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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第2章 タンクウォッカ

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第25話 戦車好きはかく語りき

 食事を終えて、女性陣を先に部屋に返して、俺だけトイレに行ってから部屋に戻った。


部屋に着くと先にお風呂頂くよとナギが脱衣所付きのバスルームに入っていた。


女性陣で順番を決めていたらしい。俺は最後でいいよとと言って、応接間で食休み

することにした。


何もしないのは暇だろうと言ってアミがお勉強を提案してきた。


なんでも街の外で一人で歩くには無防備すぎると言うことで正しいお外の歩き方の続編が始まった。


クリスも興味を持ったようで混じってきた。


治安の悪いところの歩き方、買い物時の注意、取られやすい物等、生活全般で気をつけることをこんこんと詰め込まれた。


クリスはあまり他の街へ行ったことがなかったらしくアミの話を注意深く聞いていた、外郭街はあれでも治安が良かったらしい。


違いを話しているとナギが風呂から上がってきた。次はクリスの番だった。


入れ替わりで応接間に来たナギはセクシーダイナマイツなバスローブ姿であった。これは高得点だ、ナギナイスー!!


と思わず何処かの筋肉披露大会のような掛け声をするところだったが何とか飲みこむ事ができた。


違うぞ? 生唾を飲んだワケじゃぁないぞ? 


そんなことは知らずに暑い暑いとナギは手でパタパタと扇いで涼しんでいた。胸元なんて大胆に開いちゃって、つい見てしまうじゃないか?


部屋は暑いので風邪はひきそうにないな。勝手に涼ませておこう、目の保養になるし。 


アミの話に集中しているように見せかけてナギを流し見していると、部屋に呼び鈴が鳴り響いた。


アミが扉に向かって歩いていった。するとワゴンを転がしてメイドとアミが部屋に帰ってきた。先に注文していたのかメイドが酒とつまみを届けに来ていた。酒の多さに驚くが中に一際、奇妙なものがあった。


デカイ氷が敷き詰められたボウルの中にスイカっぽいメロンのような果物があった。そしてその果物にはウォッカの酒瓶が突き刺さっていた。


「これが本当のタンクウォッカだよ! ナギ!! どうだ凄いでしょ? 」


「オオオオゥッ!! これがさっき話していたヤツか!! こうしてみるとスンゴイ大胆なデコレーションだな。アミ!! ありがとう!! 」


テキパキとテーブルに運んできたものを並べでメイドが去っていった。


俺のいない際に酒盛りの話が進んでいたらしい。


ムサシがいなかった時に注文する話になり、元祖タンクウォッカを頼む流れになっていたそうだ。


「ムサシには話してなかったね。元祖タンクウォッカの事」


「元祖? タンクウォッカに元祖とかあるんだ? 」


「これから行く街の名産品でね、ウォータタンクメロンってのがあってね、目の前にあるこれがそうなんだけど」


スイカの模様とメロンの網目状の筋が加わって独特な雰囲気を醸し出している、デカイ果物を見た。


「見た目が凄いけど、きっと美味いんだろ? 名産品ってぐらいなら」


「単体でも美味しいんだけど、後でアルコールが少ない上っ側を食べようか? 内緒だよ? 私達は間違って食べてしまうんだ」


アミがクスクス笑っていた。


「間違っちゃったらしかたがないな、そうだ、しかたがない」


アミの提案に乗ってみた。まぁ、味とか気になるもんね。


「クリスが上がってから頂くことにしようか? 他のお酒もあるし」


と言うやいなや、他の酒瓶を物色し始める。


「タンクウォッカでしょ、カクテルとかビールとか頼んでおいたよ。最初はビール? 」


「サンキュー!! アミちゃん、愛してるぅ!! 」


そう言ってアミが酒を手に取り、ナギが手を伸ばしていた。


早速、ナギが風呂上がりの一杯を始める。


「最初はやっぱりビールだ!! ビールがうまくて、今日も幸せだ!! 」


なんとなく思ってはいたが、ナギっておっさん臭いところがあるよな。それに食事の時の酒は何だったんだろう?


