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王様、進路に反対する

イプは闘技大会で優勝して、エルヴィアの騎士の称号を与えられたが、城に入る事は断ったようだった。


アランは内心ホッとしていたが、最近のイプの様子に不安を覚えていた。


イプはなんとなく身の回りの整理をして、荷造りをしている様に見えた。


友達や知り合い一人一人に会いに行って、別れの挨拶をしている様に見えた。


アランの不安が確信に変わった頃、ディートが告げた。


ディート

「陛下、実は先ほどダニエルから手紙が来たんですが---

イプが-----


アラン

「イプが-----イプが-----どうしたんだ!


ディートは言いにくそうにした。


ディート

「イプがプロメタジン王国に武者修行に行くそうで---


アラン

「何故だ------?


ディート

「プロメタジンのゴオウ将軍をご存じですか?

彼は5王国一の剣豪と呼ばれているほどの男ですが、そのゴオウに弟子入りするため、

プロメタジンの騎士になると言ってきかないのです。

もちろん私も止めたんですがあの性格ですからね、

いつふらっと出て行くか----。


アラン

「ダメだ---そんな事許さないぞ。

よし。15歳以下は王国から出る事を許さないという法律を作ろう---。

それとも----


ディート

「イプは法律やしがらみに縛られない奴ですよ。

何があったって、行くときは行きますよ。


アラン

「どうしたら良いんだ!?

ディート----



(いっそ、城の牢に閉じ込めるか。

こんな事になるなんて---

出さなければ良かった---

僕の部屋に閉じ込めて一生誰にもあわせなきゃ良かった。)


アランはうなだれた。


ディート

「ダニエルの手紙にアランにイプが会いたがっていると書いてありました。

お会いになりますか?


アラン

「少し考える-----


アランはバルコニーの椅子に座り、星がきらめく夜空を眺めている。

赤ワインを飲んで気を紛らわせようとしたが不安と寂しさでいっぱいだった。



(イプ、僕が泣いて行かないでくれと哀願したら君はやめてくれるのだろうか?)


その時、バルコニーの前の木が揺れて、何かが飛んできた。

バルコニーの手すりにちょこんと乗っているのはイプだった。


アランは危うく大声を上げるところだった。


イプ

「やあ、アラン。こんばんは。


アラン

「な----、一体どうやってイプ----


イプ

「やっぱりアランが王様なんだね!

この前は助けてくれてありがとう。


イプはにっこり微笑んだ。


アラン

「とにかくここはまずい--。部屋に


2人は部屋に入った。


イプ

「あれ----なんだかこの部屋きたことあるような---

この時計の音---


アラン

「そ----それはそうと---

どうしたんだ?突然。

こんな所を衛兵に見つかってみろ、その場で殺される。


イプ

「うん、ごめんね!

実は僕さ、プロメタジンに行こうと思ってるんだ。

だから、この前のお礼と挨拶しとこうと思って。


アラン

「イプ----

プロメタジンじゃないとダメか?

この国の騎士になって、ここにいないか?

君が必要なんだ!

こ---この国には---

プロメタジンはちょっと古風で暗い国だし、女王はワガママだ。

絶対に良くない!

イプ----お願いだ。


イプ

「アラン-------


イプはアランの必死な形相を見てびっくりしている。


まさかこんなに止められるとは思っていなかったからだ。


イプ

「大丈夫だって!ずっとプロメタジンにいるわけじゃないよ!

強くなってまた戻ってくるんだ。


それに僕---いろんな所に行ってみたい。

プロメタジンだけじゃなくって。

世界中を旅したい!


イプの瞳がキラキラと輝いていた。

アランには何故かそれがこの世界の希望のように見えた。

この光を消す事は罪だ。


アラン

「イプ----すまなかった。

取り乱して----。

僕は心配性でね。

気をつけて行っておいで---。

僕も応援してるよ。


イプ

「ありがとう!

アラン、またね!


イプはバルコニーからひらりと木に飛び移って、姿を消した。


アランはワインを一気に飲み干して、鏡の中の走っているイプに口付けた。




数日後


ディート

「今日、港から船で行くようですよ。


アラン

「そうか-----


アランはここ数日元気がない。


ディート

「俺にとっても甥っ子みたいなもんですから、正直寂しいですよ。

妹もずっとふさいでます。

見送りには行かないんですか?


アラン

「ああ----、会ったら誘拐して監禁してしまいそうだ。


ディート

「怖いですね---


アランは会議を終えて、城の海側の崖下に降りた。


イプの船がもうすぐ通るはずだ。

イプの姿が甲板に見えた。城の方を向いている。



アラン

(僕の---イプ----。白鳥のようなイプ--。)


アランの瞳に涙が浮かんだ。


イプ

「おおーーすごい大きな魚だ!!!」


イプはまったく気づいていなかった。


つづく





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