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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第3章 涙の20.3cm連装砲

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第33話 殺し殺され

 最初の記憶ははっきりと覚えていた。あっけなく死んだ。


その後に数回ほど戦場に放り込まれては敵性体にわけも分からずに殺されていた。


撃たれた事を理解できないことが多かった。


撃たれた感覚っていうのは具体的には衝撃や熱や激しい痛みとして体が感じていた。大体の場合は撃たれたってのが理解できないことが多かったんだ。俺がマヌケなんだろう。とにかく状況がスグに理解できなかったんだ。


撃たれた感じと殺され方には色々なバリエーションがあった。


バットで殴られたような衝撃を肩に感じて酷く痺れる感じがした、触ってみたら赤い液体が流れていた。そこから激しい痛みを感じた。自分が撃たれたことに気がつくまで、かなり時間がかかった。その後に適当に殺された。


足に激しい痛みを感じてハチにでも刺されたかと呑気に考えていたら次第に痛みがひどくなり燃えるような熱さと激しい腓返りを起こした、よく見ると足が血だらけになっていた。転がって苦しんでいたら殺された。


路地の曲がり角で急に閃光を感じて吹っ飛んで、何が起きたか理解できないまま、花火のような臭いを感じた。


それから火傷のような熱く激しい痛みを覚えた。で、また殺された。


そして、いきなり意識を失うこともあった。そういう時は楽だった。痛みがなかったからだ。


捕まって拷問されて殴られたり電撃を食らったり痛みをイヤと言うほど味わう事もあった。どれが1番きつかったかと言うと俺的には水で責められるやつが特に辛かった記憶がある。溺れる感じをお手軽に味わう……あれは精神的にきつかった。正直、思い出したくない。


中でも最後に見る光景として意味がわからなかったのがある。急に激しい衝撃を感じて壁に衝突した。壁がが地面であったことに気がつくまで、だいぶ時間がかかった。痛みにもんどりうっているとレイダーが現れた。直後に両腕に激しい衝撃を感じた。両肩は撃たれていた。レイダーは俺のそばまで来て俺の死に際を見るのかと思ったが、俺のそばで高速屈伸をしていた。なんの儀式だと痛みの中で考えていたが、そのうち殺された。


死の体験は碌でもない事ばかりだった。


また、死んだら死んだで後に仕事があった。リプレイ鑑賞だ。


死んだ後は自己の死を客観的に見せられていた。死に方を理解しろと言わんばかりに幽体離脱でもしたような視点でリプレイで死の間際を見せられた。


そんな感じに何度も何度も殺された。


そして、死の前の時間は大抵は恐怖で固まってしまったり、パニックになって視野狭窄になったり、泣き出したり、おもらしもしたりした。ありとあらゆる無様を経験した。


だけど死ぬことよりはマシだった。そして何回死んでも慣れない感覚があった。それが死の恐怖だった。死ぬ寸前とかはそんなに怖いと考えることが少なかった気がする。でも逃げ回っている最中や隠れているときなんかは俺を狙う適性体がとてつもなく恐ろしかった。


そのうちに無様を晒して死の体験をこなしていくと運良く致命傷を避けて負傷しながら逃げ回る事が多くなった。まぁ、それでもスグに殺される事が多かった。


何度も言って申し訳ないと思うがレイダーや機械の獣や半機械の化け物やらに弄ばれるように殺されたり、瞬殺されたりした。


何回殺られても痛みに慣れなかった。さらに経験を重ねていくと無様な感じではあったが恐怖に押しつぶされそうになりながらも敵に怒りをぶつけられるようになった。それでも生き残る事ができずに殺されていたけれども……


そういう感じに殺したり殺されたりを経験した。


たまに敵性体を殺せる事ができるようになった。機械や半機械のヤツラは破壊したと表現しておこう。

生き残れた事に酷く安堵したこと覚えている。だが、レイダーを殺した時は様々な感覚に襲われた。殺したことを実感した直後に反吐をぶちまけたり、急に悲しくなって泣きだしたり、本当に死んだのか不安になって何度も死体撃ちをしたこともあった。


戦闘では訳のわからない状態に陥ることがあった……自分自身を制御できないことがあった。


レイダーを殺した時に意味がわからない行動をしたことを覚えている。

不思議なことだった……レイダー相手のときだ。相手を追い詰めて逆襲が成功したときなんかは襲っている最中は高揚して我を忘れて殺しの感覚に酔っぱらってガムシャラに撃ちまくっていたのに死に絶えているレイダーを見た瞬間に、正しくはレイダーの目を見たときだ。急に相手を尊重したくなった。憎しみが消えて転がって倒れているレイダーなんかに親しみを覚えて水筒の水をレイダーの口に流してやった時があった。自分でも不思議な感覚だった。何故か持っていたタバコに火をつけて加えさせた時もあった。俺、タバコ吸わないのにな。相手が文字通りの人でなしだったのに命を取った事にひどく心を揺さぶられた。


