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歩行戦艦ビーケアフォー 絶対対艦歩行主義  作者: 深犬ケイジ
第2章 タンクウォッカ
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第18話 大切な講義

 乗り込む船をぱっと見る。普通のフェリー船であった。

しかし、4本の脚があり、船の舷側には小さい大砲がいくつもあって妙な感じだった。


船に乗り込んでみると船内はいたって普通な感じであったので安心した。

通路を歩いていくと他の乗客とすれ違った。


ここでも日光を遮るような被り物やマントの類を見に付けているものが多かった。 

しばらく歩いて客室に着く。扉を開けて中に入り、俺は一息ついていた。


窓はなくてロッカー、机と椅子、ベットがあるホテルの一室といった感じであった。

荷物をおろして部屋を物色しているとアミの声がした。


「ムサシはまっさきに巣作りするタイプなのかな?」


声をかけられ振り向くとドア向こうからアミが覗いていた。


「部屋の認証はドアに触れた時に終わってるから、部屋から出るときに自動ロックがかかるよ。どうしたの?」


「便利な世界だよな……いや、部屋は普通なんだなと思ってさ」


「向こうの船もこんな感じなんだ。 もうちょいしたら予約してある会議室でお勉強だよ」


「了解、持って行くのは端末ぐらいでいいのかな? 」


「んー。 体ひとつで問題ないけど? 持ってきてもいいよ」


俺は荷物から端末を取り出した。


「特に思いつかないから端末持ってくよ。準備できました」


「了解、では会議室に行きましょうか。他の人もいるから私には教官として接してください 」


アミが妙なポーズで次の言葉を待っていた。


「イエス、マム」


満足そうに笑っていた。




会議室は階層が違う為に階段をいくつか登った。途中では広いスペースの大部屋があったりして作り自体は本当に自分の知っている世界の船の中だった。


違う点といえば武装した乗客、武装スタッフ、自動人形、そして船の武装と脚、車両甲板にいる戦車であった。




彼らは出港の準備をしている様子で忙しそうにしていた。


汽笛が聞こえ、体に振動を感じた。船が動き出したようだ。


脚の踏みしめる歩行音であろうか重厚で低音で響く音があった。


思っているほど音や振動や揺れは気にならなく、そのうち静かになり、気にならなくなっていた。


俺達は会議室に到着した。


部屋に入ると見たことのある顔が二つあった。


「やーやー、ムサシ!! こんな所で奇遇だなー!」


「こんにちわ、ムサシ。あなたもこの便なのね」


小さく手を振っているナギとクリスが居た。


「アミちゃんも、こんにちわ」


どうやら、ナギとクリスはアミとも知り合いであったようだ。


「ナギは車のメンテでお世話になっていて、クリスには発掘品を買ってもらってるんだ」


「なんだ知り合いだったのか……なんか教官ぶってて、なにか引っかかると思ってたら、これを隠すために芝居を打っていたのか」


「ムサシの驚く顔が見たくってね。ちょっとイマイチだったね」


「だってさ、研究所の時とか知ってる感じだったし、同じ都市に住んでればって思うだろ?」


「それはそうか……次のネタ仕込まなきゃな……」


ブツブツ言っているアミをよそにナギとクリスの座っている席のそばに座った。


アミは端末を弄って準備をしている。


「訓練ではご一緒させてもらうよ。ムサシ」


「ナギとクリスも同じ訓練を受けるのか?」


「サラがそうしてくれたみたい。もっとも優秀な教官に合わせたら偶然にムサシと一緒になったってかんじだけどね。ちょっとナギ押さないで」


「ごめん、クリス。ムサシが見えなくてね。それはそうと、この間は残念だったね」


ナギがとっても良い邪悪な笑顔でこちらを見ている。


「なんのことですかねー? 俺は部屋に送っていっただけだしぃ? イミガワカラナイヨー?」


「私も酔っていてね。 少しそのなんだ……すまなかたな。 改めて謝罪する。もし、君が船乗りを目指していたら危ないところだったよ。部屋に戻ってから気がついた」


「船乗りって? 危ないって、どういうこと? クリス」


「知らないのか? 本当に危なかったな。 ええと、そうだね……」


「ムサシは外の仕事で何を目指すんだ? 船? 戦車? 体一つで渡り合う?」


「あー。 ぼんやりとしか考えてなかったけど戦艦に乗りたいと思った。 艦長になりたいとも思った。さっき、そんな感じに思ったばかりだけどね。なにか目指すなら一番上まで目指さないとね」


