交易都市ベリル
【スピネル王国】交易都市【ベリル】王国領土内で3番目に栄えた街だ。
街に入ってまず驚いたのは、俺が知っているヨーロッパの街並みと遜色がないという事だ。
街とは言っているがかなりの面積で街中には運河も見られる。
街全体が石を基調とした作りになっており、レンガの家に石畳の道、建築物の色も統一されている。
日本で住んでた頃は実際に行くことができなかったヨーロッパ。
全く同じ作りではないのかもしれないが、こんなとこで体験できるとは。
街を見下ろせたら最高に綺麗だろうな~などと考えながら街の中へと進んでいく。
換金所で金貨を出した時は結構驚かれた。
そして、なんと持っていた金貨1枚で、金貨1枚と銀貨5枚に交換してくれたのだ。
まぁ金貨も銀貨も価値がわからないんだけどね。
手に入れた経緯を聞かれたもんで、逃げる様に店を後にし聞き忘れてしまっていたのだ。
換金もできたとこで、次の目的地である宿を探しながら街を眺めていると、すれ違う人皆俺の事を二度見してくる。
視線が気になり自分の姿を見てみる。
たぶんだが服が珍しいのかもしれないな。
馬車から降りていた人の服装はクラシック感がすごい。
女性はドレスを着ているのだがウエスト周りをこれでもか!って程に締め付けている。
色鮮やかな装飾品を身に纏い、中世のヨーロッパを感じさせる。
一般人ぽい人達は簡素な作りに、落ち着いた色が多いみたいだった。
そんな中俺が来ているのは、ジーンズにTシャツ、ジャケット。
似たような服装な人はいないから目立っていたみたいだし、宿行く前に服でも買いに行った方がいいかもしれないな。
道行く人達の多くが着ているような簡素な服を売っている店に入る。
「いらっしゃいませ」
「あ、すみません。一般的な服装を上下2セット選んでいただけないですか?」
店員さんに全て丸投げし服を買う。
下着も買う。
本来俺はボクサー派なのだが、トランクスタイプしか売っていなかった。
無いのは仕方ないと諦め数枚買うことにした。
「総額で9000ギランになります」
「え?ギランってなんですか?」
「ギランはこの国の通貨です。銅貨に言い直しますと9枚になります」
「あ〜。え〜っと、すみませんが通貨の事をもう少し教えていただけないですか?」
「はい、かしこまりました」
店員さんは優しく通貨について教えてくれた。
鉄貨10枚で青銅貨、青銅貨10枚で銀貨と、10枚ごとに硬貨が変わっていき、鉄貨<青銅貨<銅貨<銀貨<金貨<白金貨となり、鉄貨1枚で10ギランになりるらしい。
まとめるとこうだ。
鉄貨 = 10(ギラン)
青銅貨 = 100
銅貨 = 1.000
銀貨 = 10.000
金貨 = 100.000
白金貨 = 1.000.000
服の質は違うが、これが一般的な値段だとすると、ギランと円は同じ位なのかもしれないな。
銀貨を渡し支払いを済ませる。
店員さんにお礼をし、また買いに来ると伝え店を出る。
「これでもう大丈夫だろう」
宿屋探さないと。
さっきの店で聞けばよかったな・・・。
マップを見ると宿屋は複数あるので一軒ずつ調べていくのは面倒臭い。
中心地に向かう途中で商人ギルドってのがあるみたいだな、そこで聞いてみるか。
マップを見ながら歩いていると商人ギルドの前に着いた。
住宅何軒分あるんだろ?3階建てでかなりの大きさで、建物の横には大きな厩舎がある。
商人ギルドの中に入ると綺麗な女性が声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしたでしょうか」
「あ~お尋ねしたいことがあるんですが、この街で風呂がついている宿屋ってありますか?」
「はい、中心街より少し南に行かれた先の繁華街にございます」
「1泊の値段って解りますか?」
「確か1泊、銀貨1枚ぐらいでしたかと思います」
「その宿屋の名前教えてください。行ってみたいと思います」
え〜っと宿屋の名前は【ジェム】・・・あった。
ここが風呂付きの宿屋か・・・なかなか良さそうだな。
まぁ銀貨1枚は高いけど、風呂の為だ仕方ないよな。
「すみませ〜ん。ここの宿屋には風呂がついていると聞いたんですけど・・・」
「いらっしゃいませ。はい、当店のご自慢のお風呂になっております1泊2食付きで銀貨1枚になります」
「じゃ1泊お願いします」
「有難うございます。お部屋は2階の左から3番目のお部屋になります。食事は朝と夜の2回になります」
「はい。有難うございます」
「お風呂に入る先はお声かけください。入る前にご説明させていただきますので」
部屋に入りまずは久々のベッドにダイブだ。
少し硬いが地面に寝るよりは気持ちがいいな~。
俺は少し横になるだけのつもりだったが、そのまま寝てしまった。
意外と疲れていたのかもしれない。
夕食の時間になり部屋に呼びに来るまでずっと眠ってしまっていた。
まだ少し眠いが・・・さっ!飯だ!久々に温かい飯が食べれる!
