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エルアとクロが心配そうに声をかけてくれてるけど、今の私には届かない。
だって、だってね、
ま、万が一、これが現実だとしたらどうすんの!私(まだ、しつこく夢だと思っていることは、無視してちょうだいっ!心の叫びよ、叫び!!)。
ないよの、今、現在。
この場には、この世界には。
自分愛用の化粧水もクリームもパックも!!
エステシャンとしての死活問題だよ、肌荒れとか、この夜更かしとか、ちょっ、ちょっと、どうしよう!!さっさと帰らなきゃ。
万が一夜が明けてしまったらどうすんだ、日焼け止めもないのに、帽子もないのに。
急に現実問題が急上昇した。
「クロ、エルア!」
『『はいっ!』』
「さ、さっさと、その村なり、町なりに連れて行って頂戴!!」
私の只ならぬ雰囲気に二人が手を取り合って震えている。
今が何時かは知らないけど、睡眠時間の減少は、美容に関る!
は、早く寝なきゃ。
ぼわんっという風が起こり、身体が一歩後ろに下がった。
目の前には、初めて見た時と比べたら、二周り以上小さなドラゴン。
「あかちゅき、乗って!」
何処に?
乗馬すらしたことないんだけど・・・。
根性で跨りました。
ゴツゴツしていると思っていたけど、羽の付け根は少し柔らかい鱗だったから、大丈夫だった。
『行くよっ!』
ぎょぎょっ!
きゅ、急上昇!!すんごい、重力が・・・、あ、楽になった。
『大丈夫ですか?暁さま。』
おおっ、よく見たら、肩にちっちゃいエルアが乗っていた。
「うん、風が気持ちいいよ。クロ、頑張って。」
『うん、クロ頑張るっ!』
おお、スピードを急に上げたな?
でも、ジェットコースターよりスリルがあって、気持ちいい。
って、のんびり風に吹かれている場合でもない。
直ぐに過ぎるのは美容問題。
願わくば、止まる所に安物でもいいから化粧水とかありますように。
つづく