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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第2章 タンクウォッカ

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第20話 男という名の物語

 気がついたら朝になっていた。


疲れていたこともあるのだろう、そのまま寝てしまったらしい。


昨日の記憶を思い出しながら、アミに言われたように復習に励もうとおぼろげな頭で考えていた。


朝の身支度をして顔を洗っている辺りで、ふと外の様子が気になった。


窓のない部屋だったのと窓がろくにない船内環境だったので、俺は急に外の景色が見たくなっていた。


近場で見つけていた船内案内図を思い出したので見に行った。案内図を見てみると最上階に展望フロアがある事がわかったのでいってみることにした。


船内は静かで人とすれちがうこともなかった、たまに巡回でもしているのか自動人形とすれちがうことがあったくらいだった。


階段を登っていくと展望フロアに着いた。


ドアを開き外気を吸う、乾いた空気と少し肌寒く思える気温が心地よかった。


空は青かったが地平線の際が濃いオレンジ、そこから白と空色へと変化する美しいグラデーションを描いて、雲が日の出に照らされ薄いオレンジ色になっていた。


目の前には赤茶けた荒野に広がる朝焼けの風景であった。


眺めていると地平線はぼんやりと見えて、空は徐々にオレンジからスカイブルーへと変わり、明るさを増している。


その過程がたまらなく美しかった。俺は息を呑む光景に心を揺さぶられていた。


視界に入った遠くの空に飛ぶ小さく見える飛行体に気がついた。


昨日の講義で知った飛翔する敵性体だと思った。姿は小さく見えてよくわからなかったが翼が大きいことだけはわかった。


そして、今頃になって船がほとんど揺れていないことに気がついた。


視界に流れる風景が上下に動いていることが、わからないくらいに安定して船が動いているようだった。


足音はそれなりにしているが意識を別にそらすと、気にならなくなっていた。


そのうちに揺れが少ないのなら、酔わずに済むので良いことじゃないかと考えるようになった。


なにしろ、目の前に広がる荒野を見ていると自分の小ささを思い知って、なにもかもどうでもよくなる。これだけ荘厳な美しさが広がっていると気が大きくなるしかない、俺はそんな気持ちになっていた。


広大な荒野と雄大な大空を眺めて精神が高揚して俺は気合が入った。そうして、この世界で生きてゆく決意を改めていた。


そうはいっても変わり映えのしない、ひたすら赤茶けた大地と空しかないので長時間見ている景色にも飽きてきたので部屋に戻ることにした。


部屋に戻り、端末を取り出してデータを漁る。アミからデータが送られていたので空間ディスプレイを起動して昨日のおさらいをする。


生物のところでは奇抜な形態のやつもいたが、慣れてきたのか、この世界はこんなものだろうと気楽に考えることができた。


なにしろそれなりに見慣れた形や生態のものが多かったからだ。


なかにはモンスターじみた異形のものもいたが歩く軍艦なんかを見ていたのでそれほど変に思わなかった。


だが、機械系では妙に引っかかる存在が多かった。


SFじみた建設マシーンなどの大型機械は納得がいった。それなりに建築するために備えられた機構などの機能美がみてとれたからだ。あそこのクレーンはそこにあると便利だろうなとかアームで何かを抑えたり取ったりするんだろうなとか機能が造形として理解できた。


しかし、小型の中にふざけたヤツがいた。

ジェリカン……携行ガソリンタンクとか言えばいいのだろうか? 自動車とかでガス欠になった時に燃料補給する時に使うやつだ。


馴染みがあるといえば石油ストーブで使う携行タンクだ。赤とか青とかの樹脂でできていて、サイド面に窪んだバッテンがあるやつ。

これの場合は金属光沢している本体になるのだが……それにな……4脚がついてたり、履帯やタイヤだったり……それらで移動ができる。ジェリカンロボット達が存在している。


それがジェリタンと呼ばれている。


妙な愛嬌もある。だが、そいつはそれなりに危険な敵性体であった。


安全な個体として都市部でも生産されていて、ウォータータンクや液体運搬用として親しみがあるために野外で野生種に遭遇すると油断しやすいとのことだ。


液体可燃物を噴射して、それに引火させて、火炎をばらまく火炎放射器的な、なかなか凶悪な攻撃をしてくるそうだ。


他にもノーズアートのようなコミカルな顔の落書きがある小型の戦車もどき。


昆虫のナナフシのようだがそれなりに大きくて頭にRPGが付いているヤツ、ナナフシの体でロケットランチャーを装備した機械とでも表現しようか?