食堂に行き席に座ると直ぐに食事が運ばれてきた。
今夜の料理はハーブラビットのという魔物の肉を使った料理らしい。
後は、スープはポトフでソーセージが入っている。
魔物を食べることにかなり抵抗があったけど、腹が減って仕方ない。
気にしないように食べる。
勝手なイメージで、もっと質素だったり素朴なイメージを持っていたが間違っていたな。
絶品とまでは言えないが中々美味しかった。
落ち着いたら俺も魔物肉使って料理してみたいな。
部屋に戻り少し腹休めしたら風呂だ!
店員さんに話し掛け風呂の入れ方をレクチャーしてもらう。
魔鉱石?とか魔石?やら始めて聞く単語が出てきたが、まずは風呂に入りたい一心で内容を中途半端に聞き流してしまっていた。
取り敢えず言われた通りやってみるか。
「風呂に水を汲んだら次はお湯にする為、この魔鉱石に触れ魔力を流せばいいんだったよな?」
独り言を呟き風呂に設置された石に触れ魔力を流すと、直ぐにお湯になった。
石鹸で体を洗い汚れを落とし、5日振りの風呂は浸かる。
「あ〜〜生き返る〜〜」
風呂を充分楽しんだ後は部屋に戻り歯を磨く。
この時代ではどうやら木の棒で擦るだけのものらしい。
俺には少し痛かった。
寝るのにはまだ少し早い気がしたので、日課に成りつつある魔法の練習をする事にした。
部屋の中で行う為、窓から手を出し外に向け水をジョボジョボと放出し魔力を使い切る。
魔力を増やす為に限界まで使い切ったら少し休み、回復したらまた放出。
これを2度繰り返し、流石に眠たくなったのでベッドに横になる。
日本で当たり前の様に寝ていたフカフカな布団では無いが、雑魚寝よりは快適に感じる。
次第に瞼が閉じるのに抗えなくなり、夢の世界に落ちていった。
翌日、まだ空が明るんでもいない時間に目が覚める。
まだ暗いまだ暗いと何度か二度寝をしようとゴロゴロするが寝付けず、そのまま日が昇り始めまで過ごしてしまう。
窓の隙間から光が入り込み、完全に目が覚めてしまった為、顔を洗いに宿の裏庭にでる。
裏庭には井戸があり、水を汲み顔を洗う。
朝食までまだ時間がありそうだし、散歩でもしてみるか。
部屋に戻り着替え、宿を出て大通りに向かう。
通りにはまだ誰もいない、車も無いのでものすごく静か、それにこの街並みだ気持ちがいい。
朝の神秘的な光景に感動しながらしばらく歩き回ると、賑やか声が響いてきた。
声のする方に近付いていくと、どうやら街の一角で朝市をやっている様だった。
屋台で野菜や果物に、魚や肉など様々な物が売られている。
活気があって見ているだけで楽しくなるのだが、俺もそれに混ざり物色することにした。
「おばちゃんこれ何?」
「これはリンガンっていって、皮ごと食べれる美味しい果物さね」
「へぇリンガンねぇ~1つ貰おうかな」
「毎度有り」
日本ではどこでも見かけるが、確認の為に購入する。
見た目は林檎その物、味はどうだろうか。
「うまっ」
齧ってみると味も林檎だ、ただこっちの世界の方が美味しい。
俺は林檎を齧りながら他の店を見ていく。
一つ目の魚に、角が生えた兎、見たことが無い物ばかりが売られていた。