「危なかった。ごめん、ムサシ。あたしそこまで考えてなかった。サラがいい感じに潰れて。ムサシっていういい素材があったからつい……」


「いや、ナギ。そこまで謝らなくてもいいよ。俺だってサラさんを無事に部屋まで送ることしか考えてなかったし」


「紳士なのだな、ムサシ。 今どき、好感を持てる珍しい男だな」


「クリス……。ありがとう。俺は紳士を目指していてねっと。危ないって何さ?」


「ちょっとナギ、押さないの」


「船に認められるにはな。Hをしちゃいけないのさ」


ナギがドヤ顔でなんか言っている。


「初回コンタクトでは清い心と身体で船に接しなければいけないって、そういった俗説があってな」


クリスが真面目な顔をして説明してくれた。


なんだと? 船に認められる? 清い心と身体だと? そういう事があるのか? 俺は困惑した。ぼんやりと目標を定めたばかりだったが、俺の艦長への道にはそんな障害があるっていうのか? なんだと……


そんな事を考えていると前の方から声がして思考が止まる。


「注目!! これより。新人教育を始めます。よろしいですか?」


アミが大きなスクリーンを用意して、教鞭を持って前に立っていた。


急に彼女が大人びて見えた。服装も変わっておらず、そんな気がしただけなんだが雰囲気が張り詰めていた。


「今日の講義は三人だけだから随時、質疑応答します。映像の途中でもいいから、何かあっても気軽に聞いてください」


アミが端末を操作しているとスクリーンには市長のサラが映し出された。


この人は何かしらで出てくるな。いい仕事するから仕事が増えるのか?


部屋も暗くならずに鮮明な映像が出ていた。


タイトルが流れ、新人教育用ムービーと表示されていた。


次に敵性体についてと表示された。その内容についてサラの声でナレーションされていた。




敵性体は3種類いて、生物、半分機械のモノ、機械が確認されています。

残念ながら現在でも全容は解明してはいません。危険度でカテゴリー分類して数字が大きいほど危険です。大きさによるカテゴリー分類は戦車級とか戦艦級とかです。種別によるカテゴリー分類で生物とか機械とかですね。ちなみに分類は現在精査中です。大まかに分けられていると考えておいてください。将来的に変更することも有りえます。


生物

地球産の生き物が多く、適応進化が見られます。稀に特殊な形態の分類不能な種がいます。

食料や希少物質など資源になります。一部生物に人類にとって家畜化する可能性があります。 


半機械

資源採掘用、探索用、防衛用、攻撃用等の様々な種類がいる模様。

大型中型小型に分類され、虫サイズの機械も確認されています。


そして機械体や半機械体は地球産の生き物を模倣しているものが多く、生物の形態から離れるほど強力で危険になります。


推測の域ですが資源採掘用、探索用、防衛用、攻撃用等の様々な種類がいる模様。

大型中型小型に分類され。虫サイズの機械も確認されています。


機械

建築、戦闘、資源回収、偵察、修理、娯楽などと思われる様々な用途のロボットや機械人形になります。テラフォーミング時代の名残という説もありますが調査中です。

AIが狂ったのか人類を敵と認識して襲ってくるモノがいます。

普段は自分に与えられていた命令や作業の名残を元に行動しているようです。




特殊な敵性体について


野良軍艦、野良戦車について

基本的に中立で攻撃しなければ安全な機械類になります。

詳しくはは後後述する。


レイダー

彼等は薄い緑の皮膚をした人間に似たモンスターです。

見た目と血が緑色で暴力的な行動を取るレイダーと言う生き物がいます。

過激な格好を好み残虐で思慮が足りない戦闘狂の生き物になります。

車の運転はできるが修理ができない。車の自動再生を理解している模様。

どの様に生まれ生活しているか未だに不明ですが集団生活をしたり、車や銃を扱えたりする一定の知能が認められます。

ただし人間性は存在せず、理解しがたい文化を形成しており、奴らの生活圏内に死体を分解して飾りつける風習があります。おぞましい物体があれば付近に彼らが存在するので警戒してください。