とにかく、ふざけてるとしか思えない造形の機械が多く存在していた。


しかも、人類にとって危険でもあるが微妙なラインで役にも立っていた。


鉱物資源を採掘していたり、水資源を地下深くから掘り出す施設を建造していたり。

適性体同士で縄張り争いをしたり、早期警戒網の役割をしていたりと何かしら役割を持っていた。

中には役に立っているのかわからない無意味に思える悪意と冗談を混ぜ込めて形にしたようなやつもいたが……


半機械の牛サイボーグとか虎サイボーグとかの方がまだSF感があって格好良くも思え、敵として恐怖感もある。完全に機械で作られてるアニマルマシーン的な奴らなんかある種の浪漫すら感じた。


だが奴らは違う、なんか馬鹿にされている気がする。

暑苦しい深夜に突如として現れて耳障りな音で飛ぶ蚊がとっ捕まえようと電気をつけたら見失った時のイラつきのような感覚を覚える。


動きも妙にコミカルで腹ただしいし……


頭が痛くなってきた。


あとでアミに聞いてみよう。 奴らを見てイラつかずに冷静でいられるか自信がなくなってきた。


深呼吸をして気を取り直し、学習を進める。

こんな感じでたまにイラっともしながら敵の知識を頭に叩き込んでいった。


気がつくとかなりの時間が過ぎていた。


喉の渇きを覚えて、なにか飲み物が欲しくなっていた。

知恵熱もでてきそうな具合で頭を使っていたので休憩でもしようかと考えていたら、アミから連絡があった。


どう? そろそろお昼でもと思って連絡してみたと彼女は言う。


疲れを感じていたので丁度よい休憩になると伝えた。




昼飯はメキシカンだった。


船内にいる分には高めの値段設定ではあるがそれなりのものは食べれるらしい。


学習内容を聞かれて進捗具合を確認したり、簡単なクイズを出されたりした。


アミが満足そうにしているところを見ると学習状況は順調らしい。


息抜きがてらに倒した敵からなんか取れたりするのかと聞いてみたら、敵性体の部品取りや希少部位など高く売れる部分の話をしてくれた。


そういえばもらったデータにはそこまで情報がなかった。

俺の考えが顔にでていたようでアミが察してくれて、ハンター組合で細かいデータがもらえるよと教えてくれた。でも、そのような情報は独り立ちする頃にでも覚えていれば十分とおまけがついた。


