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地獄の我慢汁 ~異世界で罪を償う物語~  作者: 鳶 檳榔
地獄の入り口
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プロローグ

初投稿です。よろしくお願いします。

 その日は寒い夜だった。

 だが、目の前は炎に包まれおぼろげな意識のなか、何も出来ずにいた。


「ああ・・やっと死ねる・・」

 何も出来ないというよりは、したく無かった。


 自殺したくても、その勇気すら無く、ただ無為に時間を過ごし、人に迷惑だけをかけてきた。


 自分でも解っている。

 堪え性がなく、

 何一つ積み上げたものはなく、

 その時その時だけを過ごす、

 そんなクズのような生き方しかしなかった。


 ストーブを、付けっ放しで寝てしまい、カーテンから、部屋中が炎に包まれたのに気づいたときは、もう逃げ場がなかった。


 煙で咽ながら体が動かない、あちこちが熱さで痛いのだが、のた打ち回るぐらいしか出来ない。


 ほぼ諦めていた、もういいやと思った。


 とんでもなく苦しいが、動けないから、どうしようもない。


「エロ本と、DVDコレクションが、跡形なく焼ければいいな~」

 そのぐらいしか、考えられない。



 そのまま目を閉じた。

 


==========



 ・・・なんか寒い!!


 そんな感覚で目を覚ました。


「あれ?火事で死んだと思ったけど・・・」


 そこは白い場所だった。

 壁も天井もわからないが、ただ白い空間が広がっている。


「病院か?まだ生きていなきゃないのか?」

 そう呟いて、ため息をついた。


「何言ってるんだぁ。罪人風情が」


 妙に甲高い声が、左前方から聞こえた。

 目を向けるとそこには……

 ……尻があった。


 ……なにこれ?


 尻というか、肌色の桃というか、変に生々しくて気持ち悪い。

 下に繋がるはずの足も、上半身も無い。

 ただ尻だけが、白い地面に有る。

 その尻の真ん中が、横に裂けた。


「……うぉっ!」


 どうやら目のようだ。

 巨大な一つ目が、ギョロっとこちらを見た。

 更に、その目の下も横に裂け、目よりも大きな、口らしいものが開いた。


「怠惰の罪人よぉ、いい加減、悔い改めることはないのかぁ?」

「は?・・えーっと、え?罪人?」

「貴様のことだぁ、様々な世界から、期待をされていながら、全て無駄にしぃ、どこまで罪を重ねればいいのだぁ。」


 なんだろう、よくわからないがイラッとする。

「すみません。何の罪かわかりませんが・・・」


 とりあえず下手に出てみた。


「・・・わからないかぁ、そうか記憶を消してあるしなぁ。

だが罪悪感は無いかぁ?今まで何一つ、罪を犯していないと、胸を張れないだろぅ?」

「そりゃー、何かしらの悪いことはしたかも知れませんし、聖人だとは思ってませんよ」


「罪は償うものだ」

 そう言ったと思うと、その尻はトンと跳ねた。



 俺の下に大穴が開き、尻と一緒に落ちていった。

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