廃墟や洞窟、捨てられた船の残骸や施設に住み込んでいるものが確認されています。

発見次第に都市に連絡して、可能なら駆除を行ってください。


謎の敵性体

つい最近に確認された敵性体です。

触手と樹木と機械を合わせたような物体は新種の可能性があり、新たな敵性カテゴリーになるかもしれません。

判明している特長は樹木の根っこの様な黒っぽい触腕の様な物体の集合体で青白く発光する複数のラインがある。

詳細は不明、現在調査中になります。


色々な敵についての 姿、生態、特徴を細かく解説しているムービが長く続く。


「ここまではいい? 」


アミが映像を止めて俺たちに聞いていた。


「基本的に生物系は手を出さなければ襲ってこない中立のモノが多です。狩られそうになったら逃げたり、立ち向かったりするでしょ。そんな感じです。ただし機械体には人類を発見次第に襲いかかるものが多いです。見かけたら注意して隠れるなり逃げるなり迅速に対応してください」


「レイダーって何?」


知らない単語だったのでアミに聞いてみた。


「レイダーはサーチアンドデストロイ! いい?」


「あのアミさん?」


「必見即殺」


「アイマム」


すごい剣幕で押し切られた。思わず飲み込まれてしまった。


「これらの脅威に対しての戦力が艦船、戦車、兵士になります。ここ数十年の間の話になり、不明慮な点も多いですが判明している事を伝えます」


「なんでここ数十年なんだい?」


気になったので聞いてみた。


「基本的に殻に閉じこもってたからね、人口増加でライフラインの構築に時間がかかったし、安全のために引篭もる方針だったし」


「うなぎから変わったと」


「うなぎだね……うなぎから探索の時代になってデータが回収されて乗り物や兵器が生産されるやうになった。汝よ、うなぎあれって有名な言葉があるくらい」


ナギとクリスが頷いていた。


「食い意地って大事だな」


「うん……続けても?」


「続けてください」


「では次に進みます」


またサラのナレーションと映像が始まった。




技術的に第1次大戦期、第2次大戦期、第3次大戦期、オーバーテクノロジーと分類されています。

これ以降はWW1、WW2、WW3。そしてOT、と言い方を変えます。

戦間期に関しては未だに意見が分かれ、議論が続いています。

不明点は多いが運用実績により解明した部分の情報になります。


陸上艦について

なぜ存在するか……なぜ重量物である構造体が動けるかある程度のことしか解明されていません。OT技術で動いている。人類は利用できている。そんなレベルです。


動力はOTによる融合炉と思われます。水や大気を燃料にしている可能性がありますが無限炉の可能性も示唆されています。

大量のエネルギーを消費する時に黒煙を発生するといった特徴があり、オーバーロードが発生するとハッチを開放して冷却が行われます。

修理、メンテナンスに関しては基本的に都市にて行います。

自動ナノマシン生産プラント等、自己修理やメンテナンス機能を有していますが、使用には相当なエネルギーと時間が必要で動作を停止させて行う等の制限があります。

ライフライン系の小型プラントを搭載しているものもあり、大型艦は都市機能レベルのプラントを有している事もあります。


シールドスクリーン技術を有しており、強力な防御シールドの順に移動機関、艦底、喫水線下、舷側となり守られています。

通常の戦車砲では打ち抜くことは困難で戦車からの攻撃は喫水線より上を狙うことが推奨されています。

基本的には機銃座やセンサーを狙うことが多いようです。


移動形式は重力操作技術で船体重量を減らし移動していると考えられています。

移動形式は履帯、車輪、脚、浮遊が確認されている。

最高速度、加速、転回、登坂能力、不正地対応能力、水上航行可能などの違いがあります。

一番メジャーな移動方式が脚によるもので、これらを歩行艦、歩行船と呼称しています。


大雑把な分類として戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦、その他艦船として分類しています。

