各章あらすじ
・姿なき侵入者
ある日、生野亨は友人の浅倉剣也に付き合って、剣也の所属する日本歴史研究会の部室に赴く。そこで、密室だった部室に何者かが侵入した痕跡を見つける。
一体誰がどうやって何のために部室に侵入したのかに頭を悩ませる二人に、友人のクラス委員長がクラスメイトの白本由姫を紹介する。
・消されたページ
亨は委員長に頼まれて彼女の所属する演劇部の手伝いをすることになる。同じく舞台の主演として演劇部に助力することになった由姫と共に演劇部に挨拶をしにいった翌日、舞台で使うはずの戯曲から二ページだけが盗まれていたことが発覚する。
果たして、なぜ犯人は盗んでも誰も困らないものを盗んだのか? また犯人は誰なのか?
・入れたのは誰だ
いつものように剣也でだべりながら登校した亨の下駄箱にビリビリに破れたラブレターが入れられていた。あまりに意味不明なできごとに困惑した亨は剣也と共に恋愛マスターの友人・丈二貴久のもとを訪ねるが……?
・許されざる水彩
久しぶりに部室に訪れた亨は部活の先輩の的場凪子と話をしていると、お隣の美術部に所属している由姫に呼ばれる。何でも、美術部に置いてあった水彩画が密室状況で何者かによって水浸しにされ、その容疑が最後に鍵を使った亨にかかっているらしい。亨と由姫は協力して事件解決を目指す。
・隠遁の切札
夕方、亨と剣也はスーパーのラーメン屋で雑談をしながら時間を潰していると、小学二年生のときに引っ越した旧友・藤堂海翔と再開する。思い出話に花を咲かせる中、話題は当時行っていたかくれんぼの話題へと移る。
亨と剣也、それから当時の友人二人の四人がかりで探しても藤堂を見つけられなかったのだ。亨と剣也は偶然やってきた由姫と彼女の友人の萩原夏美を交えて、藤堂が隠れていた場所を推理する。
・狙われた傘
雨の日の放課後、委員長の傘が誰かに盗まれたことが発覚する。偶然近くにいた亨は残っていた傘の本数と昇降口から下校していった人間の数を憶えていた。存在していた傘の数は委員長の傘含め二本。下校した人間は三人。亨たちは三人のうち誰がどの傘を持っていったかを推理していくが……?
・描きたい願い
ある日、亨と剣也のところへ、中学からの友人・各務原雅士が由姫に相談事があると持ちかけてきた。その理由は彼の毎週下駄箱に送られてくる暗号じみた謎の漫画にあって……?
・俺の姉
いつもは毎週金曜日に下宿先から帰ってくる亨の姉・杏が、なぜか水曜日と木曜日にも帰宅してきた。しかも杏は挙動不審であり、明らかに何かを隠している。
亨は妹の響と共に杏の動向の謎を考える。
・男子と女子の間に…
亨と剣也は中学からの先輩である蓬田蓮雄から、最近親しくなった人に理不尽に怒ってしまって後悔しているという愚痴を聞かされる。
その後二人は小波から最近親しくなった男子を怒らせてしまったという話を聞き……。
・顔覆う白い襲撃者
由姫と共に下校しようとしていた亨に顔を隠した謎の人物が突然パイをぶつけてきた。困惑する二人に生徒会副会長の奥道美善が話しかけてきた。何でも、パイ投げの被害者は亨だけではないらしい。二人は生徒会長の荒巻正宗の要請で犯人確保に協力する。
・盗まれたD / 密室からの消失
夏休み初日。演劇部から大会へ向けての本番練習の手伝いと鑑賞を誘われた亨だったが、衣装が謎の不審者に盗まれる事態に遭遇する。亨はその不審者を追うも、不審者は倉庫に立てこもってしまう。夏美が持ってきた鍵で倉庫へ入ったがそこはもぬけの殻と化していた。出入り口には亨がおり、唯一の窓はどう考えても犯人が出入りできる大きさではない。果たして犯人はどうやって密室状態から消えたのか……?
・白雪姫北へ 前編
正宗の誘いで彼の親戚が経営している海の家へバイトにやってきた亨たちだったが、一日目は天候のため暇を持て余していた。そんな彼らの前で突如としてひったくりが起こる。
その夜、正宗の従姉妹で警察官の柏木葵から最近多発しているひったくりの話を聞いた由姫は犯人の特徴を断言する。なぜ彼女は正確な犯人像を述べることができたのか……?
・夏と手袋と美人探偵
亨たちが海へいっている間、剣也は祖母の家にやってきていた。妹たちといつものように喧嘩し、関わるのを避けるために外出した剣也は東京からやってきた探偵・月代蘭丸と出会う。彼女は大学時代の後輩の依頼で、後輩の母親が真夏にも関わらず手袋をしていた理由を探りにきたらしい。剣也は成り行きで蘭丸の手伝いをすることになる。
・白雪姫北へ 後編
亨は正宗の従姉妹の柏木加奈子から地元で有名な不気味な屋敷『中村邸』を紹介される。何でも最近になって屋内から物音がしたり、窓に人影が映ったりと、不自然なことが多発しているらしい。その話を聞いて面白がった正宗は亨と美善を連れて『中村邸』へ赴くが、そこで謎の人影を目撃する。