そんな感じで昼食は終わり、部屋に戻る最中にアミが急に止まって声を上げた。何かを思い出したようだった

なにやら遺跡のそばを通るから見物しに行こうと提案された。




そのまま、展望フロアに連れて行かれ遺跡を探してみた。


進行方向から少しだけ右にずれた遠いところに黒と灰色がまばらにある物体が見えてきた。


荒野にぽつんとある山のようにも思えたが山頂付近が妙に赤い色をしていた。


黒に近いが日光の反射によって焦げた茶色のようにも見える山肌の頂上に少しだけ赤く見えた。


赤い部分についてアミに聞いてみると、あれが遺跡だと彼女は言う。


もう少し時間がかかるから、小テストでもして時間を潰そうと彼女に提案されて敵性体について覚えたことを試されることとなった。


ひとまず、俺は気になっていたジェリカンもといジェリタンについて聞いてみた。


なんであんなイラつくふざけた格好だったり、コミカルな動きなのかと聞くと彼女は気にしないで撃っちゃえばいいんだよと彼女は言う。


そんなもんかと腑に落ちなかったが彼女が不敵な笑みを浮かべて小テストを進めたがっていたので大人しくいうことを聞いた。


しばらく、口頭で敵性体について質問され、答えていった。


答えが合っているようで彼女は上機嫌になって俺を褒めてきた。俺は素直に喜んで小テストを幾つも解いていった。間違っていたらちょっとした罰があるからねと彼女は言う。


問に順調に答えていく。しかし、ここでヤツが出てきた。 そうだジェリタンだ。 名前が出てくるだけで忌々しくすら思えてきた。


ジェリタンを脳裏に描いてしまい映像が動きだす。コミカルな動きに加えて、くちばしのように見える放出口やバッテンの凹みがやたら憎たらしく思え、俺を苛つかせていた。


テストを一旦止めてもらい、彼女にジェリタンに対しての憎悪がなぜか湧き出てくると訴えた。


敵性体の中には変な動きをするものも多く、多くのハンターたちを動揺させてきた実績があるらしい。


神経を逆なでする理由は未だに不明であるが退治してしまえば気にならなくなるので、ずっとイラつかせる理由は放置されてきた。


ムサシが苛つくのも当たり前だと言われた。


優秀なハンターはそういった動揺を抑えて獲物を狩るものだと、その訓練をこれから身に付けるんだと説明された。彼女は俺を優しい生暖かく感じる目で眺めていた。

そういうのが新米ハンターが通る道だと、なんか懐かしくて笑えてくると言っていた。


ついでだと、ジェリタンについて解説が始まった。


街なかにも制御された個体がいるらしい、そいつらは街路樹などの水やりから船や車の整備で使う液体などを運ぶ役割を果たしていると。しかし、荒野に出る野良ジェリタンはAIが狂っているらしく人間に襲いかかってくるらしい。


比較的よく見る種だそうで脚に色々なバリエーションがあるそうだ。


小銃でぶち抜けるので見つけ次第に倒せば爆発炎上して残骸になるらしい、気をつければそんなに危険ではないそうだ。


ただし、入り組んだ所や岩の陰などにひっそりといるらしいので、出会い頭にならないように気をつけろとのことだった。


大抵は液化燃料の臭いがするので近づいてくることがわかるらしい、あと携帯端末の金属センサーにも反応するのでわりかし発見しやすいそうだ。建物や金属が散乱している場所ではセンサーがバカになってしまうので人的センサーが有効だそうだ。とデータにない生の情報を教えてくれた。


しかし、ジェリタンの話はそこで切られて人間の感覚についての話が始まった。


人間の五感はこの世界でも有効に活用しなければいけないようだった。技術に頼りきりというのも問題なのだそうだ。アミはワリと五感を使った索敵が得意だそうで、それが講じて斥候の兵種をメインに仕事をしていたと彼女は言った。


