修行は腹ごしらえの後で
待たせたな!(某傭兵風に
-先代博麗視点-
「起きろ雑魚ども!」
無理矢理と言っていいほど乱暴に延びている3人を叩き起こす。
「う…」
「予想以上にあんたらが雑魚過ぎるから、『基礎の基礎のそのまた基礎』から叩き込んでやるわ。私のような化け物に教えを受けられるんだ、感謝しなさいよ!」
「師匠、流石にそのボロボロの状態では教えようとしてもその前に彼女達が死にますよ。まずは治療が必要かと。」
お、良いこと言うじゃん。でもねぇ…
「そんなにチンタラしてられないのよ…ちょっと耳を貸しなさい、こーりん。」
此処は聞かれる訳にはいかないので、耳打ちで済ませる。
「あのね、この間にも不死の…誰だっけ…」
「レナの事で?」
「そうそう!レナ!彼がさ、神綺の協力の下で甦るっぽいんだよね。良く言うでしょ?『死んだ奴が甦ると何かとおっそろしく強くなる』ってさ。」
「ええ…でもそれは漫画の中の話でしょう?現実にそんなこと起きるはずが…」
常識に囚われすぎよ。まったく…
私はもう一度彼に『彼女』の異常さを示してやることにした。
「起こしちゃうのがあの娘なのよ…忘れた?彼女は『神』よ?超越的な能力一つで人を一人生かすも殺すも彼女の気まぐれ。あの娘を『狂気じみた』と呼ばず誰を持ち上げるつもり?まさか私?」
「知りませんよ。会ったことすらないんですから。とにかく、まずはこの3人を治療しましょう。話はそれからですよ。」
「しょうがないわねぇ…んじゃ、応急処置だけでもしときますかね。」
軽く手を雑魚1の紫にかざし、想いを『込めた』。
はい、治った。
これを見たこーりんは、誰もが思うことを代表して言った。
「寧ろ師匠の方が超越的すぎる気がするのは僕だけ?」
「あんただけ。」
「だって思うだけでそれが現実になるって、魔法とか妖術とかそんなものがまるでただのハッタリにしか見えなくなりますよ。」
「私の力に比例してやれることが増えてるだけよ。この力は万能じゃない。現に今でも『どんな願いも叶うようにして』とか『今すぐ世界破滅』とか思ってみても不発だし。」
「それで世界破滅したらたまったもんじゃないですよ…」
「ま、それでよかったけどね。これで本当になったら困るわ。戦えなくなるもん。退屈で仕方なくなるわ。」
ついでに雑魚2の現代巫女、最も雑魚から遠い黒白魔法少女にも同じように想いを込めてやる。
「はい、やったわよ。次はあんたの番よ、こーりん。」
「本当にやるんですか?」
これからやることに乗り気じゃないのは解るけど…やらなきゃいけないのよ。
「ええ。勿論…」
満面の笑みで言い放ってやった。
「本気でね(はぁと」
「やっぱり…でも最悪、3人とも死にますよ?」
「あら?良心の呵責って奴?それは溝にでも捨てておきなさい。その呵責が、結果的にあの娘たちを殺す結果になるわ。でも、解るのよね…しょうがない、私が手伝ってあげましょう。」
「まさか…!?」
彼の顔が震える、青ざめる、うん、その顔が見たかった☆
「あんたと同じ方法であいつらを鍛えるわ。」
「マ ジ で す か」
当然よ。と言うわけで、あの3人にもきちんと事実を教えておきましょう。
「おい、そこの雑魚ども…『死ぬなよ』?」
『は?』と呆気にとられている3人を余所に、私はこーりんにある想いを『込めた』。
こーりんはがくりと一瞬だけ身体を崩す。そして…
「あー、殺りてぇ…マジぶっころなんだけどぉー。」
はい、地獄の特訓、始めるわよ。
‐映姫視点‐
門を出ると、木に寄り掛かっている良く見る顔が。
どうやら待たせてしまっていたようだ。
「待たせたわね、小町。」
「そんなに待ってませんよ?ざっと1分って所です。時間通りですよ。」
「ならいいのですが…」
「で、本題ですが…っと、その前に何処か座れる所に行きましょう。私の家とか。」
「…中が汚いとかそういう話なら却下します。」
「そんな事言わないで下さいよ…よいしょっと!」
一瞬で建物の前に着く。
彼女の能力を使っただけのようだが、早い。
「そう言えば、随分と地獄に近かったんですね。」
「そうなんですよ。ささ、入ってってください。」
「お邪魔します…って…」
正直、意外すぎた。
きっと一人暮らしだから、ごちゃごちゃしてるのかと思ったら実はそうでもなく、むしろきれいにまとめられているのだ。
「キャラに合わない…」
「えっ」
軽くショックを受けた小町を余所に、話を進めることにした。
「話は随分と長くなるわ、お茶とか用意するなら今の内よ。」
「了解です。」
数分の後、煎餅とお茶が運ばれてきた。
一人でいつも入っているのであろう炬燵で暖を取りながら、話を始める。
