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「あんたの名前は、黒銀くろがね。あだ名はクロ。黒銀のクロだ。」

手をドラゴンの頭に乗せて言った。

『あ、マスター・・・。』

ん?何よ・・・。

手で顔面を覆っている精霊と、小さな翼で宙に浮いているクロ。

『名前を授けたことで、主は、その闇のドラゴンの真の主となりました。』

へっ?

そ、そんなん聞いてへん・・・。

『仮とは言え、主となった者が正式な主となるためには、相手のドラゴンがその名前を気に入り、納得する必要があるんです。この闇のドラゴンは・・・主から貰った“黒銀”という名前が気に入ったみたいですね。』

私の周りをパタパタと飛ぶクロこと、闇のドラゴン。

そうか、そんなに嬉しいのか。

「はははっ、」

乾いた笑いしか出ないよ。


さあ、ちょっと深呼吸してみようか。


ココに来て、思い始めた現実コトについて。


それは、これ、今まで起こった現象が夢ではなく、現実なんじゃないかと言うこと。

つまり、

私は、違う世界に来てしまったという仮説。

第一の仮説は“夢”だけど、夢を仮説と言っている時点で少し悲しいんだけどさ。

夢じゃないとしたら、ここは異世界で、となると私は帰るために生きていかなきゃならない。


がっくりと項垂れる私に視線を合わせる精霊が、顔を覗き込む。

「何?」

『・・・私にも名前をください、マスター

覗き込んでくる綺麗な緑の瞳。

うううっ、思わず後ずさりしてしまった。

この態度が精霊を傷つけてしまったようで、今度は彼ががっくりと項垂れる。

『・・・・。』

しくしくしくしく・・・。

大袈裟な。

しくしくしくしく・・・。

ええーいっ!鬱陶しい!!

「分かった、分かったから。」

その一言で精霊は、輝くような笑顔を見せた。

目元が赤くなり潤んでいるから、嘘泣きではなさそうだ。

「えー、えーと、(苦手なんだよ・・。)あーうー・・・精霊、妖精、んー、エルフ、エル、んー、アロマ、アロ、アロル・・・。」

そ、そんな期待に満ちた目で見るなっての。

「エルア、あんたの名前はエルア。」

精霊は、飛び上がらんほどに喜んだ。

『ありがとう、主!!これほどまでに嬉しいことはない。』

ちょ、ちょっと、大袈裟・・・。

何故か、ドラゴンと精霊が手を取り合って、踊ってるし。

「あんた達、騒ぐのはお止め!」

こんな道の真ん中で。

恥ずかしい。

民家とかがないからいいものの、煩いでしょうに!!

『『はい、主!』ママ!』

ぴしっと起立してみせる2人。

ため息が出た。



つづく

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