贈り物
「マナ・・・今日サヨが誕生日だって覚えてるか?」
「え・・・お兄ちゃんが?」
一人の少女と青年が話をしてる。
少女の名は、マナ。青年の名は、タクマ。
二人は兄妹だ。でも、本当の兄妹では無い。が、同じ家に住んでる家族同然なのだ。
そして、サヨはマナと同じ年だ。なぜ“お兄ちゃん”と呼ぶのかと言うと、孤児院みたいに住んでる家に先に来てたからだ。
サヨの容姿は、女の子みたいに可愛く細身なのだ。
マナは、ボーイッシュで運動神経が、とてつもなく良い。
マナは、サヨを溺愛してる。だけど誕生日を忘れてたのだ。
タクマは、頼れるお兄さんって感じ。
「タク兄・・・どうしよう」
「あと五分だな」
タクマは、腕時計を見てボソッと言った。
「体力はあるか?だいぶ距離あるぞ」
「お兄ちゃんのためだったら!!」
ガッツポーズを取るマナに笑ったタクマ。
「さて、行って来い!!」
タクマの声に走り出した。
目的地は、花屋!!サヨが大好きな花が売っている「フラワー万里」だ。
ここからの距離は、二キロはあるだろう。
しかも、閉店する時間が過ぎる前に行かなくてはいけない。
ガードレールを飛び越え、静かな道路を全速力で走る。
目の前に見知ってる姿がありスピードを緩めてた。
「お兄ちゃん!!」
「マナちゃん・・・どうしたの?急いで」
喋り方さえも女の子っぽいサヨはモテる。
でも、マナが一から潰してるという噂がある。
「あ・・・その・・・」
「遅くならないうちに帰って来てね」
何も言えず黙ってると、優しい言葉を掛けてくれた。
その優しさに胸がギュッとなった。
「うん!!絶対早く帰って来る!!」
サヨに手を振り、先ほどよりも速いスピードで走った。
サヨの笑顔は、マナにとって栄養剤だ。
「見つけた!!」
店長さんが、シャッターを下ろそうとしてたのが見えた。
「奏さん!!」
「んあ?マナか・・・どーした?こんな時間に・・・」
一応だが、時間は八時五十九分だった。
「花・・・ください」
流石に、地元の人達に、神速の姫君と呼ばれても、あの距離は苦しかったようで、息切れしながら答えた。
「どんな花ですか?」
知り合いの花屋の店長の奏は、マナを介抱しながら聞いた。
「ピンクのカーネーションを・・・」
「なるほど・・・サヨくんに?」
奏の言葉にボッと音がした。
その音の元は、マナだった。
顔を赤くして、金魚みたく口をパクパクしてる。
「あ・・・た、誕生日だから・・・」
「クスッ・・・そうかい?」
からかわれてるのが嫌になったマナは、話を逸らした。
「・・・いくら?」
「面白いものを見せてもらったから良いよ。ラッピングはさせてね?」
頷いたと同時に店の中に入った奏。
涼しい夜風が、火照った頬を冷ましてく。
「はぁ・・・流石に“アナタを熱愛”はダメかなぁ」
「ダメじゃないよ。案外サヨくんは気付かないんじゃ・・・」
背後からした声にビビったマナ。
「はい。出来たよ」
「わあ。キレイ・・・」
泡のような飾りが、カーネーションを映えてる。
他にも霞草もあった。
「カスミソウ?」
「切なる喜びや無邪気って意味があるんだ」
無邪気は時に残酷だけどな、と何かを思い出すように言った奏。
「ほらっ、もう九時過ぎてるぞ。帰れ」
「うん。ありがとう!!奏さん」
花を優しく抱え、はにかみながら笑顔でお礼を言った。
そして、来た道を急いで帰って行った。
奏は、そんなマナの後ろ姿を優しく見てるのでした。
「頑張れよ・・・」
先ほどよりも遅くに家に着いた。
玄関で息を整えると、ドアノブを回した。
「お帰り・・・どこ行ってたんだ?」
「陽お兄さん・・・その・・・」
私のもう一人のお兄さんの陽
叱られて縮こまってると声がした。
「陽・・・サヨのためになんだ」
「タクマ・・・はぁ。中にいるぞ・・・」
タクマと陽は、親友同士だった。
助けて貰ったタクマに、お礼を行って走った。
「お兄ちゃん!!」
「お帰り・・・大丈夫だった?」
夜道だったから、と心配顔で見たので、俯いたマナ。
耳が赤かった。
「これ・・・プレゼント・・・用意ちゃんと出来なくてゴメン」
「・・・もしかして、僕のために夜道を?」
頷いたら、バカ!!と怒られた。えっ、とわけが分からなかった。
「なんで、そんな危険なこと・・・外だって安全ってわけじゃないのに・・・でも、無事で良かった」
サヨの言葉に泣き出したマナ。
急に泣き出したマナにオドオドし出すサヨ。
「ごめんなさい・・・っく・・・ごめんなさい・・・ひっく・・・・お兄ちゃん・・・ごめんなさい」
「ううん。僕こそ怒鳴って・・・ごめんね」
優しく頭を撫でるサヨに、まだ、しゃくり上げてるが少しづつ落ち着いてきた。
「これ・・・プレゼント・・・」
「・・・・・っ!?」
花を差し出した。驚いた声がしたが、マナは下を向いてるために分らない。不安に思ってる。
「キレイ・・・今まで一番嬉しいよ」
「ホント?」
まだ泣きそうな顔で見つめるマナに、優しい笑顔を向けるサヨ。
「・・花言葉の意味、分る?」
「・・・」
何か言ったようだが、マナには分からなかった。
でも、渡せた達成感で一杯だった。
「・・・僕も好きだよ」
「陽お兄さんにプレゼントしなきゃダメだね」
「あ!!忘れてた」
次の日の夜に、サヨは言った。
またしても走ったマナ。
用意した花は、クチナシの花だった。
「なぁ、タクマ・・・どういう意味だ?」
「ははっ・・・俺等ってやっぱりシスコンだよな?」
「どーいう意味だよ・・・」
親友同士で会話をしていた。
マナから貰った花を不思議に思いながら。
『わたしは幸せです』
曖昧に覚えてる夢だから、ストーリー性が無いです。でも、ちゃんとした小説を創ってみたい。