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王様、ライバルができる

プロメタジン王国についたイプは騎士の証明書を持っていたのですんなり、王国騎士になれた。


裏でアランがプロメタジン王国に推薦状を送っていたわけであるが。


騎士の人数は多く、下級騎士はほとんどが騎士の宿舎で寝泊まりしている。


イプはすぐに皆に好かれたようで、楽しそうに暮らしていた。


その剣の腕前から、とうとう目的のゴオウ将軍の目に止まったようで、鏡の中のイプは毎日、ゴオウ将軍に扱かれていた。


剣が苦手なアランにもわかるくらい、イプは上達している。

たまにディートも鏡を見て、感嘆の声をあげていた。


やがて、幼いマレイン王子の守役になったようで、宮殿で王子のそばにいるようになった。

大出世である。


王子もよくなつき、イプにくっついている。


ある日、プロメタジン王国のものではない、魔導師風の服装をした男がイプに話しかけていた。


服装からして、魔導の国イミダゾールの人間のようだとアランは思った。


宮殿に出入りしているところを見ると身分の高い人物のようだ。


2人はお茶を飲みながら何やら熱心に話をしているようだったが、急に男が鏡の方を向いた。


メトプレン

「誰か見ているな---。誰だ?人の事を黙って覗くなんて卑怯じゃないか。


アランに声が聞こえた。


(私に話しかけている!!?)


メトプレン

「名を名のれよ。卑怯者。


イプ

「どうしたの?メトプレン


イプの声もはっきり聞こえた。


メトプレン

「へえ〜シラを切るのか。こういうのはどうかなあ

ちょっとイプ、話があるんだ。


メトプレンが小声でイプを呼ぶと、イプは顔を近づけた。

イプ

「なになに??


近づいたイプの唇に軽くキスした。


イプ

「ななな、なにするんだよ!急に


アラン

「きさまああああ!それ以上イプに何かしたら許さん!


メトプレン

「おー怒っちゃって。おっと君が見えてきたぞ〜

あれ---?肖像画で見たことある--エルヴィア王じゃあないか!

これはこれは!

ははは!

どおりでイプがアルシオンなんてものを持ってるはずだ。

くくく

私はイミダゾールの宮廷魔導師メトプレンだ。

貴公とはどうやらライバルになるらしいな。


アラン

「イプは僕のものだ。手を出したら許さない!


メトプレン

「そんなに遠くなのにどうやって、僕を止められるのかなあ?ふふふ

イプは僕がもらうよ。王様は鏡の前で身悶えてるといい。

ふふふふ


メトプレン

「イプ、ごめんごめん冗談だよ!

この店のカスタードラズベリーパイおごるから許してくれよ。


イプ

「え!うーんしょうがないなあ。ミルクティーもつけてよ!


アラン

「イプ!!スイーツにつられるのか!!!」


メトプレンはニヤニヤ笑っている。


アランは宰相の元に走った。


コリン宰相はちょうど遅い昼食をとっているところだった。


固いパン一枚をかじって水で流しこんでいる。


アラン

「コリン、急いで----

おい---何を食べてる?


コリン

「これは陛下---昼食ですが何か?


アラン

「これが昼食だって?

犬だってまだ良いものを食べているぞ!

こんなもの食べていたら体を壊してしまう。

ちょっと厨房に来るんだ。


アランはコリンを引っ張って、厨房の椅子に座らせた。


手際よくチキンを焼き、新鮮な生野菜とパンに挟んだ。


朝食の残りらしいスープも温めてコリンに出した。


恐ろしいスピード調理だ。


コリンはあっけにとられている。


コリン

「陛下が、料理をなさるとは存じませんでした。

い、いただきます。


アラン

「食べながらでいい、質問させてくれ。


コリン

「これは美味い!

あ、はいどうぞ


アラン

「プロメタジンに今、イミダゾールの宮廷魔導師が来ているようだが、何故だか知っているか?


コリン

「プロメタジン王の弟がイミダゾールの王女と縁談を進めているという情報が入っております。

おそらくその使者ではないでしょうか?」もぐもぐ


アラン

「なるほど。

では、宮廷魔導師のメトプレンという男を知っているか?


コリン

「メトプレンといえば、イミダゾールの山奥に住む有名な魔導師ですね。

なんでも神々の国からやってきたエルフの生き残りで、800歳を超えているという話ですが、まあ作り話でしょう。

ただ、魔道の力は強大で、メトプレンがイミダゾールに仕えるとなると脅威であることは確かでしょう。


いっきに話してスープを啜った。


アラン

「ありがとう!コリン

私のお見合いパーティの招待状を今日、各国に出す。

書記官を5名使わせてもらう。

私が作るから、コリンはデザートでも食べててくれ。


アランは昨日作っておいたプリンをコリンに出した。いつの間に入れたのか食後のお茶まで用意してあった。



イプは剣の練習を終えて、水を飲んでいるとメトプレンがやってきた。


メトプレン

「お疲れ様、イプ。

調子はどう?


イプ

「うん、良い感じだよ。すごく楽しかった。


メトプレン

「イプ、僕は親も兄弟もなくし、ずっとひとりきりだった。この力のせいで誰からも疎まれ---友達は1人もいない。

孤独だった。それで良いと思ってた。

でも君に会って弟が生き返ったようで----」


メトプレンはすすり泣いた。


メトプレン

「嬉しかった。そして君と一緒にいたいと思った。イプは僕の大切な人だ。


イプ

「僕だってメトの事好きだよ。色々な事知ってるし、スケールが大きい話多いし。


メトプレン

「ああ---イプ---。


メトプレンはイプを抱きしめた。


イプ

「わわ---メト!汗たくさんかいてるから汚いよ!


メトプレン

「ああ----良い匂いだ。


メトプレンは鏡に向かって舌を出して笑った。

その舌でイプの首筋をべろりとなめた。


イプ

「ちょっ----!メトーー!!


その時声が後ろから聞こえた。


「メトプレンさまーー!本国から急ぎ戻るように伝令がまいりました!


メトプレン

「----あん?


メトプレンは殺しそうな目線で部下を睨んだ。


そしてイプを離して、鏡をにらんだ。


メトプレン

「やってくれるねえ--。


アラン

「早い所お家に帰るんだな。

イミダゾールの犬っころ。


メトプレンは舌打ちした。


メトプレン

「イプ、ごめん、本国に帰らなきゃ--。また来るよ。


イプ

「メト!

その人を舐める癖、直した方がいいよー!


メトプレン

「はーい!またねー


メトプレンは去っていった。


これでしばらくは大丈夫だろう。

アランはホッとして椅子に崩れ落ちた。


つづく




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