食べれるのだろうかと心配になる物が多い。
今必要な物はないが、今度料理するときにでも実験しないとな。
特に買い物はしなかったが、十分楽しんだので宿に帰る事にした。
宿に戻り朝食を食べ宿から出た。
今日は町の探索と安い宿を探す予定だ。
風呂が自慢の宿屋ジェムは最高だったのだが、収入がないのにあの値段を支払い続けるのは危うい。
あてもなく街を歩き買い物をし、世間話をしながら情報も集めていく。
現在いる大陸の西には【帝国】、北に【聖国】、南は【魔族領】があり、スピネル王国は大陸の東に位置しているらしい。
ここスピネル王国は宝石国とも言われるぐらい鉱脈が見つかっている為、それを奪うと他国からの侵略が長い間続いていた。
侵略戦争が落ち着いたのは十数年前なのだとか。
食べ物はの味付けは基本塩のみで、甘未もあるが砂糖が高価になる。
この街の近くにはないがダンジョンがこの国の領地にもあるらしく、一攫千金を狙う冒険者が宝を持ち帰っていた。
ダンジョンは冒険者ギルドなるものに登録してなければ入れないらしい。
と、いろいろ話しを聞いたがダンジョンには惹かれた。
ここから北東の街に馬車で6日、いくつか町を超えて行けば【迷宮都市ジルコン】がある言ってたよな・・・。
外でも料理ができるよう調理道具、食器、食材、は買ったから・・・後は寝具と旅用の服も買ったほうがいいかな?ま、商人ギルドで聞いてみればいいか。
買い物は一旦止め、商人ギルドに向かことにした。
ギルドに着くとさっそく受付の女性が声を掛けてきたので、迷宮都市に行きたい事を告げてみた。
「迷宮都市ジルコンまで行くとなると・・・自分で馬車を準備して行くか、商人の馬車に護衛としてついていくかですね」
「護衛ですか・・・」
「護衛も兼ねてですので雇い主次第になりますね。ですが無事達成した際には報酬が出ます」
「それは俺でも雇ってもらえるんでしょうか?」
「傭兵ギルドか冒険者ギルド員でしたらランク次第で優先的に契約してもらえますが、それ以外ですと難しいかと思われます」
「ん~少し考えてみます」
「かしこまりましたご利用の際はギルドに来ていただければご紹介させていただきます」
「有難うございます。それと、旅をするのに必要な物とか教えてもらえませんか?オススメの店もあったらお願いします」
こうして必要な物を求めてまた街に繰り出すことになった。
ギルド職員さんオススメの店にはすぐに着いた。
必要な物は全て買い魔法の袋に入れていく。
「魔法の袋をお持ちでしたか。なんともうらやましい限りですなぁ」
「この魔法の袋って珍しい物なんですか?」
「そうですなぁ~確か小さいのでも金貨100枚以上はしたはずですなぁ」
「そんなにするんですか・・・貰いものだったんで知りませんでした」
魔法の袋は見せびらかさない方がいいっぽいな・・・。
無事買い物を済ませたし屋台でご飯でも食べるか。
あ、宿聞くの忘れた・・・ま、いいか、どうせすぐ出ていくし今日も風呂付のとこで宿取ろう。
俺は呑気に屋台に向かった。
この時俺は気付いていなかった。怪しい男が後をつけている事に・・・




