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100万回死んでも生き返りますが、何か?  作者: らぐな。
第三章「月は出ているか?と言ってみたい」
29/123

月下の惨劇

永夜抄編スタートです!


2011,7/3,一部修正しました。


その日は不気味なまでに月が白く、鈍く輝いていた。


月の下、白装束の者が神輿のような何かを運んでいた。


ちょうど人が数人入りそうな箱を乗せ、神輿のようなものは進んでいく。




「…蓬莱山輝夜(ほうらいさん かぐや)、もうすぐ目的地に着く。準備を。」


外から冷たい声がした。


「…姫様、何かの間違いですよね?姫様が蓬莱の薬を飲んだだなんて…」


「飲んだわ。不老不死というのは魅力的だった。…誰も死にたくないのは同じ。」


十二単を着た少女が、心配そうに見つめる従者にぽつりと言った。


「そうでしょう…永琳?」


少女は目の前に座る女性にそう語りかけた。


紺と赤の2色の服を着た、白銀の髪の女性。


「…確かにそうですね。」


女性はそう返したきり黙ってしまった。


「でも清々したわ。あんな屋敷で死ぬまで永遠に住むなんて御免よ。死ななくなったし、老いて美しさを損なう事も無くなったし。責めるなんてとんでもないわ、だって私からそう頼んだんだもの。」


…これからの生活にどうやらこの少女は期待しているようだ。






「貴様!何を…ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


突然の悲鳴と共に、神輿は地に沈む。


「殺せ!殺られる前に殺れ!」


箱に閉じ込められていた少女達は、何が起きているか確かめるべく外に出てみた。


…白装束の者達が、身体を引き裂かれて無惨に死んでいる。


肉片が、赤黒く光る。


そして、屍の頂点に立つ者に気が付いた。


血に濡れた黒の男。


「…随分と酷い出迎えじゃない。」


少女は彼を知っているようだ。


「…姫、もう少し待ってくれ。…まだ生きてる奴が居る。」


音を立てずに逃げようとした白装束の者が彼に捕まる。


「た…助けて…」


その恐怖の感情を直に表した顔を見て、彼は引き攣る程唇を吊り上げて返した。


「無理だ。今の俺は…殺人鬼だからな。」


頭を握り潰し、返り血を直に浴びた彼の顔には笑みが。


「…うっ!」


従者が余りもの惨劇に耐え切れなくなったのだろう、その場所から離れた。


「…恐ろしいわ。人を人と思わないのね。」


少女…輝夜はあくまで冷静に話しかけた。


「あれはそもそも人じゃない。『人の形をした何か』だ。現に、あれは…」


彼は、先程頭を握り潰した肉体を指差した。


肉体は立ち上がっていた。


「頭がないのに動いている、これはどう考えても人じゃないだろう。だから容赦なく殺した。」


今度は胸の辺りを貫き、止めを刺した。


「…蓬莱山輝夜…でいいんだな?」


「ええ。」


「依頼主と確認した。こっちだ。」


彼に案内され、竹林に足を踏み入れる。







「…此処だ。貴女方には暫く此処に隠れて貰う。…異論はないか?」


目の前には立派な建物が。


「特にないわ。強いて言うとすれば…貴方の名前をまだ聞いてない。」


「…名前はない。貰った事すらないが、上司からは『ネイビー』と呼ばれている。」


「そう…。ネイビー、私達は何時まで此処に居ればいいの?」


「奴ら…月の奴らが追ってこなくなるまでだな。」


「月の奴ら…?」


「きっと、この事態は直ぐに奴らに伝わる…つまり、奴らは必ず君達を追いかけまわす。だが、必ず終わりは来る…それまで、君達は隠れていてくれ。」


「解ったわ。それより、貴方はどうするの?」


「俺は月へ向かう。奴らが動き出すより前に手を打つ。…ただ、君達にもう会う事はないだろう。」


ネイビーのその一言が、輝夜に疑念を抱かせる。


「どういう事?」


「俺の任務は此処で終わりだ。後は月で一騒動起こせばそれでおしまい。安心しろ、人殺しは今の所する予定はないから。」


「何処に安心できる要素があるのよ…月に入るのにも一苦労なのに、それを…」


「何も正しい手段で入るとは誰も言ってないぞ?…ある人物の力を借りる。これ以上は聞かないでくれ、任務に支障が出る。」



とにかく、ネイビーはそう間を繋げ、続けた。



「『月の頭脳』と言われた彼女が傍にいるんだ…俺の行動の意味は彼女になら解るはずだ。解らないなら彼女に聞いてくれ。」


そう言い残し、彼は足早に去った。


「どういう事、永琳?」


すると、彼女はすぐに閃いたようだ。


「姫様、すぐに…」


輝夜に何かを耳打ちする永琳。


「…え!?それって…!」


全てを聞いた時、輝夜の顔に見えたのは驚き。


「ええ…彼はきっと…!」

次回予告

「欠けた月、新たな異変」



久しぶりにレナ登場!


お楽しみに!

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