妙にブサイクな女だった。いや違う。何かが違う。俺の第六感が言う。やつはゴミを擬人化した存在だ、注意しろと俺のカンが伝えていた。イケメンは女たちに何かを言っていた。こちらに気がついて会釈をしてまた歩いていった。


「あたし……あの女……嫌い」


「安心しろナギ……俺も嫌いだ」


「いい顔の男は良い人そうだったが?」


「たしかに男は良い顔してた」


「イケメンは爆ぜろ」


「「どうした、ムサシ?」」


ナギとクリスが可愛そうな目で俺を見ていた。


「いや、なんとなく」


俺は適当に誤魔化した。




「注目! 訓練生! 集合!!」


アミの声と銃声が聞こえた。どうやら訓練が始まるらしい。

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