「…さて、何処から話をしましょうか…彼の異常性について、からでも良いですか?そこを話さない限りには私がこんな賭けに出た理由を伝えても良く理解できないと思うから。」
「ええ。お願いします。」
「まず彼…すなわち彩埼玲奈は幻想郷の外の世界の人間…そこをはっきりとさせた上で話を進めます。
普通、この幻想郷に入るには『博麗大結界』を飛び越えなければなりません。正攻法の手段では博麗霊夢、又は八雲紫、そして、先代博麗の巫女である博麗想夢。この3人の内一人の許可を得なくてはなりません。霊夢に許可を得るならまだしも、紫、そして想夢は元は『残虐』、この一言に尽きる性格でした。」
軽くお茶を啜り、続ける。
「つまり言ってしまえば、紫に目を付けられた時点で彩埼玲奈は『死ぬはずだった』のです。」
「それが何故生きてるんです?」
「そう。それが彼の持つ異常性の一つ。『運』の一言では片づけられない事実。彼は紫のスキマに入れられた時点で既に『不死の人間』になっていたのです。」
「え?つまり、外の世界に直前まで居ておきながら、あの八雲紫のスキマに入れられた瞬間に不死になっていた、そういう事ですか?」
「その通りです。つまり、此処でさらにもう一つ見えてくる真実があります。こんな奇跡としか言えないことが彼に起きた、でもこれが奇跡じゃないとしたら?たった一つだけ、こんな奇跡を起こせる方法があるのです。彼は『かつて幻想郷に来たことがある』。そう考えれば辻褄が合うのです。」
「は!?幾ら映姫様の発言でも、それは信用できませんよ!」
ガタンと炬燵の上のお茶が揺れる。小町が立ち上がっていたのだ。
「大体、幻想郷から外に出たなんてこと、一回も聞いたことがないですよ!そんな馬鹿馬鹿しい話、有り得るわけがないでしょう!」
「ところが有り得たのよ。かつて、彼は本当に『幻想郷にいた』。その証拠が出たのです。…これを。」
私は小町にある書類を渡した。
「…これって…!」
「およそ12年くらい前ですが、一時的に博麗大結界に異常が起きたことがあるのです。何故か外の世界から来た子どもだけ、幻想郷に入れた。そんな異常が起きたのです。原因は未だに不明…幸い、入れたのは子どもだけであったことと、先代博麗と紫の尽力ですぐに異常は解決したわ。そして、もう一つ提供された資料で私が彼を深く知ることになるのです。」
小町がページを乱暴にめくり、見つけた一言。
「システム…『IED』…!!」
「月の技術は一年でかなり進む…そして、この博麗大結界の異常とほぼ同時期に、システム『IED』のテストが開始されたと、つい最近八意永琳から聞きました。」
「…まさか…」
「そのまさかよ。彩埼玲奈は約12年前に幻想郷に入ったことがあり、そしてシステム『IED』の実験体となった…偶然という偶然が重なり、彩埼玲奈はその時点で能力に目覚めていた…それが私が出した結論よ。」
「でも!システム『IED』の件は永夜異変の時期に明らかになった事実です!それと幻想郷に入った直後の彼に何の関係が…!」
「それがもう一つの異常性なのです。普通ならあの時点で彼は死んでいるはず…紫はいつもの通りに彼の様子を見に行ったのです。ところが…」
「生きていた、と?」
「その通りです。そこで紫は疑問に思うのです。『何故死んでいない?』と。」
「そこで、八雲紫は映姫様に話を通した、と。」
「ええ。私はあの時、彼から溢れる異常な魔力に気づきました。それは紫も気づいていた。その魔力、使い方によっては幻想郷を脅かしかねない、かと言ってこんなことになっても死んでいない彼に対し、どうやって殺すかも解らない。私と紫は古い書物を片っ端から読み漁り、過去に似たような能力を持った者が居なかったかを調べました。すると解ったのです。この力の正体が。」
「誰なんです?」
「命蓮…彼は既に数百年前に死んでいます。ですが、彼の力が玲奈にそっくりだったのです。命蓮は『他人の傷を癒す程度の能力』らしきものを持っていたとありました。彼が手をかざすと、かざされた者のどんな病も傷も一瞬にして治してしまう。こんな能力によく似た状況が起きたのです。ちょうど紫が地面に埋まっていた彼を引きずり出した時の事です。彼の外傷が、一瞬で治ったのです。」
「まさに命蓮の能力に似ていたわけですね…!」
「この力、あまりにも危険すぎる…そう考えた私は、彼にリミッターをかけることにしたのです。」
次回予告。
映姫の口から語られる、『あの日』の真実!
それを知る人物は、もう一人居た…!!
というわけで次回
『失われたあの日の記憶』
お楽しみに!
~お願い~
なんと、また…
コラボ章やります。
というわけでキャラ募集します。
詳しくは活動報告をご覧ください^_^;