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100万回死んでも生き返りますが、何か?  作者: らぐな。
超特別編「コラボしまくりですが、何か?」
90/123

歴史に刻まれない聖戦


前にも先にも、此処まで長い話は此処しかありません!


ユニーク22222突破、うん、ぞろ目だったから言いたかっただけです^_^;




その異形は、遥か上から大地を見下ろしていた。


…この大地を破壊する、異形はそう義務付けられているように、機械的に行動に出た。


口を大きく開け、エネルギーを集める。


大地を焼き払うには充分過ぎる程の量のエネルギーを集めて尚、異形はエネルギーをかき集める。



塵一つ残さない、完全なる破壊。



異形にとって、それは使命だった。


このまま口に溜まったこのどす黒いエネルギーの塊を放てば、目の前は更地へと化す。


ただ荒れ果てた砂の大地が広がるだけになる。


それが世界の破壊に繋がるとしても、彼…彼女…いや、『思念集合体』であるそれにとっては、ただ無限に広がる世界の一つが壊れた、言ってしまえば多くある玩具の一つが壊れただけとしか事実を捉えられないのである。






自ら考え、行動するという思念は、ある日にある一つの思考を行う。



『無限に広がる世界を、統一する事は出来ないのだろうか。』



ただの思念ならば、それが空想でしかあり得ない事実だとすぐに結論付ける。


だが、それぞれ別の考えを持った思念が集まり、議論を交わす。


その内に思念は器を成し、世界に具現した。


議論によって決められた結論に則って忠実に動く器。


『思念集合体』…太古の文献にはそう記述されていた。



多数の思念は議論を交わし、結論を出した。



『統一が出来ないのならば一つの世界だけ残して全て破壊してしまえばよい』



その結論を履行するだけの力を、器に与える。


思念集合体である故の力だ。


そして器は、世界を破壊し始める。






この世界も、思念集合体…即ち『彼ら』にとってはただ壊すだけの世界でしかなかった。


そう、破壊の力を孕んだ塊を放つ、ほんの少し、コンマ3桁前までは。


彼らは失念していた。


この世界(幻想郷)の、異質性を。






「させるかぁ!!」


巨人のような、機械のような風貌をした『器』の顔の部分を一撃殴る一人の男。



「レナ!?」


この世界の一人、彩埼玲奈。



その衝撃で頭が遥か上を向いてしまった為、エネルギーの塊は空に放たれる。



このままでは結界に直撃する。



それを許さぬと動く幻想郷の賢者、八雲紫。


お得意の隙間で、エネルギーを無かった事にした。


「レナ!あれは敵よ!どんな手を打っても構わないから、あれを討って!」


「言われなくても解ってる!凛音、手伝ってくれ!」


「俺は面倒事には関わりたくないんだが…」



『だが』この世界の住人ではない彼女はこう続けた。



「面倒事を持ってくる奴は一番ムカつくんでね…さっさとくたばれや木偶の坊!!」


凛音が地面を蹴飛ばし、器に迫る!


「マナの剣!俺に応えろ!!」


剣が主に力を与える。


「仕掛ける!ライザァァァァ!!!!」


剣を振りかぶると同時に剣から桃色の光の筋が空高く伸びる!!


「ソォォォォォォド!!!!!」


巨大な剣は器を真っ二つに斬り分けた!


だが、直ぐに器は再生を始める、終わらぬと感じた凛音はすかさず援軍を呼ぶ!


「ちぃっ、この程度で終わらないか!レナ!!」


「任せろ!!」


先程まで殴りあいをしていたとは到底思えないコンビネーション(連携)の良さ。


レナは既に準備を整えていた!


「砲打っ!!シューティングっ!!」


脇腹目掛けてレナは巨人の遥か上から急降下!

さらに『翼を求めし者(イカロスハート)』の加速も加わり、まさに流星のごとき速さになる!!


「ドライバァァァァァァ!!!!!!!」



脇腹を貫いたレナは、地面に着地して結果を見る。


致命傷とまで行かないようで、器の傷がみるみる癒えていく。


「火力不足か…!!」



レナは次の策を考える。


それは凛音も同じだった。



「(俺のライザーソード、立て続けにレナのシューティングドライバーを喰らってあのダメージ…圧倒的に火力が足りなさすぎる…!!