自由で飲む前から酔っぱらいテンションなナギはそのままにして、お勉強を再開する。


ナギが俺達のやり取りを見ながら、小瓶のビールをダイレクトに飲んでいた。いちいち呑む度にアーとかクーとか煩い。


ちょくちょくナギが乱入してくるが、うるせえ、俺はアミとお勉強するんだ俺は!! と俺までテンションが上ってきて変なふうに盛り上がってきた。


正しいお外の歩き方の続編も大体終わったので俺は気になっていた船についてアミに聞いてみた。


戦艦と巡洋艦と駆逐の違いがわからんのでそこを詳しくとお願いしてみた。ナギもそれあたしも興味あると食いついていた。


しかし、戦艦をひとつにしても世代別、用途別、移動形態等で運用や特徴が変わってくるらしくアミが説明内容をどうしようかと困っていた。


俺の知識はまだまだ足り無いようでアミを困らせてしまった。アミが言うにはここ20年くらいの運用実績と研究情報になるので意見が多く割れているらしい。細々と節目してくれるが難しくて俺が理解できない状況に陥った。横を見るとナギも同じような感じだった。


混乱気味なっていた俺とナギに気がついて、船のお勉強はひとまずゆっくりじっくりやろうということになってしまった。


アミ先生、ごめんなさい。酔っ払いはともかく、己の勉強不足に不甲斐なさを感じていた。


「ムサシ、船についてはもっと後にしようと思ってたから、そんなに気を落とさないで? 」


「うん、わかったよ。アミ先生」「あたしも今度きちんとお勉強しよう……」


そんな感じで俺とナギがしょんぼりしているとアミが気を利かして、とりあえずこの世界に来て一番最初に見た戦艦について話題を振ってくれた。


あのタイプは遠距離が得意な戦艦で大火力で敵を黙らせ、それでも近づく敵は副砲で吹き飛ばし、細かい敵も機銃で叩く、だいたい遠距離でケリが付いてしまうくらいなのであの辺の生態系の頂点に君臨する野良軍艦って事を面白おかしく説明してくれた。


そのうち難しい話がだんだんと簡単な話になり、最後の方には俺は戦艦が好きとかの他愛のない話になってしまった。


主に酒で陽気になっているナギが話に乗ってきては脱線していっているのだが、アミもナギも楽しそうにしているので、楽しければよしなのだの精神で話を聞いていた。


クリスが風呂から上がって、これまたセクシーエレガントな、ファビュラスな感じにバスローブを着こなしていた。


もろに動揺する俺をよそに


「アミちゃんどうぞ」


「ハーイ。じゃ、今日はこれで終わりにしよっか」


と、アミは風呂に向かった。


「ありがとう、アミ」


「うん、お風呂いってきま~す」


アミの興味はお風呂に切り替わっていた。


なんとなくモヤモヤとムラムラとしていた俺は我に戻り、場を和ごまそうと元祖タンクウォッカがあることををクリスに知らせた。

 

「元祖タンクウォッカのことは聞いていたが実際に見るのは初めてだ。これはまた……凄いビジュアルだな。アミちゃんが戻ったら頂きましょうか? 飲めなくても雰囲気だけでも参加してもらわないとこちらとしては気がひけるからね」


クリスの気使いの優しさが俺の邪念を浄化してくれる。俺はなんとか正常心を取り戻すことに成功した。


だが、クリスがナギの酒盛りに参加して酒量はペースアップしていった。


「タンクウォッカって気に入っちゃった。スルスルいけちゃう。レディキラーね? 」


「レディキラーってなんぞ? 」


「ムサシは知らなくていいかな? まだ早い」ナギに窘められた。むぅ、なんだか子供をあやすようにされた。


「それより何してたの? 船のお勉強? 」とクリスが端末を覗いていた。


「聞いてよ、クリス。ムサシは船ばっかに興味持つんだ!! 船オタクだよこの子? 」


ええ? 船が好きなのは認めるけど、オタク認定までされるとは……最近は特に船が気になってしまうけどもさ……。


そう言ってナギはグラスを傾ける。


「ナギは車派だものね。船の雄大さも確かに魅力的だが……車は車で……戦車なんか男の子が好きそうだけど?」


そう言ってクリスが俺に話を振る。


「戦車も魅力的さ!! キャタピラのキュラキュラと鳴り響くところなんか、なにかロマンを感じるし」と取り繕う俺をよそにナギの酒量が増える。クリスも続いて酒の消費量がさらに激しくなってくる。