攻撃能力の特徴としてはWW1の艦船が多い舷側砲。WW2が大型化砲塔、豊富な機銃類。WW3が小型艦砲、精密射撃と単位時間当たりの発射数、ミサイル兵器などの無力化による著しい攻撃能力の低下があげられる。


そのほかの性能は艦種、時代、用途によって様々な性能になります。


特徴的なのはWW2の戦艦で防御シールド、装甲性能が一番強固になります。

WW3に関しては軽装甲、高機動といった特徴があります。

ちなみにWW1の艦船に関しては低性能な傾向が見られますが小型砲の数が他に比べて多く、防衛面や迎撃などで活躍しています。


機関出力、システム、運動性、機動性、センサー類、ダメージコントロール、自動化。これらに関しては時代が進むほど高性能化していく傾向が見られます。


WW1は自動人形やドロイドが自動化技術を補い、WW3に関しては艦の制御系に関して完全自動化となっています。WW2は混沌としていますので省きます。基本的に時代が進むにつれて自動化が進んでいると考えてください。ただしイレギュラーは多い模様、そんなに分かってない点が多いのです。


弾薬や魚雷の代わりのパンジャンドラムなどは都市生産に依存しており、最近になりますが単純な弾薬はプラントに頼らない生産が実現しました。


大型艦についてはほとんどが都市や軍の所有となり、一般船舶、旧型艦、小型艦は民間で所有する事が可能です。

ただし例外はあります。民間企業による買取や遺跡発掘などで大型艦を入手することも無きにしも非ずとなります。


空母に関しては航空機運用ができない為に運用が迷走しているのが現状です。

潜水艦は未だ発見されていません。

この地域の人類到達点から視認できた海がありますが敵性体優位地域、地形的な障害により、今のところ海に近づくまで足を進めれたものは居ません。


「土潜艦? 地中艦とかあると思ったらないのか……残念だな」


「そういうのがあったら地下遺跡とかに潜れて便利そうだね。あったらいいけど……今のところ報告されてないね」


「他に質問は?」


「ありません」


「すこし休憩しましょう」


そう言ってアミは端末でなにか操作している。


「みんな、休憩中に飲みたいものある? 適当に頼むよ?」


「ビールください」


「あなたはどこにいってもそれね、ナギ?」


「ビールはまだ早いでしょ。炭酸水でも飲んでなさい。注文をお願い。席を少し外すわ」


「私も」


ナギとクリスは外に出ていった。


「俺、トイレ行きたいんだけど? どこにあるのかな?」


「外出て、左にずっと行ったとこ」


「サンキュ、いってきます」


通路を進みトイレに行く。


俺は戦艦に対する自分の思いを考えていた。


用事を終えて部屋に戻るが考えは続く。


湧き起こる情熱は確かにある、それと同時にモテる事についても願望はあった。


この思いが正しいのかよくわからなかった。


考えていると部屋に戻っていた。


部屋には自分ひとりだけだった。


そのうちに自動人形がん飲み物を持ってきていた。


ロボット技師もいいかなとか考えていたらみんなが帰ってきた。


飲み物を各自で受け取り、自動人形が帰っていく。


女子達は今日の夕飯について話していた。


「外に来るととたんに貧相になるよね。エネルギーバーで済ませちゃうこと多いものね」


「暫く続くよ?」


「あぁあぁぁ、ご馳走が恋しい……」


「悲しくなってくるから続きをしましょうか?」


「そうだね、お願いします」




戦車について


戦車を車と呼ぶ、バイクも含みます。すべては車になります。脚がついていても履帯でも浮かんでいても車です。良いですね? 


