私は親愛なる友の為に戦うだけだから
リアルが忙しい…
ぐぬぬぬぬ…
あ、7月初の更新ですね。
-???視点-
「ダメですよ!幾ら貴女でも、やっていいことと悪いことがあります!」
此処で仮に彼女の身に何か起きてしまったら、計画が頓挫しかねない。
計画の完遂の為にも、彼女には私と一緒に退いて貰いたかった。
しかし、彼女は…
「…確かに、自分の手に負えない事は無理にやらないのが一番ね。けど早苗…それ以前に…計画だ何だと言う前に、私にはしなければならない事があるわ。」
「え?」
「隙間妖怪やら貧乏巫女やら泥棒にやられたんでしょ?やられたんなら殺り返す。それが自然の摂理よ。」
「ですが…!」
「大丈夫よ、早苗。『私は死なない』わ。」
…こうなった彼女を止められるのはきっと神奈子様か諏訪子様だけ…最悪このお二方に止めて頂くしかない。
私は諦めた。
「解りました。ですが…」
せめて言う事には従ってと言おうとしたが、左手で遮られた。
「解ってるわ。無理はしないし、神様の言う事には従うわ。」
「ならいいのですが…気を付けて下さいね。」
「ええ。行ってくる。」
彼女は踵を返し、神社の方に向かって行った。
-レナ視点-
「殺される相手の名前くらい最期に聞いておきたいわよね。名乗るだけ名乗っておこう。私は八坂神奈子…神だ。そしてこっちが…」
「洩矢諏訪子よ。私も神だけどね。」
背中に円形のしめ縄を付けている大人びた女性が八坂神奈子、もう一人、目玉付きの帽子を被った少女が洩矢諏訪子と言うらしい。
神奈子が口を開いた。
「今回来たのは他でもない、博麗霊夢…お前を殺しに来た。」
「さっきの女のグルね。雰囲気がそっくりよ。」
確かに、彼女達から感じる何か…魔力ではなさそうだが…それはさっきの少女のものと同じだ。
「グルと言えばグルだな…まぁ早苗は私達の神社の巫女だ。」
「神社…ねぇ。どう見てもおかしな宗教団体よ。もっとまともに布教活動をなさい。」
早苗…何処かで聞いた名前だ…何処だ?
「そう言ってられるのも今のうちだぞ?さて、博麗霊夢以外の3人に聞こうか。率直に言おう…我等に従わないか?」
『!!』
どういうつもりだ?
「我等に従えば自由だ。我等からすれば、お前達が味方であること自体に利点が大いにある…特に服従などを強いるつもりはない。悪くはない話だとは思うが?」
こんな時の答えは大体決まっているが、俺も答えは一緒だった!
「ざけんなよ…!俺はあんたのような奴に従うのが…!!」
即座に攻撃を仕掛ける!
「嫌いだ!!砲符『リヴァイバル・α』!!」
紅い閃光が、神奈子に向かって突き進む!
「甘い。」
が、閃光は奴を貫く事はなかった。
煙の中から見えたのは半透明の結界のようなもの。
どうやらそれが盾代わりになったようだ。
「…私は神よ?神には不可能という事はない。」
「相手が神だろうと何だろうと関係ねぇ!!その盾、ぶった斬ってやんよ!」
俺は芯斬刀を抜き、相手に迫る!
「実体剣か。確かに早苗の言う通り、バリアを貫くには適切な武器だ。だが…」
神奈子の後ろから何かがこっちに近付く。
「斬らせなければどうって事はない。神祭…」
辺りが暗くなり、俺は空を見上げた。
しかし、眼に映ったのは茶色の『何か』であった。
「『エクスパンデッド・オンバシラ』」
俺は空から迫る『何か』から逃げようとした。
「…人間、貴様の考えていることは解るぞ!」
神奈子の追撃を受け、退くにも退けなくなる。
「なら、せめて一緒に潰れようや。」
痛み分け…!
「そうか…だが、余りにも幼稚な考えだ!諏訪子!!」
「わかってる!」
突然、身体が動かなくなる。
何があったのかと身体を見ると、鉄の輪がきっちりと俺の身体を拘束していた。
「潰れるのはあんただけだよ…じゃあね。」
くっ、拘束が解けない!
その間にも、空から落ちてくる。
くそっ…!!
「レナ!!」
身体が宙に浮かぶ。
それもそのはず、だって…
「魔理沙!?」
魔理沙の箒に吊るされてるもん。
「大丈夫!?」
潰されはしなかったけど…
「この拘束さえ何とかならない限りには戦えないぞ!」
「任せて!レナのリヴァイバルを元に作った、これを使う時が来たぜ!ナノスパーク!」
魔理沙の右手に握られた八卦炉から、針のような光線が少し出る。
その光線は、鉄の輪を焼き切った!!
