【光編】その6『光溢れる世界へ』
-レナ視点-
「…うな…」
なんだか悪い夢を見ていたような気がする。
それにしても、かなり寝ていたようだ…どれくらいだ?
「起きたんですね、レナ。」
「咲夜さん…すみません、寝てしまってたみたいですね。」
俺は起き上がろうとしたが、咲夜さんに制された。
「レナ、貴方は障気にやられてしまっていました。障気は舐めてかかると死ぬ事すら有り得ますので、どうか今日は寝ていて下さい。」
「そ、そうなんですか…解りました。」
どうやら俺は中々まずい状況だったらしい。
…流石に咲夜さんに迷惑がかかるのもアレなので、俺は素直に寝ている事にした。
「…なんか最近、良い事が全然ない気が…気のせいか。」
‐光視点‐
「届けたはいいが、どうやって帰るんだ?」
レナに無事(と言うのも疑問だが)、荷物を届けた今、後は元の俺達の知る幻想郷に帰るだけである。
…が、どうやって帰るの?
行きは行きで随分と凄い事になっていたし、そもそもあの状況からして一方通行だったし。
これは困ったことになったぞ。もしかすると帰れないのか?
「大丈夫よ、光。貴方達は私がきちんと元の世界に戻すわ。」
「紫さん…てか、なんで俺の名を?」
「色々と調べさせて貰ったのよ。今、あっちに帰る道を作ってる所だから、もうちょっと待ってて。」
まぁ、紫さんの言う事なら大丈夫だろう。
「解りました。」
なんとか帰れそうだ。
っと、帰れると解った以上、最後にやらなくてはならないことがある。
俺はある場所に向かった。
「すいません、彩埼玲奈さんですか?」
レナはベッドの上で休んでいた。
が、寝てるわけではなかったみたいだ。
「?ああ…君は?」
「私、上松光と申しまして、今回の荷物の配送をしてたんです。」
「あ、まさか謝りに来てくれたのか?だったら別に気にしないでくれ。運送業者とは言え、箱の中身は見れない事もあるし、果物と言っといて野菜が入ってたなんて事もあるくらいだから。」
「ですが、こちらのチェックも甘かったのは事実ですし…」
「違うさ。今回悪かったのは障気なんかを入れた奴の方だよ。それでも自分が悪いと思ってるんなら、もうこの話はしないでくれ。俺は『たまたま運が悪かったんだ』の一言で片づけるつもりだから。」
「…解りました。」
暫く沈黙が流れ、彼が口を開いた。
「君も、何処かから来た人間なんだろ?」
「ええ。もうすぐ帰れるみたいです。」
「そうか…俺のような奴が言うのもなんだけど、君を待っている人は君が思う以上に沢山居る。そういう人達を大切にしてやってくれ。俺なんかに謝るより、そっちの方がずっと大事だ。」
「…はい。」
彼は俺よりずっと大人だ、そう感じた。
「さて、と!しみったれた話はここまでにして、なんか食べよう!お腹が空いちゃってたまんないんだよ。」
…うん、とっても言いづらいんだが…
「俺…ついさっき食べ終わったんですよ…」
「…」
なんてこった。
そんな事もあったが、時は早いもので、それから2日後の早朝…
「そしたらそろそろ行きます、色々とありがとうございました!」
「ああ!気を付けて!」
彼らを後ろに、俺はトラックのアクセルを踏み、紫さんの隙間に突っ込んで行った。
「…荷物、半端ないな…」
帰った先の運び屋の倉庫に恐ろしい量の荷物が山積していたのは、言うまでもないか。
「よっしゃ、今日も仕事しますかね!休んだ分頑張らないとな!」
俺は普通の日常に戻った。
次回より『AVAで猫る』とコラボ!
というわけで次回
「【猫耳レミリア編】その1『The Survival』」
お楽しみに!