「戦車の定義が崩れる……」


「すぐ慣れるよ」


ナギが手をひらひらさせて言った。


WW1、WW2、WW3。OTの世代による違いについて

基本性能、砲技術、センサー類、装甲、機動性、運動性、機関出力、自動化などの違いは時代が進むにつれて性能が上がると考えてください。

移動形式は履帯、車輪、脚、浮遊が確認されている。

全ての車において修繕機能や自動メンテナンス機能、重量軽減機能、摩擦軽減のようなOT技術が用いられているようで頑丈、壊れにくいなどお手軽な運用が可能となっています。

脚式、浮遊式は重力操作技術とフィールド固定技術と思われるもので重量を減らしたり、力がかかる部分を強化して負担を軽減させて移動していると考えられています。


車は比較的簡単に個人所有することが可能です。

自動工場からの生産だけでなく、自力で制作するものもいるようです。もっともOT技術が使われない為に運用性能が著しく低いものになります。しかし、カスタマイズが可能なので人気があります。

優秀な技術者だとOT技術をうまいことやれる方もいるようですがお値段が凄いことになります。

艦船よりは研究が進んでいて技術発展が望まれています。

WW3の戦車は数も少なく性能が良いので都市や軍で運用することが多いです。


「一人で戦闘できるの?」


「一人乗り、二人乗りは好みかな? 全部一人でやる人もいるし。一人乗りでも機械人形を入れて攻撃手と運転手で分担することもあるね。自動装填装置とか改造もできことはできるみたいだし。あとは乗れるだけ乗り込む寂しがり屋もいるみたい。 好き好きかな? 」


「自動化に関しては最悪、機械人形で対応する力技があるから、結局お金次第ね」


「世知辛いのは変わらないのね」


「でもね、私達の都市は人的資源を可能な限り大切にするから他に比べたらかなり幸せだよ?」


「他の都市の話は……」


「聞かないほうがいいよ……」


アミの表情が曇る。


「聞かないどく……」


「ちなみに船と戦車に関しては都市に訓練施設というの建前のゲーム施設があって、そこで実戦さながらの訓練ができるんだ。大会まである始末です。ゲーム自体がOTで作られてるので内容は実世界レベルになります。本当にワケが分からない技術です」


「優勝はなにかもらえるの?」


「賞金とか現物支給もあったね」


「現物? 戦車とか船とか?」


「ぶっとんでんな」


船や戦車がもらえるのは良いなと思っているとナギとクリスが話していた。


「交易に使えるから会社を起こす人とか売ってお金にする人もいるね」


「こないだ俺の戦車コンテストとかあってな。ものすごい金がかかった改造をさせられたっけ」


「船が優勝商品になったときは熱のこもり方が違うよね。何ていうか? ヤバイ」


「そうね。危険な香りがしてくるレベルね」


アミが困った顔をしていた。過去になにかあったようだ。


思わず彼女に語りかけた。


「なんなんだろう、この都市の情熱の注ぎ方って……なんか文化が違う?」


「そのうち慣れるよ」


アミは遠い目をしていた。



兵士について


分類はコモン ドライバー ランドセイラーがあります

歩兵関係、車関係、船関係と認識できていれば問題はありません。


「技能が被る事もあるのでそれほど気にしなくていいよ。 私なんか斥候で探索者で狩人でドライバーでマリンコでもあるから全部混じってる事になる。 あれだね、大事なのは最初にどの技能を見に付けるかだね」


「ほー、 なんかお勧めあるの?」


「船付きの護衛かな? 船にいれば大抵は安全だし、歩兵技能も身に付くし、なにより世界をたくさん見れるしね」


「軍艦は魅力的に思えるな。ランドセイラーかな……」


「私達もランドセイラーを希望しているんだ」


「安全は本当に大切だ」


ナギとクリスが深刻な感じで俺に教えてくれた。




強化人間、サイボーグ、機械化の順番に人の形に近しい形態となっています。

機械化になると腕が2本以上だったり様々な機構が追加されたり、逆に小型化したり変化が大きい様です。

サイボーグと強化人間の種別は見た目では難しいです。基本的に機能追加されているものがサイボーグと思ってください。

パワードスーツの分類で揉めているようですが個人的には機械化で良いんじゃないかと思ってます。


銃火器類について

WW2、WW3の武器が生産されている。

プラントに頼らない生産が確立しつつあります。

発掘品でWW1が出てきますがコレクターに高値で取引されています。



共通事項


生産物について

都市生産は一定の上限があり艦船や車、物品ごと等に上限数が定められています。

OT技術に依存した環境下で一応の管理され運用しています。保有数は外部資源の持ち込みなどで変わることもありますが維持リソースなどの理由で際限なく生産できる無限のシステムと言った夢の実現には至っておりせん。OT技術によるエネルギー生成、物質転換炉や原子変換炉、有機転換炉などOT技術によって私達の生活は支えられています。これもまた完全な技術解明がなされていませんが活用はされています。これらは市議会によって管理運営がなされています。


