Phantasm-1…生と死の境界の狭間で【前編】
最近更新が不安定で申し訳ございません…
2011,7/1,一部修正しました。
「貴方が彩埼玲奈ね…?」
「だったら何だ?俺を追っ掛け回すストーカーさんよ。俺はストーカーには興味ないんでね。」
…お気づきかと思うが、奴が来ました。
傘を差した紫を基調とした妖艶な美少女。
八雲紫…幻想郷最強と言われる伝説の妖怪。
俺は相手の事をストーカー呼ばわりしているが…正直、相手から放たれる威圧感が半端なくて身体が震えそうです。
見た目はナイスバディな美少女なのだが…威圧感に関しては大人だろあれ。
「…殺し合いの大喧嘩吹っ掛ける前に聞くが…あんたはどうして俺なんかを追い掛けたんだ?ぶっちゃけ霊夢の方が俺より強いのに…」
「貴方の力はこの世界では有り得ない事。いや…あってはいけないのよ。」
…つまり、この世界の王である奴にとって俺はイレギュラーな存在…故に消すってか。
「…幻想郷の女王が直々に俺を消しに来たってわけか…だが。」
俺は安い挑発をかける事にした。
「俺は死ねない身体…だから俺を消そうとしたって無駄だぜ?」
「そうね…確かに貴方は死ねないみたいね…けれど…それは『幻想郷に存在』するからでしょう?」
「!」
どういうことだ?
幻想郷に存在…何を言ってるんだ、あんたは?
「まぁ直に解るわ…幽々子を倒したその力…」
相手の姿が消える!
「私にも見せて貰うわ!」
後ろからか!
振るわれた傘を右腕で防ぎ、左腕でカウンター!
「…貴方の弱点は解っている…『打撃に弱い』でしょ?」
「事前調査はばっちりってか!!」
カウンターのパンチはかわされたが、傘を掴み相手の自由を奪う!
「だが弱点は克服できるんだよっ!!」
傘を引っ張り、相手を引き寄せ…!
「霊掌っ!!」
腹に一撃!
「ぐっ…!」
効いてるみたいだな!
「幻想郷最強ってのは名ばかりか!?」
「…確かに、貴方はかなり強いみたいね…でも。」
傘を…手放した!?
「貴方はもう私の境界の中…結界『夢と現の呪』」
結界…!?
何処に、どうかけてるんだ!?
「…貴方は白玉楼で私と戦うのを恐れた…戦いの途中で他の誰かを傷付けたくなかったから。」
…そうだ、白玉楼でやり合うのは周りが危ない…そう感じた俺は、奴が白玉楼に来た時に『場所を変えよう』と提案して、奴は飲んだ…!
「そしたら、場所を移した先に罠が仕掛けてあるという考えは浮かばなかったのかしら?」
「!?」
まさか…奴は最初からこうなると踏んでいたのか!?
「気付いたみたいね…貴方が此処に来る前から既に結界は張られていた…そして、この結界の内部では、相手の感覚を惑わす事が出来る…つまり。」
相手が…空中に…浮いている!?
「…貴方の五感…すなわち視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚は私のもの…」
背中が…蹴られた!?
「人間は五感に依存しすぎている…五感が潰されれば非力なだけよ。幾ら貴方が不死でも、五感がなければいずれ精神が死ぬ。永遠に殴られ続けてるようなものだしね。」
…この間にも、俺の身体の節々に痛みが走る。
傘が地面に落ちるが、それよりも重要なのは、『五感は当てにならない』。
ならば…賭けてみよう!
「砲符『リヴァイバル』!!」
適当な方向にぶっ放せ!
「なっ…!?」
何かが…割れる音がした。
「…やるわね。まさか五感が潰された状態から結界を破壊するなんて。」
「…知ってるか?第六感って話を…勘だ。」
勘が外れてりゃやばかったが。
「勘で結界を破壊するなんて人間離れな技ね。」
「だがこれでイーブンだ…次はどうすんだ?」
「魍魎『二重黒死蝶』」
相手は弾幕を展開!
「今度は正攻法ってか!やってやるよ!」
弾をかわしながら奴に迫る!
「あんたのその余裕そうな顔、今すぐ恐怖に変えてやる!」
狙うは…鳩尾!
「素直に喰らうとでも?」
傘を広げ、奴の姿が見づらくなる。
つーか、いつの間に傘持ったんだ奴は!?
「一瞬の油断が死に繋がるわよ」
今度は左から!?
なんとか左腕で攻撃を防ぐが…
「足一本頂くわ」
ザクッ!
「っ!!」
マジかよ…!足に傘突き刺すとかおかしすぎだろ!
「これで動けないわね」
好機と見た奴は俺に切迫する!
「ちぃっ…!」
左足は傘のせいで使い物にならない。
そして、少しでも動けばその足から悲鳴が激痛と共に聞こえる。
「なぶり殺しにしたいか、八雲紫!」
「勝てるなら」
どうやら奴は自らの目的を果たす為なら手段を選ばないようだ。
なら…こっちも手段は選ばない…!
「こんな足枷…!」
無理矢理傘を引き抜く!
「俺を止めるには物足りないぜ!」
突撃、隣の玲奈さんってな!
「どこまでも規格外の人間ね…!」
「そりゃどうもっ!!」
癒えた左足で一発蹴ってやる!
「貴方の能力はとても厄介だわ。…本気を出さないといけないようね。」
「かかってこいよ。」
…だがこの時、俺は自分の力を過信し過ぎていた。
相手の能力の真の恐ろしさに気付くまで、俺は『負けるはずがない』という妄信をしていたのだ。
「落ちなさい」
そう、遠い昔のようだが、実は約5ヶ月前に感じたあの感覚。
落ちるはずがない地面に穴が空き、落ちていくあの感覚。
「…あんただったのか…!!俺を…!!」
俺は全てを悟ったと同時に、この世界から『消えた』。
次回予告
「Phantasm-2…生と死の境界の狭間で【中編】」
ゆかりん戦その2!
隙間に喰われたレナはどうする!?
お楽しみに!