人殺し
「あぁー 森うっぜぇ」
ざわざわとうるさい音の中、目を閉じ勝悟はつぶやく
「確かに俺がいた世界はつまらないって思ってたけど森はどこでもうるさいな」
そういいながらも心はワクワクしている
ここはいったいどんな世界なのだろうか
科学が発展した世界なのか
魔法のある世界なのか
はたまた、自分のわからないものがある世界なのか
どんなものがあってもどれもワクワクする
俺だって人だ
俺がいた世界では厨二病みたいな感じだったけど
別に厨二病なんかじゃない、ただあっちはなんて言えばいいのかわからない
俺にはあってないとしかいえない
本を見たりして知識を入れたりするのは好きだった
それだけだった、それ以外は何の興味も出なかった
....やめよう、こんなことを考えていたってなんにもならない
ならばあっちは忘れて、こっちで楽しむんだ 生きるために
「ん?というか、俺の考えてる世界なら俺は武器も知識もない危ない状況じゃないか」
そうだよ、何もないんだ、知識も武器も、せめて身を守れる武器があれば
...小屋に戻るか?死ぬのは嫌だ
「そういえば、アホ神がプレゼントがあると言ってた?いや、書いてたな」
プレゼントってなんだ?武器か?いや、それよりもこの世界のことを書いとけよ
そう思いつつも、武器か.. 武器なら強いのがいいな
「...なんか右手が重いな」
目を開けて右手をちらりと見てみると
「....剣?」
森の葉の間から入ってくる光を反射し光り輝く黄金の剣があった
「かっこいいな、持ちやすくまるで持ってないように思えるほどに軽い」
試しに素振りをしてみても、重さを感じない
「これがプレゼントか?..神 さまさまだな」
でも、ずっと持ってると危ない人だ、鞘もないし、どうしよう
いつの間にか出てたから、念じたりしたら消えるのかな?
....あ、消えた、どういう原理だ?
「まぁ、村があるしそこで聞こうかな。なんか襲われてるっぽいけど」
村は盗賊っぽいのに襲われているようだ、なので
「話を聞くためにやるか...人を殺すのは初めてだから抵抗があるけど」
剣を出して、小さくつぶやく
村の人たちは皆、武器を持ち戦っていた
村一番の屈強な男が率先して戦い、村を守っていた
だが、男が殺されると盗賊の頭は笑みをうかべ、村人たちは諦めたように武器を持つ
だが、盗賊に殺されると思われていたが、村人たちが見たものは、一人の青年に次々と殺されていく盗賊たちの姿だった
これが人を殺すということか
一人目の盗賊の首を切って思う
(これは...想像以上にきついな..)
盗賊たちは一斉にこっちを見て叫ぶ
(それでも今は、この状況を突破することが最善だ)
一人一人を殺していく
一人は首を切り
一人は胴を切断する
次々となすすべもなく殺されていく同士を見て、盗賊たちは何を思っただろう、だがそんなことは知らない、知ったことではない
恐怖に支配されて動けていない最後の盗賊の人生はそこで終了した