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王子様 子供を拾う

メトカルバモール1世の子供、アラントイン王子10歳。

王子の母は王子を産んですぐに亡くなり、王子はさみしい子供だった。

新しく来たお妃はアランを疎ましく思い、事あるごとにいじめていた。弟が産まれてからはなおさらだった。


アラン王子は家族に心を開かない、いつも暗い表情をした子供に育った。



そんな彼は城から抜け出して散歩するのが大好きだった。


いつものように牧場の牛でも見ようと緑あふれる道を歩いていると、道端の木の下に大きな麻ぶくろが置いてあった。

その麻ぶくろは膨らんでいた。


恐る恐る近づいてみると、小さい男の子が眠っている。


袋に中には紙切れが一枚。


「この子を育ててください。」


王子は一度、城に帰ると

王子の直属親衛隊隊長ディートの元に走った。


王子が唯一信じている人間だった。

王子より10歳年上でイケメン、髪は金色に輝き女性に大人気だ。

顔もいいが剣の腕も素晴らしかった。


ディートはちょうど一人で剣の稽古をしているところだった。


アラン「

ディート、助けて。


男の子をこっそり王子の部屋にはこんだ。どこにも怪我はしてないようだった。


ディート

「犬や猫ならまだしも----いや、ライオンでもまだマシです。子供を拾ってくるなんて!

おや!目を覚ましたようです。



「うーーん--


アラン

「きみ、大丈夫?名前は?


「イプシロン---


アラン

「イプシロン、ママはどうしたのかな?


イプ

「ママ---ママ---

ママ死んじゃった----


泣き出したイプをアランは抱きしめた。


アラン

「大丈夫だよ。僕がいるからね


アランはこっそり自分の部屋でイプを育てた。外で遊ぶ時はおんぶして出かけた。食事はこっそり自分の残り分をナプキンに包んで持って来れば十分だった。


奇跡的に誰にも見つからず1年が過ぎた。王子は勉強やら剣の練習で忙しくなってきた。


ディート

「王子、イプをここでずっと育てる事は出来ませんよ。王に見つかったら大変なことになりますよ。


アラン

「でも、ディート--。イプと離れるのは嫌だ。


アランの目が潤んでいる。


イプ

「アラン?どちたの?イタイの?


イプはアランの頭をいいこいいこしている。


ディート

「私の姉の家ならいつでも会えますし。それにこんなものを買ってきたのです。


ディートは一枚の鏡を取り出した。

そこにはイプが写っている。


ディート

「この魔法の鏡で、いつでもイプの様子が見れるんですよ。


アランはイプをぎゅっと抱きしめて、涙ながらに別れた。




アランは後継者として、とても忙しくなった。剣の稽古に帝王学、狩りの練習、言葉や音楽、ダンスの練習、歴史や地理やとにかくたくさん、1日は瞬く間に過ぎていった。

城から出ることは許されなくなり、アランはイプに会えなくなった。


だが、どんなに忙しくてもアランは鏡の中のイプを覗いた。イプの元気にすくすくと大きくなる姿を見ると心が満たされた。


イプは活発な子で危ない木登りや、川遊び、ケガをしたり、アランは気が気ではなかったが、その度にディートに様子を見に行かせたりした。


そして5年が過ぎ


イプは10歳明るく元気なだれからも好かれる少年に育った。


アラン

「ディート、イプが剣を習いたがってるみたいだ。暇なときに教えてやってくれないか?


ディート

「王子の頼みとあらば。ですが王子の剣のお相手は?


アラン

「ぼ-----僕はいいよ、一人でも。


ディート

「はいはい


アランは勉強は大好きだったが剣の練習が大嫌いだった。


鏡をのぞくと生き生きと剣をふっているイプの姿が見えるようになった。イプは倒れても倒れてもディートに向かっていく。


アラン

「ディート、イプは少しは上手くなったかい?


ディート

「王子-----あの子は天才ですよ!とにかく素早くて勘が鋭いんです。本当に育て甲斐がありますよ!


アラン

「そうなのか!すごいなイプは!


アランは自分の事のように喜んだ。


そして時は過ぎアランは20歳になっていた。メトカルバモール王は流行病で亡くなり、アランは若くしてエルヴィア王国の王になった。


つづく






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