貴方は力を履き違えていると言われました
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ありがとうございます!!
-レナ視点-
な…なんだ…此処は?
さ…寒い。
気候的な意味じゃなくて、あれだ、幽霊を見たときみたいな…
そうだ!幽々子が現れたあの時に似ている!
と…いうことは。
幽霊だらけなのか、此処は…?
「何をしているんですか?私についてこないと永遠に此処をさまよう事になりますよ?」
やばっ!
俺はなんとか一緒に来た彼女に付いて先を進んだ。
暫く進み、まるで北極に1人薄着で放されたような極寒の中で、彼女は止まった。
何となくだが…幽霊が飛び交ってないか、此処?
「…此処で良いでしょう。さて、貴方には力を付けて貰います。貴方、魔力を持っているそうね?」
「あ、ああ…確かに魔力ならあるが…」
逆に言えば魔力しかありません。後は能力しか。
「魔力の源をご存知ですか?魔力も霊力も妖力も、実は遡れば源を同じとする力なのですよ。」
「そ、そうなのか?」
「ええ。但し、性質はまるで違います。
魔力は主に弾を生成しやすい力。弾の形も、量も操りやすい。
霊力は主に能力を使うのに必要な力。そして、この幻想郷に生きる者は必ず多少なりとも霊力は持っているのです。
妖力は自身の強化…自分を大きく見せたり、威嚇したり…妖怪には必須な力です。
本来、人間や妖怪はこの3つの力の内、精々2つを自在に操るのが限界なのです。
ところが、貴方が挑もうとしている相手…風見幽香はその3つの力を完全に使いこなせる。
何が言いたいか、解りますか?」
「つまり…幽香に勝つにはその魔力・霊力・妖力を駆使しなきゃならないって事か。」
「その通りです。貴方は実は魔力に関してはほぼ完璧です。
霊力に関しては、貴方の能力の特異さ故にそれほど気にしなくても特に構いません。
ですが…妖力に関しては元が人間ですので絶望的に駄目です。」
そりゃ人間に妖力ついてたら怖いよ。
「というわけで、貴方に選択肢を与えます。
人間辞めて妖怪になって妖力を得るか、あくまで人間という枠から外れずに風見幽香を倒す手段を構築するか…どうしますか?」
その選択肢…答は一つしかないだろ。
俺は人間だ。だから…
「妖怪にはならねぇ。俺は人間のままで幽香と戦いたい。」
すると、彼女は少し微笑んでこう返した。
「流石ですね。貴方に力を渡して、本当に良かった。」
「へ?」
そもそも初対面な気がしますが…
「貴方がレミリア・スカーレットと初めて戦った時、私は貴方に力を託しました。覚えていませんか?」
「あ!!」
弾の乱射が出来るようになったあれって…彼女の力だったのか!
「思い出してくれて何よりです。その時の約束通り、力を返して貰います。
…大丈夫です、私の力はあくまで貴方に眠っていた力を目覚めさせる為の起爆剤でした。今更奪われた所で、貴方には何も影響はないはずです。」
だが、彼女が誰か思い出した時に俺に浮かんだ思いは感謝だった。
「あの時はありがとうございました。あなたが居なければ、俺は今此処に居なかったかもしれない。」
「良いのです。貴方のおかげで幻想郷は平和になりつつあるので…こちらこそお礼を言わせて下さい。ありがとう。」
「ところで今更なんですが…あなたはどちら様で?」
今更過ぎるが、命の恩人の名前くらい聞いておきたい。
「失礼、名乗るのを忘れていましたね。私は四季映姫・ヤマザナドゥ…地獄の閻魔大王をしています。」
…え?
「え…閻魔大王…なんですか?」
「はい。それがどうかしましたか?」
俺は閻魔大王にタメ口を利いていたのか。
「態度が悪くて申し訳ありませんでした」
即座に土下座。
「良いんですよ、少しくらい砕けていても構いません。寧ろ、貴方にまで畏まられるのも少し困るので…」
閻魔大王様にまで会ってしまった俺。
まさか、もうすぐ死ぬのか俺?
「さて、時間もありません。貴方の意思もしかと聞き届けました。ならば、やることはたった一つです。
…貴方の能力を、強化します。」
「え?」
能力を強化?
「貴方の能力は余りにも強大過ぎて、リミッターを掛けさせてもらっていました。それを外します。」
「具体的に何が出来るんです?」
リミッター外すって事は何かが出来るようになったりとんでもない強さが手に入ったりとかって言う事だよね?
「実は既に片鱗は見せているんですよ?システム『IED』…あれの力は、元は貴方の全力です。」
「はい!?」
マジですか!?
でも覚えてません!
「貴方はシステムを自分から打ち砕き、力を得た…ですが、私が掛けたリミッターまでは破れなかった。今回はそのリミッターを外します。それにより、貴方は莫大な力を得る事が出来ます。」
「あの…リミッター外してくれるのはすごくありがたい事なんだが、外した事におけるデメリットみたいなのはないんですか?」
よくあるパターンだよね。
「ありますが、今の貴方にはデメリットなんてただの石ころです。ぶち壊して下さい。そうすれば全く問題ありません。」
デメリットをぶち壊せって流石、閻魔大王様です。
人間じゃ考えない事を真面目にやろうとするその心意気に感動する!
「それでは外しますよ…後は貴方の問題です。」
フッと、身体の内側が解き放たれる感じがした。
瞬間、身体中をマグマが駆け巡るような苦しさを感じ、俺は蹲った。
「が…あ…!!」
頭がガンガンと叩かれるような錯覚。
身体中をナイフで刺されるような痛み。
「力が…抑えきれない…!!」
身体で抑えようとするが、身体が引き裂かれるような気がした。
…待て、抑えられないなら抑えなきゃいいんじゃ…?
そうだよ、抑えなきゃいいんだよ!
開放して、抑えられる範囲内で調整すればいいんだよ!
「…右肩から…拡がれ…!!」
力が肩から飛び出すのが解る。
だが、それと同時に苦しみが無くなった。
「やりましたね…貴方はもう、私の助けなしにも充分戦える…どんな相手でも。…貴方は力を履き違えている…そう思っていた時もありましたが…どうやら履き違えていたのは私だったみたいですね。」
翡翠色の結晶のようなものが、レナの右肩から隆起している。
それは、人間としての力の完全体。
「その形態は文献によると『翼を求めし者』と言うそうです。貴方だけの空を…自由に飛んで下さい。」
力は、手に入れた。
後は…戦えるだけ戦うだけだ。
「その顔…良いわ。戦士の顔ね。」
「どうも。俺はあんたの遊び相手じゃないって所、見せてやるよ。」
「…なら、改めて名乗りましょうか。私は風見幽香。妖怪よ。」
「俺は彩埼玲奈…人間だ。」
「ふふっ、まさか人間に興味を持つなんてね…私も変わったのかしら?それは…この戦いで解るけどね。
さぁ…始めましょう。」
太陽の丘。
そこで今、歴史に記されるはずのない戦いが始まろうとしていた。
幻想郷最強。
不死の人間。
二つの雌雄を決する戦いが。
始まる。
「最高の殺し合いを。」
二人は同時に駆け出した。
タイトルと内容がミスマッチ?
…ごめんなさい。
次回予告!
幽香とレナ、とんでもない戦いが、始まる!
というわけで次回
「一騎討ち」
お楽しみに!