あの気持はその時限りであった。他の時は引き金を引いたりして命を奪った事を理解していた。あの時の自分は本当に自分であったのか未だにわからない。


敵生体相手はそれでも全然マシであった。


相手が人間だったとき。それが気持ちの整理がつかなかった。

殺しに来ている敵が見えているのに撃つことが出来なかったり、空に受かって打ち出したり、不可解な行動を結構した。

感情を抑えることが出来ずに荒ぶってひどい言葉で殺した相手を罵ったり、気持ちが高ぶって雄叫びを上げたり。急に泣き出したり、落ち込んだり、戦いの前後や最中に関わらずにありとあらゆる心の動きを味わった。まともにやれたことなんてなかった。


抗争に巻き込まれたとき、強盗に襲われたとき、仲間内のトラブル、酷いのは別れ話で俺が刺されるヤツなんかあった。

殺し殺されたりを繰り返す。


最悪だったのは戦争だ。あれは最悪だ。


戦争に巻き込まれたりした時、内戦の真っ只中に保織り込まれた時、従軍している時、様々な状況だった。大抵は俺が殺されていた。

しかし、軍隊にいるシチュエーションの時に上官に命令されてた時は冷静に相手を殺せた。仲間を守るために戦えた。

遠距離、中距離のときの殺しは実感があまりなかった。しかし、近距離の遭遇戦の時なんかは殺す瞬間がスローモーションで見えて、相手が堕れるさまをはっきり見ることが出来た。直後に反吐をぶちまけた。何だかわからずに涙も出た。自分がしてはいけないことをしたと大変に後悔した。最悪の気分だった。自分が生きていることに感謝する暇がなかった。それぐらいに最悪だった。


だが、救いもあった。自分ひとりで敵兵と対峙する時と記憶している……激しい砲撃戦に巻き込まれた時に飛び込んだタコツボに敵の兵士がいたときだ。最初は驚いたが近くに砲撃が迫り激しい轟音と衝撃に襲われて身を縮こめていた。たまたま視界に入ってきた光景は自分と同じように体を縮こめている敵兵士の姿だった。やがて砲撃は収まり、目の前に敵がいる事を思い出した。しかし、相手に対する殺意が起きなかった。銃を構える気が起きなかった。相手はそんな俺を見て懐に手を入れた。出てきたのはタバコとライターだった。そいつはおもむろにタバコに火をつけて吸った。俺はその光景を眺めていた。敵兵士はタバコを一本俺によこした。そしてライターに火をつけた。相手は加えろと顎で指図してきた。俺はタバコに火をつけて吸った。激しくむせて咳き込んだ。相手は何かを言っているようだったが言葉が通じないのでわからなかった。男は笑っていた。最初離れなかったが最後の方にはタバコの香りがひどく旨く感じた。敵兵士は満足そうな顔をしていた。やがて男はタコツボから出ていった。呆然としているとヒュルヒュルとした音が聞こえた。俺はあいつが生き残ることを願った。そしてブラックアウトしたリプレイでわかったが砲撃に殺されていた。結果はあれだけれど悪くない気分だった。


他にも見た。


錯乱したのか戦闘中にギターを持ち出し、歌い始める味方の兵士がいた。はじめは銃弾にさらされていたがそのうちに銃撃は止まり、戦場には小気味良いギターと歌声が響いた。歌は終わりギターの男が夜空を指差す。敵味方の両方から拍手と歓声があがった。その日の戦闘はそこで終了だった。

ギターの男が夜空を指していた事を思い出して、ふと空を見上げると息を呑むような満天の星空だった。ギターと歌で戦闘を止められた事とあまりもの美しい星空で知らないうちに目から涙が、口からは笑いが出た。


酒場で人が争いをやめられるようになった時、人類は新しい種へと進化すると言った古参兵にそんなことはないと人類は愚かな過ちを止められるようになると殴り合いになっても床に倒されても言いつづk時付けた新兵を見た。


戦争なんかくだらないと戦闘地域にあった登山家に有名で高い標高を誇った山岳にトライする者、敵兵を見捨てろと命令されても救命処置をするメディック、敵地で拾った戦闘に巻き込まれ生まれたてで捨てられた犬や猫を懐で温め保護する兵士、うまい飯が食いたいが為に脱走をしてた敵兵士、色々な生き様を見た。