閉所での戦闘もそれなりにできるので探索任務も多くしていたと。

結構、実入りがいいらしい。

アミが何かを満足した様子で深く呼吸をした。そして、また小テストが再開した。


かなりの数を質問されて答えていった、生きるためになると記憶力が増すようだと自分自身で記憶できている量に驚いていた。

アミがそろそろ遺跡が近づいてきたと教えてくれてたので小テストは終了された。


テストを答えながら遺跡をたまに見てチェックしていたが俺の遠近感が狂っていたらしく距離を縮めるほど、その遺跡は大きくなっていった。


比較対照できる物体が他にないために、いつまでたっても大きくなり続ける。その物体は黒い岩肌がおぼろげに見えてきても、まだ大きさがよくわからなかった。


船がその物体に差し掛かった辺りでようやく大きさの判別がつけた。


この船自体が、おそらくはビルの10階建てを余裕で超えているので、それ以上だと判断した。


見上げるようになってしまったその物体はおそらく6倍以上の高さだ思われた。

下の方を見ると裾が扇状に広がっているように思え、全体としては円錐状の形態をしていることが予想された。


小さな富士山とでも言えばよいだろうか? 角度が変わりてっぺんにあった赤い物体の近くに似たような白い太い柱のような円柱状の物体が見えた。


通り過ぎる頃になってようやく後ろの面が見え、その物体がなんであったかわかるようになった。


船の進行方向から見たら黒い岩肌で埋もれていたが後ろになって背面が見えるようになるとその物体はスペースシャトルであることがわかった。


形はだいぶ変わっているがシャトル本体が見えて、シャトルの先端側から一番大きい赤いタンクの上側が覗いていた。


赤いタンクの左右に細長い白いタンクがあった。岩肌に埋もれて全容は見えないが露出している部分がスペースシャトルの特徴を示していたので存在を理解できた。


アミが楽しそうに俺を眺めている事に気がついた。


「こんな感じの遺跡とか好きそうかなと思ってさ、どうかな? 」


「俺さ、スペースシャトルを生で見てみたかったんだ……それがこんな形で実現するとは……ちょっと未来っぽいデザインで俺の世界のとは違うけど、凄くいい……心が揺さぶられる」


「よかった! 結構埋もれちゃってるけどこうやって見るとなかなかでしょ? 」


「あぁ……朽ちたスペースシャトルがこんなにいいものとは思わなかった。 しかも、これスペースシャトルの組立施設から出てくる時に乗っかって移動するバカでかい台車もあるじゃないか? シャトルの下側に四角い土台と無限軌道が見える。」


「あー? クローラーって言うんだったかな? たしか……クローラーヴィレッジとか言うのあったから、そう! クローラーでいいんだ」


「クローラーヴィレッジだと? それについて詳しく聞かせてもらおうか? 」


「ちょッちょッ! ムサシ! 近い近い!! いつになく喰い付くね? えっとね。 クローラーの上に村があってね。 しかも、その村は移動できるの」


「なんだと……? 」


「移動する村。 縦横だいたい40mぐらいかな? ちっさい村だけど。移動ができる素敵な村なの」


「クローラーを村と言い張るセンス……いいセンスだ!! 」


「たまに私達の都市にも来るからさ、来たら見に行こうか? 」


「アミ!! 是非にお願い致します。 俺、こう言うのに弱いんだ。何ていうか巨大建造物ってだけでもイケてるのにそれが動いて、、さらに村にするなんて……発想が素敵すぎる」


「熱量がすごいよ?。 ムサシ。怖いくらい……」


「ごめん、ごめん。しっかし歩行戦艦といい、クローラーヴィレッジといい、どれだけ俺をワクワクさせるのだ? 」


アミがドン引きしている。少しずつ俺から離れていく。


「よーし、落ち着こう、ムサシ。 深呼吸して、ハイ!! 吸って!! 吐いて! 吐いて! 吐いて! 」


アミに諭されて仕方なく深呼吸をする。 冷静になってくるとあの遺跡が気になってきた。


「なぁ? アミ。あの遺跡は生きてるのか? かなり古いものに見えるけど? 」


「それは遺跡だもの。遺跡って古いものじゃない? 学者さんが遺構と言うよりは遺跡って言ってたから、とにかく古いものだって」

「堆積物が山になるくらいの年代物って言うわけか。凄いとしか表現ができない」


「一応、てっぺんに通信アンテナと監視カメラなんかのセンサー郡を取り付けて、見張り台みたいな使い方はしてるけど、スペースシャトル由来のものは大抵は古くてカチンコチンに石みたいになってるって言ってた」


「それもあれか? ナノマシン的なオーバーテクノロジーでどうのこうのしているのか? シャトルの堆積物は実はナノマシン由来の廃棄物とか保護剤とか? 」


「そんな感じらしいね、よくわかったね、ムサシ。遺跡でたまにナノマシンで包まれた綺麗な発掘品があるらしいけど、あそこでそういうのが出たって話は聞かないかな」


「あぁ、この少し不思議具合!! 遺物発見して、そこで何があったか想像してさ! パーフェクトだ!! 中に入って探索したいなぁ、ロマンに包まれたい……俺の廃墟探訪魂が疼くなぁ」


俺は恍惚とした感情の渦の中にいた。


男にはロマンと言う物語が必要だ。平和と愛とかも大事ではある。


だが、この世界はどう考えてもロマン成分にあふれている。


そうだ!! 溢れていて欲しい。前の世界では許されるはずもない、そんな非道でさえ肯定されるのがこの世界だ!!