戦車の良いところを語る俺に気を良くしたナギがなんだか嬉しそうに頷いている。


そのうち、ナギが完全に酔っぱらった、なんか戦車について熱く語り始めた。


「車はな!! 戦艦より速くて!! 機動戦が出来るんだ!! 大砲だってデカイんだ!! 船は卑怯だ!! 喫水線より下と脚がバカみたいに固くってさ!! シールド技術使ってて歯が立たない!! 駆逐艦のバイタルパートを抜くのがやっとだ!! それなのに銃座はトップアタック気味になって装甲の薄い子の屋根を貫通するし!!」


ナギが完全に壊れてしまった。もうどうにも止まらない感じだ。


「ナギ? ちょっとナギ」


「うるさい!! ムサシ!! ちょっと聞け。 あたしが戦車の良さについて教えてやる!! 戦車はな航続距離や射程距離とか威力や装甲は劣るけど、速さと小回りは戦車が上なんだ!! 戦車砲では駆逐艦くらいしか仕留められないけど……戦艦や巡洋艦なんか弱点を撃ち抜けないさ……でも!! 機銃や艦砲は破壊できるし!! レーダーやカメラ壊す、センサーつぶしは出来るんだって!! 上手くやれば無力化だって出来るし!! そりゃ被害は甚大になるだろうけど……戦車だけだって腕さえあればなんとかなるんだ!! 生産性や整備性は格段に戦車は上なんだ!! カスタマイズ性なんかブッちぎりで素敵なんだ!! 俺戦車グランプリがあるくらいだもの? 装輪に至っては快速船を凌駕するスピードがあるので速度重視の人はこれ一択!! 履帯の汎用性の高さは天下一品だ!! 移動形式は戦車も船も同じじゃないか……」 こんな感じでナギさんオカンムリである。


どうやらナギは船の優位性について納得がいっていないようだ。たしかにお勉強の資料でも船が有利だって事は書いてあった。でも俺はナギの早口に語る中になにか違和感を感じていた。


俺は船の移動形式に関しては歩行艦しか間近で見ていなかった。戦車に関してはまだ知識が少なくて移動形式による違いがわからなかった。船の歩行艦の利点も知らない……多脚ってなんか意味があるんだろうか?


移動するだけなら履帯式や車輪式で十分じゃないか? 


浮遊式なんか一番いいんじゃないか? と思えてきた。


ややこしいことはオーバーテクノロジーがあるからで考えることを止めていたが根本的に移動形式について疑問が色々と出てきた。


歩行艦が存在するから使っている。


それ以外の移動形式もそうだが兵器全般に言える。人間達が理解しているだけの技術では作れないが自動造船所や自動工場のオーバーテクノロジーに頼ればいびつな兵器が作れる……しかし都市の制御システムで数の制限がかけられる……欲しければ野良を捕まえるか発掘するか……まとまらない考えがぐるぐると思考が回る。


そんな事を考えているとつい口に出てしまった。


「多脚ってなんか意味があったんだろうか? 」


ナギとクリスがこちらを見ている。俺はそんなに変なことを言ったのだろうか?


「多脚よね……私も常々と考えていた。多脚の意味を……船の移動形式でもっとも数が多い歩行型……なんの意味があるのか? 利点なんかそんなにないはずなんだ? 浮いている方がよっぽどまともだ……そもそも陸上を船が行き交う事自体……異常で不思議なんだ……」


クリスが研究者モードに入っているとようだブツブツとなにか言いだしている。実際に俺もそう思う。意味がわからない……


「そこで多脚戦車の出番ですよ? 」とナギがいきなりぶっこんできた。


「そうね、ナギ!! まずは色々と運用実績がある多脚戦車について議論してみるのも良いかもしれないわね」


とクリスが赤らめた顔を俺とナギに交互に向けて目が座って語り始めた。


「新参者のこの世界に染まっていない、ムサシの意見が聞きたい。多脚戦車についてどう感じた? 」とクリスに問われた。


「最初はカニかと思った?  カニ、わかるカニ? 」 俺は手でカニを表現して二人に説明した。


「カニはこちらの世界にもいる。知っているから続けてくれ」


「カニみたいに歩きたかった。横移動とか? でもきっと履帯より遅いし、整備性悪いだろうし、片足潰れたらひっくり返るんじゃねーの? そんな感じで利点とか無いと思った。でも、かっこいいと真っ先に思った」