だとすればワールドデストロイヤーとシューティングドライバー…?いや、それでも倒せるかどうか…!)」


凛音は考える。


再生速度を上回り、尚且つ相手の巨体を同時に攻撃し破壊できる攻撃方法…


!!そうか!!


「レナ!!さっきのリヴァイバルとか言う技、奴の身体を全て包めるか!?」


「あ、ああ!だけどそこまでしたら暫く俺はまともに動けなくなるぞ!無理に攻撃範囲を広げたらその分身体に負担がかかる…!」


「何秒くらい動けなくなる!?」


「…7秒だ!それ未満は保証できん!」


「解った…!レナ、リヴァイバルを奴に!最大火力で構わない!ラグは俺が何とかする!」


「すまない…頼んだぞ、凛音!」


「礼なら奴を倒した後に言え!」


即座にレナは魔力を右手に集める。


凛音はリヴァイバルが放たれる瞬間を待つ。


「最大火力でどうだ!!砲符『リヴァイバル・α』!!」


ゴウッ!!と轟音を立て、赤い閃光が巨体を包む。


「ジャスタウェイ!!」


凛音は大量の棒人間のような形をした爆弾を投げ付けた!!


爆弾はビームによって爆発、それが各所で起こり巨体は爆発に覆われた!


「これで少しは堪えただろうが…!!」


爆発による煙が薄くなって行くにつれ、敵の損傷状況が見えてきた。


先程までの著しい回復速度は無くなり、だいぶ再生のスピードが落ちてきた。

だが再生が止まった訳ではない、今この瞬間にも再生をしている。


「まだかよ…!」


凛音は再び攻撃を仕掛けようとした、その時。


「っ!!」


身体の力が抜け、片膝を付く凛音。


「もう魔力切れかよ…!!」


何とか立ち上がるが、マナの剣からの魔力補充には少し時間がかかる。


だが此処で補充にかかるわけには行かない。

補充にかかればレナが無防備どころか何も出来ずに攻撃を受ける恐れがある。


凛音は体力を使ってレナの所へ向かう。




『…我が頭脳は損傷しておらぬ。』


『問題ない。しかし、器に損傷が見られる。』


『このままでは器が砕ける。知識の泉より力を借りるべきだ。』


『異論はない』

『異義なし』

『賛成だ』


『では…満場一致の賛成により、知識の泉より力を借りる。』


刹那、巨人の動きがピタリと止まる。


『破壊こそ未来。闇こそ開明。』


『我らは全てで一つ…歴史に刻まれない聖戦、勝者は…我等だ。』


嵐が吹き荒び、巨人から禍々しいオーラが放たれる。


『…小さき民よ、我等に楯突いた罪…償え。』


『この世界なりの方法で、この世界を無に還そう…我らこそ、「闇」だ。』


『暗黒「"救いあれ"と愚者は云った」』


空が黒に染まる。


巨人の両腕が、レナを覆い隠す。


「しまった!やらせるかよっ!!」


凛音は巨人の腕に斬りつけるが、ダメージが全くない。


「くそっ!!」


魔力切れ故に、体力だけで剣を振るう。

しかし、それは鋼を噛み砕こうと必死に動く蟻のごとき小さすぎる抵抗であった。


『闇を知る…それは我等を知る事である。』


掌から黒い光線が放たれ、レナに直撃。


『消えるがよい』


両手がレナに迫る。


「それ以上はやらせねぇ!!」


乱暴に剣を振り回す凛音。だが、動きが止まる事は無かった。



「止まれ、止まれよ!!」



願いは…届かず。











グシャリ。











『次は貴様だ』


『我等は闇。光は駆逐されなければならない。』


「くっ…!!」


レナがやられた今、頼れるのは己の身一つのみ。


が、魔力は切れ、相手に与えられる物理的ダメージもほぼ0。


…完全に無理ゲーだよな、これ?


「だが諦めない!それがゲーマーだからなぁ!!」


俺は戦いを挑む。


相手はラスボスだな!!











