Δ2…歴史を律する者
PV90000、ユニーク11000突破感謝♪
2011,7/3,一部修正しました。
-???視点-
「永琳、作業はどうなってるの?」
「材料は揃いつつあるのですが…いざミサイルを作るという話になると、人手が足りな過ぎます。」
頭は良くてもこればっかりはどうしようもならない。
「3日では難しいかと…このままの人手では最低1週間はかかるかと…」
まぁそれくらいが妥当ね。
「要は人手を集めればいいのね?」
「ええ…ですが姫様、当てがあるんですか?」
舐めて貰っちゃ困るわ、永琳。
「あるわ。私を誰だと思ってるの?姫よ?しかも箱入りのダメダメ姫なんかじゃない。行動力だけはあるわ。」
私がこの地球に降り立てたのも、地球に根付いたコミュニティがあった故。
さて…私の人望、見せてあげるわ。
-レナ視点-
「こぉらぁ!あんたは何回私達を待たせれば気が済むのよ!」
「はぁ…はぁ…」
だから俺は人間だってと言いたいのだが、言う気力すら起きない。
疲労困憊とは正にこの事だ。
「ったく、仕方ないわね…近くに人里があるわ、今日はそこに泊めて貰いましょう。にしても咲夜…だっけ?あんた、人間なのに疲れが見えないんだけど。」
「私の能力で休みつつ動いているので、それほど疲れてないんです。」
「便利な能力みたいね…私なんか、写真を複写するくらいしか使い道ないわ、羨ましい。」
「この能力がないと、紅魔館ではまともに働けないんです。仕事が多すぎて…」
「あ、あんたも大変みたいね…凄く急に疲れた顔になったわよ?」
後ろからでも解る、咲夜さんの溜息。
「仕事は苦にはならないのですが、あの『自称』カリスマ溢れる吸血鬼のお世話が大変なんです…あれをお嬢様と呼ぶなんて…妹様の方がまだマトモです。」
「確かに…あれを上手く操るのは難しそうね…」
なんか女性陣の話が深い…。
「あ、人里が見えて来たわ!急ぎましょう!」
休息の場所が見えてくるだけでも、テンションは上がる。
俺は残りの体力を振り絞り、はたて達を追い掛けた。
が、体力なんて残り一桁の勢いなので、また置いていかれた。
…これが後にちょっとした事件の原因になるとは、俺は考える事すら無かった。
「待て。」
「?」
後数歩歩けば人里に着くという所で、俺は見知らぬ女性に呼び止められた。
紺のしっかりしたワンピースをシャツの上から着ている女性。
…というより、この人も胸がでかいな…
咲夜さんは普通だが、はたてはあるとは言い切れないレベルだからな…っと、なんか脱線した。
淡い水色の腰までかかりそうな長髪が、風に揺らめく。
頭には…烏帽子でいいのか、あれ?
「貴様…私の教え子に手を出したそうだな?」
「え?」
訳が解らない。
教え子?彼女は先生か何かをやっているのか?
「惚けても無駄だ、この外道が。」
見知らぬ女性に罵られるような事、俺やったかなぁ…?
「話が見えてこないんだが…その教え子って誰なんだ?」
「チルノ…と言えば思い出すか?」
「!…ん?」
チルノって言えば、確か紅魔異変の時に突っ掛かってきて、ぶっ飛ばしたな…
!まさか!?
「待ってくれ!あれは正当防衛だ!あっちからいきなり喧嘩吹っ掛けてきたんだよ!」
「外道が!貴様の言葉など信じるか!この上白沢慧音が貴様に天誅を下す!覚悟!!」
そうして相手は俺に迫って来た!
「聞く気はなさそうだな…!信じて貰う為に、俺は戦う!」
両手に魔力を集め、放つ!
「弾を使える!只者ではないな!」
だが弾はかわされる、お返しが来た!
「うぉっ!狙いが正確だ!」
顔を狙う弾を、なんとかかわす。
「甘い!」
なっ…!?足が払われた!?
「うわっ!」
体勢を崩した俺に…
「終わりだ!」
鳩尾を突く一撃!
「がはっ!」
な…何だよ…これは…!パンチってレベルじゃねぇぞ…!
「まだ耐えるか…だが、貴様は運が悪いな。今日は満月だ…満月の時の私は…」
月の光を背中に浴びる彼女は、唇の端を軽く上げてこう続けた。
「何をするか解らないぞ?」
…あれは…!?
