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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第2章 タンクウォッカ

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第26話 幸運のタンクウォッカ

 ナギの暴走が収まった頃にちょうどアミが脱衣所から出てきた。


それをきっかけにまたナギのフラストレーションが煮え始めた。


「戦車が!! 戦車が!! 一番良いんだ!!」


ナギがブツブツ言っている。落ち着いたかと思ったら、またぶり返したようだった。


「なぁ? ナギ? 戦車の良さは十分理解したからさ、少し落ち着いてくれよ? 装甲が固くて機動性が良いのはきちんと理解したからさ……な?」


俺はナギを落ち着けようと努力した。


「そんな上っ面な取り繕ったような言葉は要らないんだヨ? 君は理解してない……心の底から戦車を愛していない……」


ナギの目が座っていた、このジト目は心に悪く響くので止めてもらいたい……確かに取り繕って戦車をよく言ってみたよ? 


酔っ払ってる癖に妙に勘が鋭いのが怖い。おっしゃる通り、俺の中にはあの戦艦のイメージが強く残っている。戦艦に惹かれているのは認める。


どうしようもない気持ちが増大して行くのが自分でも止められないんだ……。


「ムーサーシーィ? そんな神妙な顔しても駄目なんだからね? 戦車の良さを叩き込んでやる!! そこにナオレ!!」


アミが風呂から上がって風呂場に持っていっていたポーチを自分の荷物にしまいながら、こちらを観察していた。


「いいお湯でした。ん? なんか盛り上がってるね? どしたの?」


アミが心配そうにこちらを見ていた。


「聞いてよ!! アミチャン!! このポンコツが戦車の良さを理解しないんだよ? 船マニアがさぁ!! わからずなんだよ? バーカバーカ!!」


泣き真似をして、ナギがウザ可愛く変なポーズで俺を煽っていた。


「ムサシ? ナギに何言ったの? なんか可愛そうなことになってるんだけど?」


「いやー? 俺は聞きにまわっててな? そのなんだろう? ナギが戦車熱で暴走してて……あぁ、説明が難しい……クリス助けて?」


「ムサシはなかなか目の付け所が良い? 着眼点がなかなかだったぞ? 」


先程までふにゃふにゃとしていたクリスが少し復活しいて、メガネをクイっとして俺を評価していた。


「そんなことより元祖タンクウォッカを頂こうよ!! アミちゃんがお風呂から上がるの待ってたんだよ~!」


酔っぱらいナギが良い感じに自由になっていた。


もぅ、好きにしておくれ。俺はこの状況を説明することを諦めることにした。


「先に食べちゃってよかったのに、ごめんね、お待たせしちゃって」


女性陣がバスローブ姿でやたらセクシーなので俺は平常心を保つのが辛くなってきた。


抑えろ俺の自制心!! 静まれ俺のリビドー!!


そんな俺を置いといて元祖タンクウォッカはナギが持つナイフによって割られていた。


甘い果実の香りととウォッカの香りが室内に舞う。果実の色はどす赤黒かったが光の当たり具合によっては鮮やかにも見えた。


アミが端っこを頂戴と声をかけるとナギがアルコールが薄い部分を俺とアミ用に取り分けてくれた。


なんだかんで面倒見がよく気が効くナギさんである。たまにウザい時もあるけど。


「諸君!! 準備は良いか? それでは頂こう!」


皆で元祖タンクウォッカを味わった。


メロンとスイカを混ぜた瑞々しさで程よい甘さだった。実に美味しい。アルコール分は感じないがアルコールが染みている部分だと絶妙に上手いんだろうなと思った。目の前で美人二人が美味を味わって悦びの色に破れていた。


「んんんっ!! これわ!! 」「ん~~ッ!! ヤバイ、美味しい!!」


ナギとクリスはご満悦のようだ。


「そもそも単体で食べても素晴らしいお味なんだよね、これ」


そう言ってアミは端っこを齧って幸せそうにしている。


「果物に酒が刺さってるなんて、凄いビジュアルしてたから油断してたよ」


「お風呂から上がったらこれが置いてあるんだもの、気になって仕方がなかったわよ」


ナギとクリスが顔を見合わせてクスクス笑っている。


「しっかし、なんでまた酒瓶をぶっ刺してるんだ? 合理的でもあるけどさ、荒々しいたらない……」


俺が疑問を口にするとアミが神妙な顔で語り始めた。


「とある旅商人達が大規模なキャラバンを組んで旅をしていたそうな。船は某の理由で使えず、しかたなく車で旅をしていたそうな」


「アミちゃんが語り始めた。雰囲気でるねぇ!!」


ナギが楽しそうに聞いている。


アミの雰囲気バッチリな語りは続く。


キャラバン隊のとある小隊は戦車で参加していたそうな、当時は貴重なウォータータンクメロンを戦車後部に増設した露天積荷カーゴに満載して……商いをするためにキャラバン隊と旅をしていた。


しかし荒野の常、レイダーの襲撃を受けた。


キャラバンの車列は乱れ、レイダーの攻撃により爆発炎上する車も居た……そして、悪運は重なり、その小隊はキャラバンからハグレてしまう……命からがら戦闘地域から逃げ出すことが出来た小隊は近場にあった遺跡のあるオアシスに退避した。


