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100万回死んでも生き返りますが、何か?  作者: らぐな。
第三章「月は出ているか?と言ってみたい」
38/123

Δ8…獣は月の下に慟哭する

本編ラストです!

ー輝夜視点ー


な…何なの、あれ…?


さっきまでの不死身君の面影が…見た目からも雰囲気からも、完全に消えた…!


「…新たなる秩序…母なるこの大地に…貴様の存在は必要ない…」


まるで別人…いや、化け物…!


「唯一にして純粋なる存在…私はそれを望む…」


彼の変貌が終わる。


まるで樹の蔓を巻き付けたような不気味な緑色をした腕。


胸に輝くのは黒い球。


眼は輝きが消え、生気がない。


腰から伸びるのは土の塊。


「私は始まり…そして終わりでもある。新たなる秩序は、私が創る。」


「…神にでもなったつもり?貴方は神なんかじゃない、ただのケダモノよ。」


「…古き者には何も解らぬ。…死ぬがよい。」


え?今の今まで目の前にいたはずなのに…消えた!?


「姫様!上です!!」


「なっ…!?」


上を見ると、あの獣が両腕に力を溜めていた。


「消え去れ。」


腕を交差して放たれた力の塊は、まっすぐ私に向かう…!


「くっ!」


これは逃げるしかない。


私は回避行動に移ったが…


「追いかけてくる…!?」


私が逃げるのを追いかけてくる光弾。


「不愉快な弾ね!落としてやるわ!神宝『ブディストダイアモンド』!」


これなら弾を打ち消すくらい出来る!


「敵は弾だけではない」


いつの間に真後ろに!?


「終わりだ。」


流石にこれは無理があるわ…!


「天呪『アポロ13』!」


奴がよろけた。


「姫様!」


「永琳!助かったわ!」


「体勢を立て直しましょう!」


「解った!」


此処は永琳の言う通りに引き下がるべきね。






「永琳…あの化け物は何なの?」


あれは明らかに人間ではない事は解るのだけど…


「…あくまで仮説ですが、きっとあれは私達の技術…つまり、月の技術によるものだと思います。」


「月の…?でも、月の技術はかなり安定してて、あんな化け物を生むような不安定な技術なんてないはずじゃ…」


「今の月の技術は数え切れない試行錯誤の上に成り立っています。もしあれが、その試行錯誤の途中で生まれたものだとしたら、不安定なのも頷けると思います。」


…月の技術の大半は永琳によるもの。つまり、これも多分…


「…そこまで言えるんだから、永琳、貴女もあれに関わっていたのね?」


「はい…あれは自己防衛システム…システム『IED』の試作品だと思います。」


自己防衛システム…それは人間に埋め込み、危険察知能力及び身体能力を強化し、不慮の事故を防ぐシステム。


月ではもうなくてはならないものとなっていて、不具合なんて聞かない完全なシステムとなっている。


「私が昔提案して、実行に移す事になりましたが、不具合が当初はかなり多く…きっとその試作品のサンプルになったのでしょう。」


「その試作品が不具合起こして今あんなに暴れているの?」


「はい。当初の試作品には『自己進化』という機能が組み込まれてました。今のあれは自己進化機能が暴走した結果かと。あくまで可能性ですが。」


全く…試行錯誤は大事とは言え、失敗だと解ったら然るべき対応をしなさいよ…と思う。


「永琳、あれを止める方法はないの?」


「一応ありますが、かなり難しいです。彼の胸の部分に黒い球がついていました。それはシステムの本体…あれさえ破壊出来れば、暴走は止まるはずです。」


「確かに難しいわね…でも、それをしないとミサイルが壊されるかも知れないわ。やりましょう、永琳。」


あれを止めない限り、ミサイルは無闇に発射出来ない…






「…逃げられたか。」


「私はこっちよ!」


私達の策は、私が奴を引き付けて永琳が弓矢でシステムを破壊するというもの。



…来なさい!


「貴様を破壊し、私は新たなる秩序を創る。」


そう、こっちに来なさい…


「まずは貴様からだ。」


「永琳!」


後ろから矢が放たれる。

後はあの球さえ貫けば…!





「!?」


は、弾かれた!?


「よくぞ弱点に気付いた…だが、対策を取らないと思ったのは愚かだ。」


まずい!


そう思った瞬間、私と永琳は首を掴まれて押し倒される。


「古き者よ…土に還れ。」


このままではやられる…!





突然、獣が吹き飛ぶ。


「え…?」


目の前の光景に、私は驚くしかなかった。


獣を吹き飛ばしたと思われる人物は女性。


畳んだ傘の柄を右手に掴み、獣をじっと見る、緑の髪の女性。


赤いチェックのスカートが風にそよぐ。


「…全く、また面倒な事を持ってきたわね…さっさと終わらせて、家に帰りたいわ。」


誰かは解らないが、どうやら今は私達を助けてくれるらしい。


獣は起き上がり、本能を剥き出しにして彼女に飛び掛かる。


「甘いわ。」


左腕を獣の頭にぶつけ、右足のローキックで体勢を崩し、さらに傘で殴る!


「貴様は…!」


「私の事を知っているのね。でもすぐに忘れるわ。」


頭にさらに一撃、そして胸の球に一撃!


「中々硬いじゃない。じゃあ、これはどうかしら?」


傘を球に突き刺す!!


「終わりよ。…マスタースパーク。」


ゴッ!!!という轟音と共に、勝負は決した。






「…終わったようね。」


獣の姿が変わり、人間に戻る。


「私の仕事はここまで。それじゃ。」


彼女は傘を広げ、ゆっくりとその場を離れた。


「…邪魔者が入ったけど、これでミサイルを発射出来るわ。…ミサイル、発射!!」


これで月を破壊し、復讐を遂げる…!!






「あ、もう1つ仕事があったわ。花符『幻想郷の開花』」


え?ミサイルに弾が…






ちゅどーん!!!!!






ミサイル、爆発。






「「嘘ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!?」」






結局、あの女性のせいでミサイルは不発に終わり、私達の計画は頓挫した。




…というわけで、私達は竹林に建てた永遠亭に暫く住む事になりましたとさ。





次回予告

「Extra-1…歴史を喰らう者」


毎度の如くExtra突入!


お楽しみに!

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