レミリアの冒険
まさかのレミリア主人公編その2!
もう少し続きます!
事態がよくわからない人の為の前回までのあらすじ。
レミリアの昔話を聞いたレナは、レミリアの優しさに感動、そして自分の愚かさを悔いてフェードアウト。
…なんとレミリアが主人公に!
どうなんのこの小説!?
ー以下本編、レミリア視点でお楽しみ下さいー
翌日。
…さて、どうしたものか。
レナは咲夜に任せるとして、主人公になってしまった以上、私がレナの代わりにならなくてはならない。
ところがレナは普段何をしているのか、私はよく知らない。
本人に聞いてみよう。
「あぁ…私めは毎日悪い妖怪を懲らしめているのです、レミリアお嬢様。」
なんかキャラが変わってる!?
「ちょっとレナ!?貴方、どんどん主人公としてのカリスマさがなくなってきてるわよ!?」
「カリスマ?そんなことはどうでもいい…自然と一体となり、大地の声を感じるんだ…」
悟りを開きかけてる!?
「咲夜!今すぐレナの正気を取り戻して!」
「かしこまりました!」
咲夜にこの場を任せ、私は妖怪を退治することにした。
「…で、なんであんたが来てるのよ?」
「仕方ないじゃない!レナがちょっと見せられない状態になってるんだから!」
私は貧乏腋巫女こと博麗霊夢に妖怪退治について話を聞いていた。
「…まぁいいわ。でも、なんで吸血鬼のあんたがこんな白日の下にいられるのよ?よく灰にならないわね。」
「…パチェが特製日焼け止めを作ってくれたのよ。」
正直、パチェが居なかったら死んでたわ。
それでも効力は8時間しかもたない。
…時間はない。さっさとやるべきことをやらなくては。
「大体話は掴んだわ…要はこのリストに乗ってる妖怪を殺せばいいのね?」
「最悪そうなるわ。レナも何百単位で殺してるから。」
何百単位か…しかし、あのレナの事だ、きっと話が通じない相手だったのだろう。
「解ったわ…最近巷じゃ私を舐めてる奴等が多いみたいだけど…」
背中の翼を伸ばす。
「深紅の悪魔の力、見せてあげるわ。」
…最近の人間や妖精って、吸血鬼を恐れないのかしら?
「あ、レミリアだー!」
人間の子ども達は私を見るなり喜んで寄ってくる。
害はなさそうだし、血も十分に足りているので殺しはしないが。
「レミリアって、フランちゃんのお姉ちゃんなんでしょ?」
「え?なんで知ってるの?」
「レナお兄ちゃんがいっつもフランちゃんを連れてきてくれるの!それでね、遊んでくれるの!その時にフランちゃんが言ってた!」
…最近フランが凄く機嫌がいいのは、これがあったからなのか。
レナ…結構忙しいのね。
「レナお兄ちゃんはね、私達を守ってくれてるんだよ!悪い妖怪を退治してるんだって!」
「そうね…」
だが、このあとの子どもの一言に衝撃を受ける。
「でもね、実際は良い妖怪さんもいっぱいいるんだって!だから妖怪だからって話もせずに嫌っちゃ駄目だよって、レナお兄ちゃんが言ってた!」
「!!」
レナ…貴方って人は…!!
妖怪は悪行が目立つから、人間からは嫌われがちだ。
だけど、実際は本当に悪い妖怪は一握りしかいなくて、大多数は人間に友好的なのだ。
それを、レナは知っていた…
「だから私ね、妖怪さんと仲良くなるの!悪い妖怪さんもいるかもしれないけど、レナお兄ちゃんが守ってくれるから!」
その屈託のない純粋な笑顔を、私は直視することが出来なかった。
人間の血を喰らう為に人間を殺してきた私は、こんな子ども達を守る資格はあるのだろうか。
「レナお兄ちゃんは?」
「今日は休みなのよ。」
全く…あーだこーだと考える前に、やらなければならない事を思い出した。
「そしたらレナお兄ちゃんにこれをあげて!」
子どもから渡された…
「飴?」
「うん!いつも守ってくれてるから!」
…あの馬鹿、後でぶっ飛ばしてやるわ。
こんな子ども達を守らずに何やってんのよ!
「解ったわ。ありがとう。」
その頃、紅魔館では。
「ぐすん…あ、そういえば妖怪退治に行かなくちゃ…」
「何やってんのよ、レナ。」
「霊夢…?」
「レミリアがあんたの代わりに妖怪退治に行ったわよ。こんな真っ昼間に。自殺行為にも程があるわ。」
「あ…レミリアは吸血鬼だもんな…」
「行ってやりなさいよ。このままじゃレミリアはかなり無理するわよ。それに、あんたに会えるのを楽しみにしてる人が居ること、忘れないで。」
「…」
ー再び、人里付近のレミリア視点に戻る。ー
子ども達を守る…昔の私ならあり得なかった事ね。
…レナに出会ったからかしら。
さて、最初の目標は…
「怪人『オヤノスネカジリ』?」
なになに…?この妖怪は大人の人間に「お金くれよー、お金くれよー」なんてしつこく頼んでくるらしい。
一回きつくお灸を据えてくれとのこと。
「殺しちゃ駄目ね…お灸を据えるんだから。」
「お金くれよー、お金くれよー!」
「出たぁ!オヤノスネカジリだ!」
あぁ…あれね。
にしてもあの妖怪…骨と皮しかないくらいげっそりしているわね。
なにかあったのかしら?
「怪人オヤノスネカジリね。」
「お金くれよー…って、お前は!」
暫く私を見たあと、スネカジリは一言。
「なんだ、れみりゃか。」
「その『なんだ』は何!?」
随分舐められてるわね…やっぱり殺そうか?
いや、これくらいで殺しちゃ駄目ね、話を聞かなくちゃ。
「なんでお金が欲しいの?自分で稼いだらいいじゃない。」
働くくらいなら出来るはずだけど…?
「…母さんが病気なんだ。俺も働いてるんだよ!でも、お母さんは手術が必要で、お金が全然足りないんだ…。」
なんか凄く不憫に思えてきた。
「そのお母さんは何処に?」
「妖怪の山の家で安静にしてるよ。病気が悪化しないか毎日祈ってるんだけど、最近日に日に悪化して…」
「病院行った?」
「行ったけど、手術が必要だって…お金が全然ないのに…」
涙を流し始めたスネカジリ。
どうにか出来ないかしら…
あ、そういえば…
『最近さ、永遠亭って病院が迷いの竹林に出来たらしくて、治療が完璧で凄い良いところみたいだぜ。』
なんて泥棒魔法使いが言ってたわね。
「ねぇ、最近出来た病院…永遠亭って知ってる?」
「永遠亭…?」
知らないみたいだ。
「迷いの竹林にあるらしいわ。そこに行ってみたら?治療は完璧という噂よ。」
「…迷いの竹林ですか…?行ってみます!」
スネカジリはすぐに踵を返して走って行った。
「…解決、でいいのかしら…」
いいよね。
私は二つ目の依頼を受ける事にした。
次回予告
レミリア「作者、次のタイトルはどうなるの!?」
作者「うーん…(この後1時間程考えました、でレミリアに怒られました)」
というわけで次回
「レミリアの激昂」
レミリア「あ、今回のに比べたらマシなタイトルね。」