落ち着きを取り戻した小隊のある一人が積荷の確認をした。すると戦車に積んでいたウォータタンクメロンに衝撃で吹っ飛ばされたのか、ウォッカの酒瓶が刺さっているのを発見した。助かった安堵もあり、ふと喉の渇きを覚えた。


そいつは思わず酒瓶を抜いて酒を飲もうとした。しかし、酒は全て無くなっていた。ウォータータンクメロンの酒が刺さっていた穴があった。


そこからは芳醇な果実の香りとウォッカの香りが混じった液体が零れそうになっていた。


男は思わず果汁を飲んでみた。するとウォッカと果汁が混じった絶妙なカクテルを味わうことができた。あまりの美味さに歓喜の声を上げた。


すると声に反応した仲間達が近寄ってきて、男はこいつを飲めと仲間に与えた。

仲間たちは男と似たような反応をしてカクテルを喜び、喉を潤した。


そのうち小隊のリーダーが生き残ったことを祝福してアルコールに染みた果実を神に感謝して祈りを捧げ始めた。仲間たちも同じように神に感謝をした。


すると体の奥から力が湧いてきた。活力、気力が漲る感覚を覚えた。やられたキャラバンの仲間のことを思うと暗い気持ちになるが、彼らは根っからの商人だった事を思い出す。根性を入れ直して仲間の分まで生き抜いて商売を行い利益を上げる。


その決意とともに旅立った。


その後も幾度となく襲われるが小隊の戦車はかすり傷さえ追わなかった。やがて無事に街にたどり着くことが出来た。


幸運のウォータータンクメロンとウォッカの事を街の住民に話したところ街のギャンブラーや縁起を担ぐ者達に飛ぶように売れた。人々は最初は半信半疑だったが幸運を信じて購入した者たちに次々に祝福が訪れるとその効果を信じるようになった。


噂が噂を呼んで幸運のウォータータンクメロンとウォッカにはプレミアが付いた。そうして、その小隊は莫大な利益を上げることが出来た。街の住民達は幸運にあやかろうと果実とウォッカのカクテルを作るようになった。


時間が過ぎてそれは町の名物となった。そして、そのカクテルはタンクウォッカと呼ばれるようになった。


そんな幸運の与太話があったとさ


語り口が上手だったので物語が終わると思わず皆が拍手をしていた。


アミは照れくさそうにしていた。


「そういう訳で幸運ってのが売りになったのか……やっと理解したよ。なんで幸運なんだろうなって思ってたんだ」


「戦う人達はなんだかんだでゲン担ぎする人多いからね。それに美味しければ更に人気が出るって話」


アミが答えてくれた。


「タンクウォッカかグラスの色を見たらエンジンオイルみたいな色してたから驚いたけど飲んでみたら荒々しい癖に上品な味わいもある……人気が出るわな」


ナギがそんな事を言いながらタンクウォッカの酒瓶を掲げてタンクと酒瓶が刺さった果物の絵があるラベルをまじまじと見つめていた。


酒盛りの流れに一区切りがついたようなので俺はお風呂を頂くことにした。


湯船に浸かり、体と心を洗濯する。ウォータタンクメロンにほだされたのか体がリラックスすると頭の中にある思いが湧き出てきた。


俺は女性陣のセクシーバスローブ姿を思い出していた。


幸運の伝説の話は嘘ではなかった……効果はバツギュンだ。


しかし、それと同時に一つの不安も湧き出ていた。


性欲が減ってきていると言うか耐性がついているような気がする。前より頻繁に淫靡に邪な気持ちにならなくなってる気がする。以前の自分ならこんな美味しい状態になったら、あれがこうドーンとなっているはずだったからだ。


こちらの世界に来てから体は大きくなるわ、色々な衝撃的なことを経験するわで精神的にタフになっているせいかとも思うが……こんど医者にでも聞いてみよう。体と心の管理は大切だ。


一応はそっちのことに多感な高校2年生であったはずなのだから……スケベ心はあるんだよな……抑えられるだけでな……無くなっちゃあいない……。


どこぞの老人に言われた清い心でないと艦長になれない……そんな事が心のリミッターになっているのか? もしくは軍艦フェチにでもなったのか?


そんな事を考えていると眠気に襲われて水没しかけた。俺は十分温まったので風呂から上がることにした。


出てみると結構長湯していたのだろう。テーブルの上に所狭しと置かれていた酒やツマミがあらかた処理されていた。


酒豪の二人が酒の余韻を楽しみながらベッドで眠りにつきたいと呟いていた。どうやら、これにて酒盛りは終焉して寝ることになるようだ。


俺も眠気がいい感じに来ていたので、その提案に乗ることにした。


皆、それぞれに就寝の挨拶をして部屋に移動していった。


アミから一眠りして起きた頃に降りる駅に着くと知らせてくれたので端末に目覚ましを仕掛けた。


俺はベッドに移動して、柔らかなシーツの感触を楽しみつつ、明日の街のことを考えていた。


また、何かしらのオーバーテクノロジーとかで驚く事になるんだろうなとか考えて眠りについた。


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