博麗という少女
今回、やっとこさ回想から脱出です!
2011,6/16,一部修正しました。
彼女は博麗霊夢というそうだ。
博麗神社という神社の巫女をやっているとも言っていた。
言われてみれば、この由緒正しそうなこの木造の建物の構造は神社のそれと同じものだった。
しかし、それでも謎だったのは、此処は果たして本当に地球のどこかなのか、そして…
「どうして腋を出しているんだ?」
うん、これすっごく謎だよね。
すると霊夢は少しムカッとしたような顔で
「出したくて出してるわけじゃないわ。」と返して来た。
「でもこれはこれで良いわ。夏とかとても暑くて。これでちょうどなのよ。」
確かに、巫女さん衣装は夏じゃ暑いよな…よくあんな衣装で外に居られるな…。
巫女さんもクールビズって事にしておこう。
「あなたは何処から来たの?」
「どこからって…」
困った。
まぁ当然こんな流れになるのは予想できていたが、回答に困る。
落ちてきたなんて阿呆な事なんて言えない。
でも、落ちてきたとしか言えないのだ。
あれを落ちたと言わないなら、何を落ちたと言えばいいのか解らないレベルだ。
すると、霊夢は…
「もしかしてあなた、空から落ちてきたの?」
「!そうだ!」
ラッキーだ、霊夢から言ってくれた!
何、人の心読めるのか!?
「だとしたら…あなた、この世界の事、何にも知らないのね。」
「まぁ…そうなるなぁ…」
俺は霊夢からありがたーい話を聞いた。
それによると、どうやら俺は『幻想郷』という世界に入り込んでしまったらしい。
で、今の所元の世界に戻る方法もないらしい。
普通なら元の世界に戻れないという事実を知ったらかなりショックを受けるのだろう。
が、俺はすんなりとその事実を受け入れた。
…まぁあんなに落ちればすぐには戻れないよな…
というわけで、特に元の世界に今すぐにでもしなきゃいけない未練があるわけでもないので、俺はこの世界…幻想郷に生きる事にした。
死ぬわけじゃないんだから、いずれ戻る手段も見つかるかもしれない…そう前向きに考えた結果だ。
「レナって呼ぶけど、いいかしら?」
「ああ。大丈夫だ。」
もうその呼ばれ方には慣れている。
「私の事は霊夢で良いから。よろしくね、レナ。」
霊夢が俺に右手を差し延べる。
「ああ。よろしくな、霊夢。」
右手だけとは言え、動かすには痛みが伴うが、何とか握手をすることが出来た。
どちらにしろ、俺は当分寝たきりだ。
霊夢には迷惑をかけるが、俺はただ早くこの骨折が治るのを願うだけだ…
翌日。
骨折が治りました。
「あなた…本当に人間なの…?」
その旨を霊夢に伝えた所、霊夢は湯飲みを落としてしまった。
いやー、治ったんだ、マジで。
起きてみたら身体が軽い軽い。
骨折って一日で治るものなのか?折った事ないから詳しくは解らないが、ドラマとかじゃそんなんじゃなかった気が…
「そんなわけないでしょう!あなたの骨折、少なくとも一ヶ月以上は安静にしなきゃいけなかったのよ!?」
霊夢は俺の心の呟きを察したのか、めちゃくちゃな剣幕で怒る。
そうですよねー。
「あなた…絶対おかしいわ…………そうだ!」
霊夢は何か気付いたのか、俺にこう聞いてきた。
「あなた、どうやって幻想郷に来たの!?」
昨日も聞かれた気がするが、俺は素直に答えた。
「えっと…なんか落ちて…凄く長い間…で地面にぶつかって…気付いたら霊夢が…」
覚えてるのはこれだけだ。
「解ったわ…あなたに伝えなきゃいけない事があるわ。あなたには不思議な力がある。」
不思議な力?魔法とかそんな感じの?
「例えば…」
すると、霊夢はふわりと地面から浮いた。
「な、なんだ…それ…!?」
「これが私の力…『空を飛ぶ程度の能力』。私は空を飛べるの。」
「…すげぇ…」
アニメとか漫画でしか見た事ない光景が、俺の目の前で起きている。
これは学会発表出来るレベルだ、父に見せてみたい。
「で、あなたの能力なんだけど…実証する為に、少し痛い思いをしてもらうわ。霊符『夢想封印』!」
霊夢からなんか光の弾が出て…俺に直撃。
「痛い痛い痛い!」
とにかく痛かった。すっごく痛かった。
「…それがあなたの能力よ。」
「は?」
意味が解らない。どういうこと?