AI類について

高度知能を持つAI程、敵性体やアノーマリーによるECMや電子攻撃等を受けやすく、基幹部分は人間よる制御が必要となります。車や艦船等の兵器類の重要区は防御が施されており、影響を受けることはありませんが防御機構を持たない自動人形やAI制御の多目的ロボット等は最悪の場合、行動不能に陥ります。遮蔽区画や防御区画にいる場合は大きな影響を受けない場合があります。


使用不能兵器について

完全自立兵器、ミサイル等の誘導兵器、航空兵器、ABC兵器、一部ロケット兵器、、は使用不可能。原因は調査中ですがナノマシン等の影響だと推測されています。

地雷などは土中のナノマシンや機械生物等によりすぐに機能不全になります。


例外として無誘導携帯ロケット兵器等は使用可能になります。

パンジャンドラムは謎技術が多く解明が期待されています。


鹵獲可能な船

非武装艦は基本的に鹵獲可能なカモ扱いで、戦闘艦は駆逐艦レベルであれば多大な犠牲を元に鹵獲する事も可能です。


通常、中型大型艦船は都市で生産され、稀に発掘や都市帰りと言われる、人類を味方と認識する船もいます。

都市生産以外の艦船は基本的に修繕ナノマシンの枯渇等のイレギュラーで都市帰りが発生すると思われています。


戦車は都市生産が主体です。一部に自力生産を試みていますが現状では性能低下した品質になり研究が進められています。

戦車鹵獲に関しては野良もいることはいますが群れだったりして危険性があるので鹵獲する場合ははぐれを狙います。

都市帰りは船と同様です。


マスター権限の取得について

戦車に関しては乗込んでシステムを上書きする事でマスター権限を得ることができ所有することができます。


都市帰りと都市生産以外の船に関しては謎が多く、判明していませんが一部に乗船時にマスター権限を得られると報告がありました。マスター権限は館長、副長、といった順位付けで決められます。

詳細は調査中です。


メンテナンスは重要部分が基本ナノマシン技術頼りで、世代別のナノ技術を使用します。

意地になって人の手で修理や改造も可能ですが、特殊な技能が必要となり費用がかかります。


ジェネレーター、キャパシタ、電子頭脳、センサー機器、足回り、武装等の改造は同世代の技術であれば比較的簡単に改造することが可能です。 世代が変わる場合性能の低下が起こります。

奇妙な事ですが船や戦車に対して改造案をお伺いする必要があるようです。 改造失敗して酷い時は機能不全になることもあるそうですので制御システムに対して電子的お伺いをする儀式めいた作業があります。 


OT技術部分を外そうとしたり破壊される場合は熱を伴わない融解現象が発生して復元不可な状態になります。

その為に不明な事が多く特にOT関連の解明が期待されています。

現状では学者、科学者、好事家達にとって技術解明がされずに困難な解析に対して苦悩の日々が続いています。

一部では自棄になり、困ったことは全てナノマシンを理由にして逃げるものが出てきた次第で都市倫理委員会で問題視されています。




外の仕事ついて


都市間や拠点間の輸送


都市、拠点の防衛や警備


敵性体の調査


天然生物資源、天然資源調査、遺跡調査等の探索


敵性体の間引き


野良軍艦や戦車の鹵獲


賞金首の撃破及び捕獲


アノーマリー関係の対応


「代表的なのはこんな感じかな? 初心者は輸送任務に着くのがお勧めかな。敵が船までたどり着くことはほとんどないから安全だし……敵が乗ってきたら戦うけどね。それでも軍艦に乗ってる他のベテランもいるし。入門用任務になっております」


