田中の社会人モード変換 実践編
何となく書きたかった。特に反省はしていない。
田中は毎朝、泣きながら歩いて会社に向かう。徒歩圏内に会社があるのである。これは歩いて会社に向かう事ができると言う事を示している。つまりは徒歩で会社に行くことができるのだ。自転車や自動車、公共交通機関に頼らず独力で通勤できる領域を徒歩圏内と言う。つまり田中は泣きながら歩いて会社に行くことができるのだ。
一方で、田中はなぜ泣いているのかという疑問が残る。これは田中の仕事へのポテンシャルエネルギーが低いためであると考えられる。何らかの方法によって田中をバレンス帯から伝導帯まで励起することで泣き止ませることが可能であると推察される。
本稿では、田中のやる気スイッチON状態にすることで、田中を社会人モードにモード変換し、泣き止ませることができ、さらには意欲的に仕事に取り組ませることができたことを報告する。
まず、田中のやる気スイッチについて解説する。従来、田中のやる気スイッチは胸部の2対のボタンであると考えられてきた。我々も従来の仮説にのっとり、2対のボタンに対し摩擦法による16連射を試行したところ田中が激しく動揺し、使い物にならないポンコツとなってしまった。これを数度繰り返したが、田中は動揺するだけであり田中を励起することはできなかった。
本実験により、2対のボタンは田中のやる気スイッチでは無いと結論付けた。
次に、我々は田中の後頭部にあるトグルスイッチがやる気スイッチであると推定した。これは田中特有のスイッチであり、通常の人間は有していないものである。赤色で、内部にLEDを有していることを特徴とするトグルスイッチである。トグルスイッチにはONとOFFと記載されているが、通常時はOFF側に傾いている。我々は痙攣法を用いて、トグルスイッチへの16連射を数度試行した。結果的に田中は激しく泣き出し、
「仕事したくないよぉ。ママぁ。もう嫌だよぉ。」
などと、社会人とは思えない言葉を吐き始めたため、本スイッチがやる気スイッチではないと結論づけようとした。しかし、トグルスイッチを16連射ではなくON側に傾けて置くことで、田中が社会人モードにモード変換され業務に励むことが確認できた。
しかしながら、田中のやる気スイッチは平均して3分間でOFF状態になる事が実験的に確認された。この方法では、田中を1日業務に励ませることができないと考えられた。
我々は、田中のやる気スイッチOFF問題について、トグルスイッチにポリイミド製のテープを張り付け、強制的にON状態を継続するようにした。これにより田中の社会人モードが1日継続することが確認できた。
今後の課題として、テープによってON状態に固定した場合、田中が5分間隔で
「フィフティーンラブ!」
のように、テニスの審判らしき言葉を叫ぶと言う問題が残された。
現在、田中にテニスの審判では無いと言う刷り込みを行うことで、5分間隔で叫び声をあげると言う問題が解決できないかを検討している。
ラブオール!