「サンキュー!何とかなった!」
「へへへっ、役に立ったんなら何よりだぜ!」
っと、それよりあのデカイのはどうなった!?
「ほぅ…!隙間で我が御柱を喰らうか!」
「当たり前よ!あんなのが落ちてきたら此処はただじゃ済まないもの!」
紫が隙間を開き、デカイのを中に…って隙間すげぇ!!
あんなの入れられんの!?
「だが、いずれ限界は来る。どこまで持つかな?」
「私達二人を相手にするつもりかい、八雲紫!」
魔理沙が飛ばしてくれたとしても、やはり少しの間紫は挟撃されるという苦しい展開だ。
が…俺は知っている、紫がこの状況で何もしないはずがないと。
ほぅら、紫が…笑った!
「何も私『だけ』が相手する訳じゃないわよ。」
「何を言っている?博麗霊夢を前に出して囮にするつもりか?」
「そう考えるならそう考えてなさい…今よ!!」
刹那、何処からか漆黒の槍が神奈子に突き刺さる!
「な…んだ?」
「待っていた、この時を!」
隙間から飛び出して来た人物、それは…!!
「らぐなさん!?どうして此処に!?」
「あの馬鹿神には色々と因縁があってな…!手伝うぞ、レナ!」
「はい!」
俺とらぐなさんが並ぶ!
「何処の馬の骨か知らぬが、お前も私の力の前にひれ伏すがよい!」
「ハッ、俺は神を信じないんでね!仮に信じたとしてもあんたは信じない、八坂神奈子!」
「ならば死ね!!」
木の柱が飛んで来る!
「死ぬのはあんただ!!ヘルメス!!」
柱を叩き斬る彼に対し、相手は…!
「諏訪子、援護を頼むわ!」
「わかったよ!ミシャグジさま!」
増援を呼び、確実に対処する!
「レナ、頼みがある!」
「何ですか!?」
猛攻を掻い潜りながら、俺はある一つの策を伝えられた。
「奴らを同時に攻撃するのは至難の技だ…ならば1人だけでも戦闘不能に追い込む、レナ…俺に合わせてくれ!」
「解りました!」
散開する二人!
「一対一にするつもりか?面白い、お前達の意向に従ってやろう!」
神奈子が彼に気を向けた、その時!
「…かかったな!レナ!!」
「はい!砲符『リヴァイバル・β』!!」
不意打ちとしてまずレナがリヴァイバルを放つ!
「ぬっ!?だが、それで私を倒せると思うな!」
神奈子が結界を展開し、身を守ろうとする!
「そこだぁ!!槍符『ロンギヌス』!!」
もう一人がなんと結界に直接黒い槍を突き刺す!
「何っ!?」
結界は不完全な形のまま、緑の閃光に包まれる!
「ぐぬぅぅぅぅぅ!!」
結界を破砕した閃光は、確実に彼女に傷を負わせる!
「「まだだっ!!」」
レナは「翼を求めし者」を展開し、らぐなは剣を持つ!
「砲打『シューティングドライバー』!!」
「剣符『狼牙一閃』!!」
一点に集中した二撃は、相手にとってはきつい攻撃であった、神奈子は膝を付く!
「わ…私に…膝を付かせるとは…!!許さんぞ人間!!」
「神奈子!」
諏訪子が神奈子に近付き、肩を貸す。
「このままでは『計画』に支障が出る…!諏訪子、此処は退くべきね…!」
「早苗の仇は取りたいけど、それは今じゃない…私達の力もまだ完全とは言えない、退きましょう。」
「「「「「逃がさない!!」」」」」
撤退しようとした諏訪子、神奈子に対し、レナ・らぐな・霊夢・紫・魔理沙の5人は追撃をしようとした、その時!
「傷符『ペインバースト』」
何処からか黒い光が伸びて、5人は身を翻してかわす!
「早く逃げなさい。私でもこの5人は相手にし切れないわ。」
「かたじけない、礼を言うぞ!」
その僅かな隙を見逃すことなく、神奈子と諏訪子はぷつりと姿を消した。
光が細くなり、レナは事態を理解した。
神奈子・諏訪子を逃がしてしまった。
そして…。
「お久しぶりね、レナ。悪いけど、此処で死んでくれる?私は親愛なる友の為に戦うだけだから。」
その声の主は、余りにも意外過ぎた。
白い…心をそっくり写したような純白のゴシックロリータの服。
ふわりと舞う、少し銀色に輝く髪。
そう、彼女は味方である…はずだった。
「れ…零奈…!?」
次回予告!
敵は…零奈!?
零奈の真の力が今、明かされる!
というわけで次回
「The PAIN」
お楽しみに!