「私は少々特殊な生き物なんだ…狼人間の話は知っているな?」
「狼…人間…」
満月になると狼と化す人間か…
「私もそれと似ていてね…満月になると、私は力が高まるんだ。」
少しずつだが、彼女の姿が変わる。
頭に聳える一対の角。
服装の色すら変えてしまう彼女の変化は…
とにかく恐怖しか感じられなかった。
「私は白沢…不思議な生き物さ!」
血管が隆起するほど強く握られた拳が、俺を砕かんと迫る。
「貴様には死が相応しい…あの世で後悔するんだな!」
死にはしないだろうが、暫く寝たきりだろうな…
「そこまでだ、上白沢慧音。」
「「!?」」
声のする方に振り向くと、先程はたてが話していた少女と、もう一人の少女が巨漢の妖怪に拘束されていた。
「クカカカカ…まさか俺の変身能力がここまで役に立つとはな…おかげで誰にも気付かれずに餌を手に入れる事が出来たぜ。」
「貴様!彼女達を放せ!」
「おっと、それは出来ない相談だなぁ。…そうだ。そこにいる人間を殺せ。まぁ俺がなりきった人間だけどよぉ。そうすりゃこいつらを解放してやってもいいぜ。
君たちはしっかり見てろよ!先生が人殺しになる瞬間をよぉ!クカカカカ!!」
どうやら、俺はやるべきことがありそうだ。
彼女が俺の方を向く。
「…済まぬ…!」
踏ん切りがつかなそうだったので、俺は唇を動かした。
「………」
彼女の拳が、俺の腹に入った。
「クカカカカ!まさか本当に殺しちまうとはよぉ!それほどこいつらは大事か!?…まぁ良かろう、こいつは解放してやろう!」
妖怪は一人の少女を解放する。
「貴様!もう一人は!?」
「クカカカカ!こいつも解放したいのか!良かろう、条件をくれてやるよ!俺の女になれ、そうすりゃ解放してやるよ!」
「くっ…!」
「お前は美人だからなぁ、やりがいがあるってもんだ!クカカカカ!」
何のやりがいだよ…と思いながら、俺はこっそりと起き上がる。
それにしても彼女の拳は痛かった。うぅ…
幾らさっき唇で「遠慮なくやってくれ」と言ったとはいえ、痛いもんは痛い。
「さぁ、俺の女になれ!」
…バカだな。あの妖怪、俺を殺せると本気で思っていたのだろうか。
「なってやるから、さっさとその子を放せやこのクズ妖怪が!!」
相手はでかかった、それすなわち急所も高い位置にある!
なんせ股の付け根が俺の顔の位置にあるからな。
というわけで奴の後ろから〇〇〇〇を蹴り上げてやりました。
「%#&℃§△£∞!?」
その痛さ…俺も男だから解るよ。
「だが加減はしない!」
さらに蹴り上げ、奴を苦しめる!
「慧音先生!今のうちにその子を!」
「え!?わ、解った!」
目の端で人質だった子ども達が保護されたと確認し、俺は奴の左腕を掴む!
「うぉぉぉぉぉ!!」
背負い投げが決まったー!!
「ど、どう゛じで…ぎざまは…」
「俺は死なない人間なのさ。俺になりすますならもう少し考えろ。」
軽く妖怪を放り投げ、止めのスペルを発動!
「私も一撃いいか?」
横に並ぶ慧音先生!
「ええ、構いませんよ!」
「私に付いて来て貰えるか?」
「…了解!行きましょう!」
まず駆け出したのは先生!
「貴様が真の外道だな!許さん!野符『武烈クライシス』!!」
殴打、蹴り、怒濤のラッシュ!!
「負けてられないな!奥義ぃ!!」
両手に溜めるは超高熱!
「熔岩二重掌波ぁ!!」
妖怪さんこの時点でオーバーキル!
「「だがまだ気が済まない!!」」
止めの拳!
右からは慧音先生の拳!
左からは俺の拳!
「「あの世で詫びろ!!」」
妖怪、死亡しました。
「「これぞ見敵滅殺!!」」
「済まぬっ!私が誤解をしたばっかりに!」
「いやいや、構いませんよ。」
平謝りする慧音先生。
「チルノの事は本当ですし…」
「しかし…!」
納得がいかないようだ。
「そしたら教えて下さい。月の事ですが…」
すると先生は有力な情報を提供してくれた。
「欠けた月の話なら、私より詳しい人が居る。私の友達なんだが、会って話を聞いてみるか?」
「ありがとうございます!」
この後、咲夜さんとはたてに再会でき、翌日動く事にした。
次回予告
「Δ3…月破壊計画」
レナが出会った人物はまさかのあの人!
お楽しみに!