魔界湯煙殺人事件(大嘘)
‐レナ視点‐
「と、いうわけでおめでとさん!よく此処まで来れたねぇ〜、そんな骨のある人間は久しぶりだよ!」
「は、はあ…」
俺は神綺の歓迎を何故か受けていた。
…俺って神綺にとっては敵…なんだよな?
自分の世界に乗り込まれて暴れられてってやられてるのに、彼女にとってはそれはどうでもいいことなのだろうか?
「それにしても結構派手にやるかと思ったらそうでもなかったよ〜、なんかあったの?」
俺は何がなんだか解らなかったが、代わりにアリスが答えてくれた。
「障気感染だったの。魔界に来たこともなかったから当然と言えば当然なんだけど…」
「障気感染ねぇ〜、そういや前回の時の人間は障気にやられてなかったわね。個人差って奴?」
「見てないからそれは解らないわ…って前にも来てたの!?」
アリスが驚きながらも突っ込む。
「うん。男だったよ?でもあいつは悪魔を味方にしちゃったみたいでさ…面白そうで生き返らせた♪」
「『面白そう』って…それのせいで今幻想郷が危ないのよ!?」
「事態は解ってるわ。その悪魔が暴れてそこの彼が死んだんでしょ?んで、悪魔に殺されたもんだから咎人になっちゃう、だから唯一の蘇生手段、私の力を使うわけでしょ?違う?」
「あ、ああ…」
小町に言われた通りの事をさらりと言ってのける神綺。
「可哀想だから生き返らせてあげるわ、私は今すぐにでもそう言いたいんだけど…」
神綺の顔が曇る。
「正直言っていい?」
「ああ。」
「それ、無理。」
「…は?」
言葉が理解出来ない。つまりどういうこと?
「今この状態で君を生き返らせた所で、君はいずれその悪魔とやり合う可能性があるんでしょ?ならみすみす殺されに行くようなものよ。私の力は一人一回こっきりでしか人を生き返らせられない。だからもう一度死んだら全てが終わりよ。台無しって言ってもいいわ。」
「ならどうしろってんだ!この間にもその悪魔が暴れてんだろ!?」
「レナ、悪魔は暴れてないわ、今は風見幽香と西行寺幽々子が封印してるけど…時間の問題かも。」
「話を最後まで聞きなよ青少年。つまり君が弱すぎるだけなんだ。逆に言えば、君が強くなれば生き返らせる価値も出てくるってわけ。というわけで頑張って…と言いたいんだけど、時間がないなら付け焼き刃式でやるしかない。習うより慣れろ…先人はそう言ってるよ。」
「…どうすればいいんだ?俺はどうすれば…どうすれば強くなれる?」
「幸いにも君には力がある、だけど君は力を無駄に使っている…効率よく力を使うってことを覚えれば、少しは強くなれるかもね。バトルもの史上最悪パート、修行タイムだよ。」
「修行…?」
「習うより慣れろ、今から私は此処に魔界の強者を連れてくる。君はそいつらを倒してちょーだい。簡単でしょ?ただ出てくる人を倒して倒して倒しまくればいいんだから。」
「それだけで強くなれるのか?」
「バカを言うな青少年。君は命の危機を感じた方がいいよ?死んで消えてなくならないように、全力で倒しなさいな。」
「ああ…やってやる!」
「うん、気合いだけは上々!これから準備するのに少し時間がかかるから、今のうちに十分休息をとっておいたほうがいいよ。」
「わかった。」
「アリス、ちょっと付いてきて。」
「?ええ…」
神綺とアリスが部屋を出て、俺は一人になった。
「ぶっちゃけた話、彼は魔力の使い方がてんでなってないの。ほんっとに最低限の事しかしてなくて、魔力の無駄遣い甚だしいわ。」
「…ということは、魔法使いを連れて来るの?」
「そんな感じ。アリス、貴女も準備しててね。『あれ』も忘れずに。」
「『あれ』ってそんなにホイホイ使っていいものなの?切り札なんじゃ…」
「彼もそのうち幻想郷にとっての『切り札』になるさ。だからいいよ。」
次回予告。
レナ、修行開始!
霊夢たちは…!?
というわけで次回
「雑魚を最強にする方法」
お楽しみに!