そんなことも見ながら、さんざん殺したり殺されたりした。死に方も様々なものを経験した。


不思議と戦闘中はバーチャル空間での死闘ということを忘れて現実と思って生きて戦っていた。追っかけてくる死神が怖くて必死に逃れようと戦っていた。殺されては記憶をリセットされて新規ゲームを繰り返すように新しい記憶で戦っていた。それを不思議に思うこともせずに必死に生きようと藻掻いていた。


しかし、リプレイ中の自分の死を見せられている時はそれまでの記憶を持っていた。死の恐怖をそのままに最終的には虚無を味わっていた。酷く憂鬱な気分で重苦しい気持ちのまま眺めることを強制されていた。


死の体験を繰り返す事を強制させられる。後半は何度も新たな戦場に送り込まれる。

何度も自分の死を、何度も仲間の死を、幾重のも敵の死を見た。巻き込まれた民間人の死も……

時代も様々……兵器も進化して様々な物があった……戦争を嫌い新天地を宇宙に求め、その先でも……平和を願い作られた新技術や善意によって作られた夢の技術でも……争いをやめなかった。

やめることができなかった。




多くの経験をしていくと、そのうちにリプレイ中に段々と怒りが沸き起こる。この訓練そのものに悪態をつく。そんな事を繰り返すうちに気持ちが憂鬱になり無気力になっていった。何もしたくなくなった。


目が覚めると、機械音声が訓練終了を告げていた。


現実なのかVR空間なのかわからなかった。


水の上に浮かぶようにナノジェルに浸されてベットに横たわっていた。身を起こしてベットの縁に座る。


すると急激な気持ち悪さに襲われる。我慢ができずにヘドをぶちまける。自分の体にかかるのも問わずにやる。それどころではない。ムカついて我慢ができない。気分がしこたま悪い。


何か聞こえる……人が大変な時にやかましい……機械音声がなにか言っている。


「密室でプライベートが保たれています。我慢せずにヘドをぶち撒けてください、ヘドだけでなく出せるものすべて出してください。洗浄機能を働かせます。上から下から自在にやっちゃってください。スーツも新品をお渡し致しますのでご安心ください」と言っている。


だが、気分が悪くて考えることが出来ない。気持ち悪くてそれどころではない。


目の端にナノジェルが汚物を包みこみ隅に消えていくのが見えた。


胃の中が空っぽになり吐くものがないのに吐こうとして痛みを覚える。


やがて胃の苦痛は収まったが気分の悪さが収まらなかった。苦しみは頭痛に変わった。こめかみをキリキリとするやつだ。


機械音声が水を用意したことを伝えてくる。プラスチックのコップが機械アームによって俺の前に出てきた。


受け取ったコップには水が入っていた。


機械音声は口を濯ぐことを提案している。ゆすいだ水は足元に吐けと言っていた。


足元にはナノジェルが踝ぐらいまで溜まっていた。口の中が胃液で酸っぱかったので口をゆすいだ。コップを機械アームに渡して一息ついていた。


これよりシャワーモードに移行します。ベットの横に立ち、服を脱いでくださいと言ってくる。


指示に従い立ち上がる。静かにベットが壁際に収納されてゆく。縁が点滅しているボックスがあった。


スーツをしまうと、しばらくしてシャワーが開始され温水が四方八方から俺を洗浄した。体中のナノジェルガ流れ落ちた頃に全方位シャワーが終わった。その後は温風で水を落として、バスタオルが提供され、最後に灰色の無地のジャージ一式を渡された。


朦朧とした意識の中での着替え終わると、訓練終了です。お疲れさまでしたと機械音声が告げていた。


その声に無性に腹がたった。頭痛に耐えていたこともあるが何より殺し殺される事を強制されたことを思い出して、好き勝手に命令されていることに急にカチンと来ていた。


どうしようもない苛立ちがあった。思わずカプセルの壁を殴った。それをきっかけに怒りが収まらなくなった。


とてつもない苦しみを与えたのはこのカプセルだ。そう思うと無性に破壊衝動が湧き出てきた。


殴る蹴る。カプセルの破壊に錨の衝動をぶつけた。激しくぶつけるが体に痛みを感じなかった。


壁がひしゃげ、扉がガタついてきた。激しい破壊衝動にカプセルの扉が耐えきれなくなり吹っ飛んだ。


外を見ると銃を構えたメイドが何人もいた。


軽い空気音があったら体に衝撃を覚えた。衝撃を感じた場所を見るとダーツのようなものが刺さっていた。


そして目の前が真っ暗になった。

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