【光編】その4『荷物の中身』
残り2話くらいでおしまいです!
…物語の整理がてら今までのあらすじ。
レナの居る幻想郷に迷い込んだ光と阿求は、得られた情報を元にレナが居る紅魔館へ向かう。
レミリアに荷物を託したが、すぐにレミリアが恐ろしいものを見たような顔をして戻ってきた。
…レナの運命や如何に!
ー光視点ー
「…な、なんじゃこりゃぁ…!」
俺は目前の光景に夢ではないかと頬をつねりたい勢いだった。
というのも、目の前には黒いスーツ姿の青年が居たのだが…
彼、なんかおかしくなってます。
眼が虚ろだし…まるでヤンデレ化した人の眼だし…
ケタケタ不気味に笑ってるし…
「壊シテシマエ…皆消エテナクナレバイインダ…」
怖いよ…
「あれがレナよ…!」
レミリアが苦虫を噛むような表情で言う。
え、あそこでケタケタ高笑いしてる彼がレナなの?
「今の彼は正気を無くしてる…さっきの荷物を開けた途端に、彼が…!」
荷物の中身何だったの…
「お嬢様、どうします!?」
ナイフを構えるメイド長。絵になるなぁ…
「咲夜、奇襲をかけて!その間に私とフランで仕留めるわ!そこの運送業者!貴方も手伝いなさい!」
「手伝いたいのも山々なんですが武器がありません」
あんな化け物じみた相手に武器なしで挑むのは自殺行為だと思う。
「仕方ないわね…!咲夜、レナの時間を止めて!」
「かしこまりました!」
直後、青年の笑い声が止まる。
「今の内に武器を取りに行きなさい!」
「す、すみません!」
俺は走ってトラックにある拳銃を取りに戻った。
ー咲夜視点ー
困った事になりました。
あのレナの狂いっぷりから予測するに、荷物の中身…どうやら障気のようですね。
それも特濃濃度の障気。
邪悪なる魔力を込めた空気は障気と化し、耐性のない人間や妖怪は…狂う。
レナは障気に当たった事がないから、あそこまで影響を受けたんですね。
…にしても、今回は色々とまずいですね。
不死に加え、実際の力は幻想郷トップクラスのレナが狂って暴走したとなると、どこまで食い止められるか…
「お嬢様、何処まで許されますか?場合によっては首をかっ切る事になりますが…」
首をかっ切るだけで終わるなら安い方ですが。
「構わないわ。フラン、両腕を破壊出来る?」
「ちょっと動きを止めてくれたら大丈夫だよ?ただ、咲夜の能力使われちゃったら能力使えないよ。」
「…ということよ。咲夜、何とかしてレナの動きを止めて。私も手伝うわ。」
「かしこまりました。」
…と言われても、何処まで出来るか…
数秒止められれば御の字、という所でしょうか。
「お嬢様、フランお嬢様、準備は宜しいでしょうか?そろそろ解除します。」
「いいわ。」
「3つ数えたら解除します…1…2…」
数え終わる前に、フランお嬢様が先に駆け出した!
「3!!」
再び彼の笑い声が響く。
「アヒャヒャヒャ…ヒャァッ!!?」
今の彼でも、僅かに感情があるようですね。
左腕が、へし折られてますが。
「お前はレナじゃないから、幾らでも壊してあげるよ!」
「面白イ、オ前カラ壊シテヤロウ!」
意識がフランお嬢様のみに向いている、それは甘さとしか言えない!
「レナには悪いけど、もう一度死んでもらうわよ!神槍『スピア・ザ・グングニル』」
「お嬢様、私に合わせて下さい!奇術『エターナルミーク』」
お嬢様のスペルと私のスペルの同時攻撃…かわせますか!?
「甘イナ!ソンナ攻撃、私ニハ効カヌ!」
「確かに、これだけでは甘いかもしれません。」
「何?」
「意識を取られ過ぎなんです。だからこうなります!!」
大量のナイフによる移動の制限、さらにお嬢様のグングニルが彼に向かい…!
「ナメルナ!」
「舐めないで欲しいのはこちらの方です…!フランお嬢様!」
「「「「準備出来てるよ!」」」」
相手がフランお嬢様の方を向く。
…4人のフランお嬢様を相手にするつもりですか?
「「「「禁忌『フォーオブアカインド』…ぷらす!禁忌『レーヴァテイン』!」」」」
さあ、チェックメイトです。
「「「「レナから離れろ!!」」」」
レーヴァテイン×4から放たれる業炎。
「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
業炎、ナイフ、グングニル…流石にただでは済まないはず!
「お待たせしましたぁ!!俺もやりますよ!自己暗示…!!」
やっと来ましたか、運送業者さん。
彼も面白い能力を持っているようです。
「イッちまいなぁ!!おらおらおらおらぁ!!」
実弾とは中々ですが、もっと早くしてほしかったですね。
蜂の巣になった、敵。
「マ、マダダ…まだ「貴方の出番は終わりよ。」」
何かに殴られ、地面に伏すレナの身体。
が、近くには何もない。
こんなことを出来るのは一人しかいない。
「や、八雲紫!?」
「意外ね…レナにもこんな弱点があったなんて。でも大丈夫よ。結界を使うわ。」
瞬間、レナの身体が結界に包まれる。
「霊夢を呼んでくるわ。ちょっと待ってて。」
隙間に消える紫。
…おいしい所を持っていかれましたね…ですが、もう大丈夫みたいですね。
「ふぅ…何とかなったみたいね。咲夜、紅茶をお願い。」
「かしこまりました。」
動いた後の紅茶は確かに美味しいです。
…八雲紫、霊夢、そしてあの運送業者さんの分も用意しておきましょう。
次回予告。
光、『まともな』レナに出会う!
というわけで次回
「その5『今度こそ宅配終了?』」
お楽しみに!