「かっこいいのは大事だ」と頷くナギが混じってきた。


「で、考えてみた。履帯やタイヤでは都合が悪いところを歩きたかった……戦車が通れない幅の塹壕とかを乗り越えるため? 履帯で通れない瓦礫の山とかデコボコしたところって言うか? 映画で見たことあるんだけど? 戦車の侵入を防ぐ対戦車障害物とか言うのかな? でっっかいコンクリートブロックとかあってさ、そこを上手いこと足を乗っけて進むのかなとか思った? 似たような理由で地雷原とかか? 脚にセンサーなんかつけて地雷を探しながら避けて歩くとか? あと他には滑るとことか杭を打ち込むように歩くとか? 移動箇所をなるべく傷つけたくないとか? ほら、キャタピラだと通ったところが根こそぎ踏み潰すだろ? 」


と、つたない考えをしどろもどろに説明してみた。するとナギが身を乗り出してきた。


「良いところつくね、ムサシ。カニで表現するなんてなかなかいいセンスだ。障害物や不整地の踏破に関してはそんな感じだ。対戦車障害物がなかなか厄介でな……瓦礫とか不整地で足元を選びながら歩けるし。脚を動かして姿勢制御を行って装甲を傾斜させて弾を弾いたり、砲塔の射角性能で狙えないときに脚を使って調整するとか。重力軽減システムのおかげで脚の接地面積の調整やら重量調整やら出来るし。運動性能は悪くはない。履帯より遅いってのもあってる。そして、損傷に関しては良い視点だ。4脚なら1本損傷して3脚までならなんとか歩けるし、6脚なら余計に大丈夫だ。生存性は高いぞ? まぁ、転倒対策の突出アンカーとかアンカーロケットチェーンとか色々とあるから単体でもある程度はひっくり返ってもなんとかなるケースは多い。駄目なときもあるけどな。整備性に関してなんかよく気がついたな。ナノ修復剤やらナノスキンのおかげで耐久性や整備性が上昇していて使いやすくなってる、もっともそれはどの兵器に関しても同じことが言えるけどね。憎き地雷は分解ナノマシンやら撤去マシンやらのおかげで設置から数時間でなくなっちゃうし。オーバーテクノロジー様様ですなぁ」


ナギが饒舌にそして高速で説明してくれる。だが、正直わからん。


「他の利点は? 思いつかない?」


「わかんない」


クリスが駄目な生徒に対して慈悲を持って接してくれる。


手で何かを表現しているのだろうテーブルの上を手を多脚戦車に見立てて歩かせていた。ヒントを出してくれているようだがわからない。ゴメン、クリス先生。


「多脚ならではの戦法があるのだよ」


眼鏡を光らせたクリスがもったいっぶっている。


「どんなのよ?」


クリスに問いただすと怪しく光る眼鏡をよそクリスは弱々しくナギの方へともたれかかった。


「ナギ? ムサシに教えてあげて頂戴!! 貴方の愛する戦車の話を!!」


クリスは眠くなったらしくほわんほわんしながらナギに解説を振っていた。そんなクリスかたバトンを受け取ったナギは嬉しそうにグラスを掲げていた。


「多脚戦車の得意技!! そう!! それは超ハルダウン!! 超ウルトラハルダウン!! 無理したら軽い戦車ならジャンピングショットとかある!!」


想像以上に面倒くさそうなノリになったナギが少しうざかったので思わず目をそらしてしまった。誤魔化しついでにノンアルコールカクテルに手を伸ばす。


「目をそらすな? ハイ、そこ目をそらすな?」 


駄目でした。俺の目論見はバレてました。酔っぱらいでもこういうところは目が鋭いんだなぁ……。


「ハルダウンはお勉強の中で出てきたから知ってるぞ!!」と腹いせ混じりに強めに返してみた。


「あれだろ? 塹壕みたいの掘って車体や砲塔をできるだけ隠して被弾面積を減らすやつだろ? 言うなれば物陰に隠れて撃つ感じかな?」


「よくお勉強しておりますな、ムサシくん」 ナギの素敵フェイスがいい感じにウザイ笑みを浮かべている。少しイラッとする。まぁ、話を止めるのも何だし、我慢してやろうか。