アミが教鞭を手にペシペシしている。


「慣れてからだと発掘任務がお勧め。発掘で野良軍艦や戦車を見つけることも多いから魅力的なお仕事となっています。そして美味い発掘品、技術回収、文化遺産など都市絵の貢献度が高いので狙い目です。特に軍艦を見つければマスター権限取得の可能性があるからマスターになりたい場合はこれ一点ね。野良戦艦なんて危なくって都市の軍でも手を出さないからね」


「ぐぬぬぬぬぬぬ」


「もしかしてムサシ。 船を狙ってる?」


「まぁね。最初に歩行軍艦見た時に何かを感じたんだよね。今では憧れ的な感情もあるし。この世界に来て一番最初に衝撃を受けたモノだったし。なにより格好良かった。あれに乗りたいと思ったよ。漠然とした気持ちだけどね」


「船をゲットすれば都市も優先的に仕事を回してくれるし、金回りが良くなるよね」


「燃料費用や、メンテナンス費用、諸経費、係留費用ナドナドナドかかる費用は盛りだくさん。本来は莫大なリソースが必要だけど、大抵は都市のオーバーテクノロジーで楽チン解決だからね」


「船持ちは豊かに成れるよね。ほんと……」


「単騎艦で自由気ままな旅の流れぐさで自由奔放なスリリングな生活、会社を起こして都市間を跨ぐ有力者に……ゆくゆくは企業連合体として都市すら配下に置く……夢は膨らむねぇ」


「悪の首領か? 」「言ってみただけじゃん? 」「ちなみに企業連合はまともな団体です」「そうなんだ」


「車乗りだってあるじゃん? 」


「航続距離が短いじゃないの、都市間の距離がどんだけあると思ってるのさ? 野垂れ死ぬよ? 」


「ぐぬぬ」


「軍に所属しちゃうのもありかな……必要なものが全部支給されるからね。自由はないけどね。しかし、安泰安定で内郭街の優先利用やお給料がよいのが魅力。繰り返す、自由はないけどね」


「2回言ったよ」「大事なことだから」「ソウデスネ」


「あとは半軍半民の合弁会社かな、有事には軍の指揮下に置かれる。議会命令や組合命令をなるだけやらなきゃならない。でも、運用コストはかなりの量が都市から支援がある。自由だって結構ある。でも都市に縛られる」


「ハンター組合に登録して自由気ままなってのもあるな。レンタル車で頑張るの」


「報酬が結構持っていかれるじゃん? 」「そらそうだね」「でも車持に慣れれば結構安全に稼げない? 」「能力次第でしょ? 」「結構自由じゃん? 」「まぁね」


「でも危険なんだろ? 」「そらそうじゃん? 」「危険なほど、お金やポイントが多く得られるし特権も多い。そして名声も得られる」「ハイリスクハイリターン? 」「選択次第じゃない? 」「ふーむ」


「「悩みどころだねぇ」」


皆、しみじみしていた。


「一通り終わったかな?」


「そうだね。ムサシにはこのムービーあげるから何回も見てね。 特に敵について暗唱できるまで頑張るように」


「命がかかってるものな。あとでデータください」


「では、講義はこれにて解散」


「ありがとうございました」


それぞれ楽な格好でリラックスしている。


「ナギ、クリス、夕飯一緒に食べない?」


アミが聞いている。


「そうね、ご一緒させてもらおうかしら?」


「賛成」


ナギが俺を見て何か企んでいる様子だ。


「ムサシって外の生活しらないでしょ? スリ対策とか荒くれ者の見分け方とか?」


「うん、少しはアミに聞いたけど」


「食事しながら教えるよ」


「お願いしするよ。ナギ? からかうのは簡便な? 今日は覚えることがたくさんあってしんどいんだ……」


「命に関わるから見逃してあげよう。 感謝するが良い、そしてビールください」


本人を除いてクスクス笑っていた。


ナギ自体は本気でビールをねだっていたらしい。


今夜の宴も長そうな気配がしてきた。

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