プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
その日は寒い夜だった。
だが、目の前は炎に包まれおぼろげな意識のなか、何も出来ずにいた。
「ああ・・やっと死ねる・・」
何も出来ないというよりは、したく無かった。
自殺したくても、その勇気すら無く、ただ無為に時間を過ごし、人に迷惑だけをかけてきた。
自分でも解っている。
堪え性がなく、
何一つ積み上げたものはなく、
その時その時だけを過ごす、
そんなクズのような生き方しかしなかった。
ストーブを、付けっ放しで寝てしまい、カーテンから、部屋中が炎に包まれたのに気づいたときは、もう逃げ場がなかった。
煙で咽ながら体が動かない、あちこちが熱さで痛いのだが、のた打ち回るぐらいしか出来ない。
ほぼ諦めていた、もういいやと思った。
とんでもなく苦しいが、動けないから、どうしようもない。
「エロ本と、DVDコレクションが、跡形なく焼ければいいな~」
そのぐらいしか、考えられない。
そのまま目を閉じた。
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・・・なんか寒い!!
そんな感覚で目を覚ました。
「あれ?火事で死んだと思ったけど・・・」
そこは白い場所だった。
壁も天井もわからないが、ただ白い空間が広がっている。
「病院か?まだ生きていなきゃないのか?」
そう呟いて、ため息をついた。
「何言ってるんだぁ。罪人風情が」
妙に甲高い声が、左前方から聞こえた。
目を向けるとそこには……
……尻があった。
……なにこれ?
尻というか、肌色の桃というか、変に生々しくて気持ち悪い。
下に繋がるはずの足も、上半身も無い。
ただ尻だけが、白い地面に有る。
その尻の真ん中が、横に裂けた。
「……うぉっ!」
どうやら目のようだ。
巨大な一つ目が、ギョロっとこちらを見た。
更に、その目の下も横に裂け、目よりも大きな、口らしいものが開いた。
「怠惰の罪人よぉ、いい加減、悔い改めることはないのかぁ?」
「は?・・えーっと、え?罪人?」
「貴様のことだぁ、様々な世界から、期待をされていながら、全て無駄にしぃ、どこまで罪を重ねればいいのだぁ。」
なんだろう、よくわからないがイラッとする。
「すみません。何の罪かわかりませんが・・・」
とりあえず下手に出てみた。
「・・・わからないかぁ、そうか記憶を消してあるしなぁ。
だが罪悪感は無いかぁ?今まで何一つ、罪を犯していないと、胸を張れないだろぅ?」
「そりゃー、何かしらの悪いことはしたかも知れませんし、聖人だとは思ってませんよ」
「罪は償うものだ」
そう言ったと思うと、その尻はトンと跳ねた。
俺の下に大穴が開き、尻と一緒に落ちていった。