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短いです。
それにしても・・・。
空を飛行機以外で飛ぶと言う経験をすることになるとは思わなかったな。
クロは機嫌がいいみたいで時々急上昇とか、急降下とかした。
絶叫マシーン好きとしては、喜ぶべきものなんだろうけど、如何せん、自分の握力と跨いだ太ももの力しか命綱がないもんだから、何回か落ちてマジで死ぬかと思った。
ちょこっと強くクロを叱ったら、えらくしょんぼりしてしまって、何で私が罪悪感を抱かなきゃならんのだと少し憤慨し呆れた。
私を危うく殺しかけたと言うことでクロはエルアにも懇々と叱られた。
っていうか、私よりも怒っていたもんだから、私が怒る切欠は奪われてしまったのだけど。
ま、夢の中とは言え、空から落ちてぺちゃんこになって死ぬのは本望じゃないので、生きているってことだけで、クロは不問にした。
町でドラゴンに騎乗する時の鞍ってのを買いましょうとエルアに強く言われた。
そんなのがあるのか。
うん、安全のためね。
「あれが、町?」
数キロ先に見える明かり。
周りは森や林の木ばかりで鬱蒼としているのに、その灯りからは数本の道が出ているのも分かる。
「眩しいね。あ、海も近い?」
『そうですね、この町は貿易がそこそこ盛んですから、夜も賑やかなんでしょう。』
エルアが教えてくれた。
町の明かりには、ネオンっぽい色も見えている。
案外、科学って言うかそんなのも進歩しているのかもしれない。
着陸態勢に入ったクロに、町から少しはなれた林の中に行くように告げた。
『あかちゅき?』
「ありがと、クロ。ちょっと考えたいこともあるから、少し離れた森か林の中にでも着陸して頂戴。」
クロが少し方向転換し再び着陸態勢に入った。
「・・・さて、エルア。人がいる場所に行く前に色々と教えて頂戴。」
つづく