「で、超とかウルトラとか言ってるのは何なのさ?」


「あれはナギが勝手に言ってるだけだから言うこと全部を信用しないで?」


クリスがからのグラスを空中で優しく回しながら言いった。


「ムサシ、そこに立って」 


ナギの指示に従う。


「はいよ、これでいいか」


「戦車になったつもりで……砲塔の代わりに銃でも構えるフリして」


「こんな感じ?」


俺は戦車砲をイメージして体の中心に腕を構える。


「そうそう、それが普通の状態ね。で……そうだな……そこのソファーの影に移動してもらえるかな?」


ウォォン俺はナギの操り人形だ。ソファーの影に移動した。


「じゃ、物陰に隠れる感じに……ソファーを障害物として私を狙う感じで……ムサシ? 少し、しゃがもうか」


俺はナギの言うままにソファーに隠れるように少ししゃがんで銃を構える。ナギから見て俺の上半身がソファーから露出してる感じだ。


「この状態を超ハルダウンとします。じゃ次は、そうだね、座ってみようか? 膝を抱えて座る的な感じで」


ナギに向かって銃を構える。ソファーの最上部に銃を乗せる感じで、ソファーの背を土台にスナイピングする感じとでも言おうか? 座って安定した姿勢でナギを狙う。


「その状態をウルトラハルダウンとします。では完全にソファーの影に隠れてください」なんか新しい単語が増えた気がする。


「砲身がソファーの背にぶつかるんですけど?」


「少し後ろにずれなさいよ? 応用しなさい。実践じゃ工夫しないと生き残れないよ? 」理不尽だがごもっともだ。


大人しく言うことを聞いて少し下がる、体を屈めてソファーの影に完全に隠れる。


「この場合は土台と仮定したソファーの部分に射撃口でも作って打ち込むんだけど、今回は穴が開いてる過程として想像してね。


こんな感じで完全に隠れた状態で開いてる穴から狙い撃つ状態、これを超ウルトラハルダウンと言います」


とナギが悦に入った感じで饒舌に語っていた。


「ムサシ? 何度も言うけど? この超ハルダウンとかの言葉はナギが勝手に言ってるだけだから他の人に言っちゃ駄目よ?」


「了解した。クリス。外じゃ言わないようにする」


「理解しやすくていいじゃない? ねぇ? ねぇ!!」 


ナギさんよ? なんか高圧的に迫らんでくれたまえ?


セクシーな格好のバスローブで迫られると俺の邪神がマックスハートになってしまいますよ?


「言いたいことはわかったよ? 脚を上手いこと使って姿勢制御して高さ調整したりするんだね?」


ナギに利点を説明してみた。するとナギは嬉しそうにニンマリと笑みを浮かべて言う。


「じゃあさ。これを塹壕とかで、もぐら叩きみたいに撃つときだけ砲塔を出して、それ以外の装填とかのタイミングは隠れてる。もしくは物陰に潜んでスナイピング……動きを読んで折角、弾を当てても装甲傾斜により弾かれたり……弾にもよるけどさ……そんな戦い方されたら、どう思う?」


「すっごいウザイな。イライラする。鬱陶しいです。ナギ先生」


「これって凄い方法と思わない? 射撃制御とか姿勢制御の性能にもよるけど。そんな事されたら撃たれる一方で近づけなくない?」


「簡易的なトーチカだよな。隠れられたらひょっこり出る瞬間を狙い撃つしかないんじゃない? あっ歩行軍艦も同じことが言えるのか?」


「まぁ、素人さんはそう思うよね」とナギが変なポーズで俺を苛立たせる。


イラッ!! 


「じゃぁ!! どうするってんだ?」


「そこを考えるのも勉強のウチだよ? 隠れてる方だって足があるんだ!! 同じところにはいないよ? せいぜい考えたまえ。ちなみに軍艦の場合は知らん。こっちも自分で調べなさい」


なんか今日はナギがやけに腹立たしい。セクシーな分だけ薄まっているけど……なんか…エロウザイ……。


「それより、ナギが調子に乗って解説してるのだが、バスローブの乱れが激しいぞ?」


ナギがバスローブが乱れて、あられもない姿になりかけてる。酔いすぎだろこの人? なんかもうチラリズムが素敵な次元になってやがる。と俺が脳内ツッコミを入れつつ、視線をチラチラしているとクリスが気を利かせてくれてナギの乱れを直してくれる。


「ちょっと、ほらナギ? 大人くして? バスローブがホラ?」


「クリス!! 止めるな!! ムサシに戦車の良さを叩き込むんだ!! このポンコツに教え込むんだあたしは? 戦車が一番!!」


ありがたいような、少し残念なような……ナギよ、ひとまず、色んな意味でご馳走様です。


そのうち、ナギが落ち着きを取り戻し、俺達に平和が訪れた。


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