「おーい、ムサシー? 帰ってこいー? 」


アミの声によって現実に引き戻される、ひどい妄想に浸っていたようだ。

遺跡やら発掘品やらで、暴走してロマン気分に浸っていた。


「ごめんごめん、アミ。 こういうの好きなもんでつい脳内暴走してた」


「まぁ、仕方がないよね。特級発掘品ならもの凄く高く売れるし、名声も上がるし、技術回収なんかできたら特別報酬で素敵なことになる」


今度はアミがうっとりしている。


「そういうのもあるのか……」


「あーでも、ムサシはまだまだ行けないよ? 探索の技術もないし、ハッキング技術もないでしょ、ナノマシンの知識もないし、そもそも敵性体やら防御機構やトラップやらで危険だよ? 」


「身につけるさ! そのために訓練があるんだろ? 」


「それはそうだけど? ムサシは船に興味があるんじゃなかった? 戦艦とか駆逐艦を見る目がやばかったのあたし見てるんですけど? 」


「それはそれ!! これはこれなの!! ロマンの方向性が違うんだって!! とりあえずあ、あのスペースシャトルに登りたい」


「あそこは軍の持ち場だから一般人はいけないよ? 軍隊に入るのムサシ? 」


「あれ? 俺、軍隊の訓練受けるんじゃないの? この前も銃とか触ってたし? 違うの? 」


「市長の説明とかで聞かなかった? 」


「聞いてるかもしれないけど……ごめん。覚えてない」


「軍人と民間に分かれてるんだって、軍隊はいい装備や乗り物が扱えるけど厳しいよ? 民間は民間で自由が効いて好きなとこに旅に行ける。費用は依頼とかと組み合わせてうまくやんなきゃいけないけど」


「アミ!! 俺、頑張って覚えるよ。報酬がわかった以上、あとはやるだけだ!! さぁ、テストを続けてくれ!! 知識を俺に教えて下さいお願いします」


「なんか凄いやる気だね、よーし! 教官頑張っちゃうぞ!! 」


それをきっかけに船での缶詰勉強生活に拍車がかかった。 。


アミの講義は熱がこもり、情報量は膨大になっていった。それでも俺はついていけた。目の前にエサがぶら下げたからだ。途中でナギやクリスが勉強に乱入してきたりしたが、それはそれで生きた知識を得られて勉強ははかどった。なによりアミ教官の腕がいい、褒めて伸ばして叩いて覚える。なにげに厳しい所は厳しい。だからこそ身につく。叩きの部分は想像に任せる。愛のムチってやつだ。


俺は数日間、ひたすら学習していた。


ご飯は女性陣と一緒に食べた。そこでも敵性体についてのレクチャーやサバイバル技術についてを教えてもらっていた。食事の時間すら有効活用した。


たまにお仕置きされたこの間の荒くれ者を目の端で見つけるが彼らはすぐに姿をくらましていた。

逃げる際に「もう勘弁してください姉御!! 」と言って逃げていった。

聞くと何回か出会ったので威嚇したそうだ。


内容は聞くまい、彼らの反応を見るにそれなりに痛い目に会っているようだった。


俺は彼女らを怒らせまいと心に誓った。こんな感じで船内生活を充実させていた。


だが、終わりが近づいてきたことを知らされた。アミ教官からお言葉を頂く。


「下準備は上々、詰め込むだけ詰め込めた。明日の朝に下船するからね。今夜は十分に体と頭を休めること」と告げられた。


部屋に戻りベットに横たわり明日のことを考える。訓練は厳しいものになるであろうと。そんな事を思っていると睡魔に襲われて俺は誘惑に負けて寝てしまった。




船は闇の中を悠然と進む、静かな船の歩行音が荒野に響き渡る。

2つに月に照らされた孤独な船のシルエットは荒野にミッドナイトブルーを描いた。

ムサシたちを乗せて無限に思える荒野を進む。


遠くにはジェリタンの群れが土煙を上げて走っていた。

その群れの中に爬虫類顔のノーズアートがある他に比べて大きなヤツがいた。

そのノーズアートの表情は紛れもなくムサシの運命ををあざ笑うかのようだった。


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