戦場より離れたある場所にて。


「起きなさい、レナ。」


「あ…ゆか…り?」


「危なかったわ。あと少し遅れていたらどうなっていたか…」


紫はかなり傷付いたレナに手を置く。


「今の状況を教えましょう。完全に此方が劣勢よ。凛音が戦ってくれているけど、何処まで持つか…」


「…行かなくちゃ…」


無理に動こうとするレナを制する紫。


「貴方は此処に居なさい。今の貴方がどうこうしようとしてもただの邪魔者でしかない。

その代わり…最強の助っ人を呼んでおいたわ。」


ザッと、足音がした。


「…皆…!!」




そこにはもうこの世界に居ないはずの者達が、全員揃っていた。




「よっ、レナ。随分ボロボロじゃねぇか。」


「何かあったのか?」


「蓮也…トシキ…!」


「今度はまともだな。」


「また会ったわね。」


「光に猫耳レミリアまで!どういう事なんだ!?」


まさにびっくり仰天である。


「全てはこのノートからよ。あの化け物の存在を把握していたみたいね、このノートは。」


紫にノートを渡され、それに目を通すレナ。


そのノートには…。






『もうすぐ異質なものが現れる。

それは全てに仇なすものだ。

だが…例え一つの世界で歯が立たなくとも、今の状況なら、あるいは…』






「…あれを倒す為に、今まで空間を歪ませて世界を結んであったのね。あの歪みは言わば糸…世界と世界を結んだ、細い細い糸…」


「事態がいまいち飲み込めないが、要は皆…ここを救う為に来てくれた、そういう訳か…」


「ええ。貴方は寝てなさい。その間に終わるわ。…皆。」


紫は救世主たる者たちに顔を向け、話し始める。


「また呼んでしまって申し訳ないわね。でも、きっとこれが貴方達の、この世界での最後の仕事になると思うわ。

今現在、正体不明の化け物がこの幻想郷を破壊しようとしている。レナと…貴方方(あなたがた)と同じ境遇に立っている凛音という人が化け物に戦闘を仕掛けたけれど、全くと言うほど歯が立たないわ。」


「ゆかりん、って事はその化け物を倒せばいいんだな?」


この呼び方…蓮也か。


「ええ。単純に言えば、ね。でも色々と問題があるわ。まず一つ。接近するのにかなり時間がかかってしまう。見てくれれば解るけど、此処からあれ(化け物)までの距離は離れている。」


「でも、それは紫さんの隙間使えばいいんじゃ…」


「そうもいかなくなってしまったわ、トシキ。さっき、私はあの化け物の攻撃からレナを無理矢理守った。…その後遺症で、長距離の隙間による移動が出来なくなったわ。」


「え!?」


「それに、私はレナを治療しなきゃいけない…正直、隙間を使っている暇はないわ。でも、まだ手はある。」


ハッと閃いたような声が聞こえた。


「…移動手段は、俺のトラックか!」


「頭の回転が速くて助かるわ。そうよ、隙間が使えない代わりに光の軽トラックがある。皆にはあれで奴に接近して貰うわ。」


「給油しててマジ良かった…!」


「質問。私の役目は?」


この声は…猫耳レミリアか。


「貴女には立派な仕事があるわ。接近中、必ず奴から攻撃を受ける。貴女はそれを判断して撃ち落とすなりなんなりして貰う。場合によっては武装による攻撃もお願いするわ。」


「解ったわ。」


少し間を置き、紫は苦しそうに続けた。


「間違いなくこれからの戦いは熾烈を極めるわ。…死なないで。それが私から言える最後の言葉よ。」




「…死ぬ訳あるかよ、ゆかりん。だってさ…」


鉄パイプを構え、蓮也は一言!!


「仮にも幻想郷の守護者の一人たる俺が、こんな事で怯むもんかよ!!」


「そうだな…蓮也の言う通りだ。」


袴を整え、トシキも臨戦態勢!


「何処の幻想郷だって関係ない…オレ達はただ、守り抜くだけだ!!」


「化け物なんかに幻想郷を潰されるなんて嫌ね。」


翼を広げ、猫耳レミリアが吠える!