「申し訳ないけど今、正直あなたを殺す気で攻撃したわ。…でも、あなたは死ななかった。それに…」
え?殺されるの俺?
霊夢は俺の右手の甲を持った。
火傷した手だな…治るのにどれくらいかかるのやら。
!?
火傷が…治った!?
「あなたは傷を受けても死なない…それどころか異常な速度で傷が癒える…つまり、あなたの能力は…『己の傷を癒す程度の能力』よ。」
「己の傷を…癒す…」
「本当に不思議な力だわ…ダメージ受けても倒れないなんて…」
霊夢は信じられないという表情をしていた。
その後、弾の撃ち方を霊夢に教えて貰ったが…
俺には霊夢のように連射は出来ないようだ。
霊夢いわく、「レナの弾は一発一発の威力が高く、連射には向かない」のだそうだ。
しかし、数日後には2、3発くらいなら連射できるようになった。
霊夢のおかげだ。
「…上達が早いわね…」
霊夢は俺を褒めてくれた。これくらいまで出来るようになれば、護身には十分らしい。
が、異変はすぐそばまで迫っていた。
ある日。
いつものように外で身体を伸ばそうとした、その時。
俺は異変に気付いた。
空が…紅い。
火事の時のような赤さではなくて、まるで酸化した赤黒い血のような…紅。
「なんだ…こりゃ…!?」
俺はさらに気付いた。
月も…紅い。
これから起こる異変を暗示しているのだろうか。
俺は慌てて霊夢の元へ。
「おい霊夢!空が…って!?」
だが、霊夢はとても立ち上がれるような状態ではなかった。
荒い息を立て、何かにうなされているようで、とても苦しそうだ。
「どうしたんだ!?」
俺は霊夢に駆け寄ろうとしたが、霊夢の手に遮られた。
「ただの…風邪よ…近付かないで…うつっちゃうわ…」
命に別条はないのか…俺は安心した。
「空が…おかしいんでしょ…?それは…きっと…誰かが…したことだと思うわ…」
喘ぎ喘ぎ霊夢は話す。
「どうすればいいんだ!?あれはまずいぞ!」
「…誰かがしたのなら…その誰かを…倒すなり説得するなりして…止めれば…いいわ…本当なら、私がやるんだけど…レナ。」
霊夢は棚の一つを指差して続けた。
「あそこに何も書かれてない札があるわ…2、3枚程持っていって…きっと助けになるわ。
ごめんなさい…私の代わりに…行って。」
「勿論だ!霊夢は休んでろ!俺がぱぱーっと解決してやる!」
「心強いわね…風邪が治ったら行くから、それまでなんとか…」
「無理、するなよ!!」
俺は言われたとおりに札を取って、神社の外に出た。
どうすればいいのか、何をすればいいのか解らないが、俺は霊夢の為に行かなきゃならない。
雲が流れていく。
だが、何かがおかしい。
何かを中心にして四方八方に放たれる雲。
あれは…建物か?城っぽいが…
…あそこに行けば、何かが解るのか?
俺はその何かを目標に走る事にした。
‐???視点‐
「ふふふ…私が興味を持って連れてきた『彼』の実力…見てみようかしら。」
私はこの異変の行く末を確かめるべく、こっそりと彼を着ける事にした。
『隙間』を斬り開き、中に身体を入れる。
さぁ…どうなるかしらね。
―???視点―
これが私の目的。
この幻想郷を常時夜にしてしまえば…私は幻想郷の頂点に立てる!
この世界の頂点は…吸血鬼たる私しかいない!
「咲夜…迎撃の用意をしなさい。間違いなく博麗と魔法使いが来るわ。」
「かしこまりました、お嬢様。」
…さて、かかってきなさい。
私は…逃げも隠れもしないわ!
次回予告
「#1…氷上の妖精」
レナ、始めての戦闘!
相手は勿論…!
お楽しみにっ!




