目覚めたらラスボスの城に居ました
一週間ぶりですね…
-???視点-
「困った事になったな…」
幾ら独立した意識を持たせていたとは言え、一番情報を掴めていた「あれ」が使い物にならない以上、こちらも策を新たに講じなくてはならなくなった。
来たるべき対話の為の準備、『彼女』を迎え入れる為の準備を。
「ならば…」
新たな情報集積端末を創る。
そう言えば、『彼女』に恩を感じていた者はかなり居たな。
ならばその中に混ぜよう、端末を…。
‐小町視点‐
「…彼、無事に逝きましたよ、魔界に。」
随分と報告が遅れたけど、賭けの掛け金だけは賭けられた事を報告しなくては。
「言葉の意味が少し違う気がしましたが、まぁいいでしょう。しかし、なぜ報告がこんなに遅れたのです?」
相変わらず真面目に仕事をしている閻魔様に、私は正直に話した。
「魔界の生き物とやり合ってたんですよ。こっちに来ると色々面倒ですし。」
「そう言う事でしたか…てっきりまた昼寝でもしていたのかと思ったのですが?」
書類から目を離さずに会話が続く。仕事量は半端ないのは解っているので別に構わない。
「昼寝どころじゃなかったんですよ。」
まぁこの生傷を見れば、昼寝どころではなかったというのも納得してもらえる。
「そのようですね…小町、今日はもういいわ。他の死神に仕事を回させるから、貴女はゆっくり休んで。」
「いいんですか?ぶっちゃけ、最近は悪人ばっかで大変なんでしょう?」
「ええ。でも、私も実は今日の仕事が終われば暫く休みなんです。」
休み?この真面目で有名な四季さまが?
「珍しいですね!休みを取るなんて!」
「色々ありましてね。私以外の閻魔が久しぶりにきりきりと働いてくれるとの事なので。」
にこっと笑う四季さま。うん、絶対なんかあった。
「そしたら私、仕事終わるまで待ちますよ。ちょっと尋ねたいこともあるので。」
「そうですね、貴女には全て教えておきましょう…私のような者がなぜこの賭けに出たのかを…」
‐レナ視点‐
「う…」
あれ?此処どこ?
「そういや俺…なんかちっちゃな女の子と戦ってて…身体が変になって…」
あれは何だったのか、イマイチ…いや、まったく解らない。
「あ、起きた。」
どこかで聞いたことのあるような懐かしい声がして、俺は振り返った。
「…アリス?なんでアリスが此処に?」
うん、この金髪、横にいるちっちゃな人形、間違いなくアリスだが、あれ?そういや此処って…死んだ奴が来るんじゃ…
まさか。
「待てアリス、君もまさか死んだんじゃ」
「違うわ、私は死んでないわよ。一応死んだことになってるのはレナ、貴方だけよ。」
「んじゃぁ、何で…」
すると、アリスは恥ずかしそうに答えた。
「私、此処でお世話になったことがあって…里帰りみたいなものよ。」
「里帰り?んじゃぁ、アリスって此処に詳しいのか?」
「まぁ、そうねぇ…」
ラッキーと思った俺は、厚かましくもお願いをした!
「んじゃあ頼みがある!神綺の所に連れてってくれ!」
「はぁ!?」
予想以上に驚くアリス。
「待って、一回冷静になる………」
俺に背を向けて深呼吸を繰り返している。
「待って、神綺って言った?」
「ああ…どうかしたのか?」
「どうかしたも何も…うぅ…」
もじもじするアリス。というのも…
「実は…私のお世話になった人って言うのが、その神綺なのよ…しかも此処が神綺の家…お城よ。」
「な、なんだってー!!!!?」
‐霖之助視点‐
「これは…」
僕はこの光景を見て、唖然としていた。
目の前には、霊夢、魔理沙、そして紫と、この幻想郷での強者が居た、はずだったのだが…
「弱い、全くもって雑魚ね」
それを瞬殺した師匠が、暇そうに座っていた。
「こーりん、こいつらこんなに雑魚なの?」
違います、師匠が化け物じみて強いだけです。
「そりゃぁ…師匠が『スペルカード』なんてルールを持ち込んだ後の生まれの人ばかりですからねぇ…」
「紫が予想以上に雑魚だったんだけど」
「それは知りません。一応紫さんの為に言っときますけど、これでも『幻想郷最強クラス』ですからね?」
「身体動かしてない証拠よ…だから外の世界じゃ『婆さん』とかって呼ばれるのよ。」
「え、外の世界行ってたんですか?」
「まぁちょっとだけね。どうやらこの世界の事、結構知られてるみたいよ?面白い世の中になったねぇ…」
「そんな言い方する師匠の方がBB「想符『破霊撃』」がががががぎゃおー!!!!」
痛い、死ぬほど痛い。
「フッ、ざまぁみろ」
「酷い!半殺しにしといて!」
「私はお姉さんなの。こう見えても未だに20代よ?」
「どう考えてもおかしいです」
「私は魔界に居たわけ。魔界は魔力に溢れた世界…魔法の扱いさえ覚えれば幾らでも若返りできるしね。」
「そんなびっくりワールドに居たんすか」
「ええ。おかげさまで力は付きました、で此処に来てみたらこの有様よ…」
「超人的な貴女を基準にして物を考えないでください師匠」
「でも、鍛えがいがあるってもんよ。悪魔とかって言う化け物が来る以上、自分の身くらい守れるくらいにしておかないとキツイわ。こーりん、暫く貴方に働いて貰うわよ。」
「え?」
「あんたに勝てるくらいにしておかないと無理、そういうこと。店番やってるだけの引き籠りに近いあんたでも此処まで出来たんだ、あの3人ならもっと強くなれる。」
「は、はぁ…」
「あんたに渡したでしょ?『あれ』。あれを使ってくれて構わないわ。」
師匠、本気ですか…?『あれ』、危険ですよ…?
次回予告。
こーりんの『あれ』ってどれ!?これ!?
映姫の話す事とはなんだ!?
レナ、大ピンチか!?
というわけで次回
「修行は腹ごしらえの後で」
お楽しみに!