「お嬢様の為に、私は戦う!!」


「戦いなんて怖い。逃げたいと思っていないなんて言ったら嘘になる、だが…!!」


トラックのエンジンを入れ、光は叫ぶ!!


「俺は運び屋だ!!この依頼、誇りを賭けて引き受けた!!」




「行くぞ、紳士淑女諸君!!これは聖戦だ!!俺達はそれぞれの誇りに賭けて、奴を潰す!!」


パイプを天に掲げる蓮也に、周りが呼応する!!


「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」


天を揺るがすような叫び。


こうして、歴史に刻まれない聖戦が、始まった。








‐???視点‐


私が出向いても良いのだがな…しかし我が力はこの幻想郷に多大なる変化を(もたら)す。

歯がゆいな…民の力になれぬとは。


「その為に俺が居るんじゃないですか。俺の力なら、この幻想郷に与える影響は少ない。それに、もう手は打ってあります。」


ふむ…あの救世主達を導いたのも、お前だったな。


「空間の歪み…あれは俺にとっても偶発的でした。ですがあれがあったから、俺は此処まで出来た。」


だが、あの人数で大丈夫なのか?幾ら有力者とは言え、人数不足ではないのか?


「そう思っておいて、もう一人呼んでいるのですよ。」


奥から一人の少女が現れる。


ほう…平和主義のお前にしては、随分物騒な人間を連れてきたな。


「私をこれ以上貶すつもりなら殺すわよ。」


「待て。君を連れて来たのは別の目的だ。君に倒して欲しいのはあれだ。」


床に、その敵の映像が映る。


「…解っているわよ。要はあれを倒せば良いのね?」


「ああ。頼んだ。」


「わざわざ遠出したんだから、報酬はたんまりと頂くわ。」


そう言い残して、彼女は消えた。


今回は私が出る幕はなさそうだな。

この戦いの行く末…見届けなくては。






‐???視点‐


さっと地面に着地した私は、生の気配を感じた。


…1、2、3、4つの生が、一つのどす黒い生へ向かっている。


どす黒い奴は、もう一つの生と戦っているみたいね。

でも、かなり押されている。


遠くに3つ、生の反応がある。


あっちは大丈夫ね。


「なら、私はこっちに向かうのが一番ね。」


私は黒の方へ向かう事にした。







‐レナ視点‐


俺は紫の治療を受けているが、このままではかなり時間がかかる。

俺も行かなくては、凛音が心配だ。


「じっとしていなさい!治るものも治らないわよ!?」


「だが、このままでは凛音が!!」


「解っているわよ!だからじっとしていなさい!」


「くっ…!」


俺はこのままじっとしているしかないのか。


「お待たせ!私の出番ね!」


「零奈…!」


「早速治療を開始するわ!しゅー君!」


【がってんしょうちのすけ!】


どろりとした液体が、俺を包む。


そして何の原理は解らないけど、傷が全て治った!


「紫、貴女も!」


紫にも液体がかけられる。


「…ありがたいんだけど、なんか汚された気が…」


「気にしないで!とにかくあれが敵なんでしょ!行くわよ!」


「あ、隙間が使えるわ」


「よし!行こう!」


俺達は隙間に飛び込んだ。









‐凛音視点‐


正直な話、きつすぎにも程がある。

救援くらい来てほしいものだが…!


『闇に押しつぶされよ。暗黒「原罪の十字架」』


十字状に光線が放たれ、俺はなんとかかわす。


『よくぞかわした。だが、何処までかわし続けられる?』


まずいな、このままではやられる。


決定打が与えられない以上、かわすのに体力を使い続ける事になり、いずれジリ貧になる。


『見切ったぞ。暗黒「"救いあれ"と愚者は云った」』


しまっ…!!


両腕が迫ってくる。



此処で、終わりか?



「斬り裂け!!」



片手が、斬り落とされた。


あんまりにも長すぎる(一話にまとめると余裕で一万文字突破)ので次回こそ最終話!


というわけで次回

「聖戦の終焉」


お楽しみに!

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