真実とイレギュラー
‐霊夢視点‐
「さて…どこから話をすればいいのかな?彼が死んだ理由?それともそもそも何故にこの異変が起きたのか、そこから話をすればいいのかい?」
「他人事みたいに言って!人が一人死んでるのよ!?」
本当なら引っ叩いてやりたい気分だが、話を聞かないうちには駄目だ。
「人は何時か必ず死ぬ。彼も人間だった…それだけの事だろう?それとも何だい、彼は人の皮を被った化け物だったとでも?その方が彼には失礼だろう。彼はよくやってくれた、ならば次は君達の番…そうではないのかい?」
「…っ!」
そんなこと、言われなくても解っている、解っているけど…!!
「彼が来る前のようにすればいい、ただそれだけだ。何時、何処でまた事件が起こるか解らない、ならば君達に問われるのは過去じゃない…これからだ。」
「納得出来るか!あいつは…レナは今まで頑張ってくれた!せめて最期はどうだったかって事くらいは私達も知るべきだぜ!」
「魔理沙…」
「そうね、それを知らずしてこれからだ何だって言うのは無理な話よ。」
「紫…」
初めてじゃないかしら、私たちの意見が完璧に一致したの。
確かにそれもそうか…と霖之助も呟き、こう答えた。
「かく言う僕も、現場を見たわけではないけど、一人だけ一部始終を見ていた人物が居たんだ。」
サッと、誰かがやってくる音がした。
「紹介しよう、彼女は…」
と霖之助が言おうとした瞬間、何かが来るような感じがした。
直感でしかないけど、当たってたらまずい!
「「伏せて!!!!」」
無理矢理魔理沙の頭を押し、姿勢を落とした瞬間、真上を光の筋が通って行った。
「ほぉ~、危機察知能力は上々、一応『博麗』の名を継いでるだけはあるわね。」
見た目は…って私の服そっくりじゃない!腋出してない事以外全くもってデザインも同じよ!?
長い茶髪が日の光に煌めく、見た目だけは美女…いや、紫みたいに大人びた美少女…ね。
「何やってんのアンタ、もう少し遅かったら「霊夢!!」」
柄にもなく紫が叫んだので、私は驚いて黙ってしまった。
「何も言わないで、霊夢…お願いだから。」
良く見れば、紫の顔の色が少し青くなっている。
「森近霖之助…これは何の冗談かしら?それとも…本物って事で良いのかしら?」
立ち上がりながら問う紫に対し、霖之助はいつものことのようにその人物に話しかける。
「皆貴女の顔を見るとあぁなるんですけど、よっぽどの事がない限りこんな状況にはなりませんよ?『師匠』。」
「しっかたないしっかたない。私は暴君だったからねぇ…ねぇ、ゆかりちゃん?」
「二度と見ることはないと思っていたけど、一応聞くわ、『何の用』?」
「そう冷めた事言わないでよ。お姉さん泣いちゃうわ。」
「お姉さんと言うより寧ろおばさんでは「念符『想夢特製封魔陣』」」
事件が起きた、霖之助が…死にかけた。
「紫…あれ、何なの…?」
冷や汗が止まらない、スペルカードだってまでは解ったが、威力が段違いだ。
「私が知る人間の中で最も残酷にしておかしいくらいに強い人間…霊夢、頼むから余計な手出しはしないで。幾ら博麗大結界を管理する巫女が貴女とは言え、彼女はそんなことお構いなしに殺しにかかってくるから…」
「ほら起きなさい引き籠り。その程度で死ぬわけないから。」
その彼女が小突くと、黒焦げの霖之助が起き上がった。
「はいよくできました。流石弟子A!」
「名前が変わった!?」
「っと、自己紹介がまだだったわね。私は博麗想夢。そこの出来損ない巫女の役職をつい最近までやってた巫女よ。」
「…つまり、アンタが先代の博麗…!?」
「その通り。今回此処に来たのは他でもない…」
想夢…先代博麗は軽く舞いながら答えた。
「無能の現代博麗を潰しに来たわ。」
「っ!!」
私は命の危機を感じ、真っ先に行動に出たはずだった。
先手としてお札に混ぜた弾を放つ、不意打ちであった。
でも…
「うん、10点」
至近距離であったはずの弾をあっさり躱される。
「結界『生と死の境界』!!」
間髪入れずの紫のスペル、これは躱せない!
「45点」
しかし、これですら掠りに終わる。
「魔砲…!!」
「んにゃ!?」
これは…!!
「『ファイナルマスタースパーク』!!!!」
「うん、60点あげよう。私にスペルを使わせたんだ…文句言うなよ?想符…」
え、あんな状況でも笑ってられるものなの!?
「『九重弾幕結界』」
魔理沙の一撃が、弾かれた。
「今からまともに強化したとして、戦力になりそうなのはこの白黒の魔法少女かしら。後はダメダメね。こーりん、彼女たちが起きたら呼んで。」
「ええ…師匠は?」
「此処の空気にまだ慣れないのよ…瞑想してくるから、彼女たちを見ててね。」
「解りました…」
次回予告!
レナの出番なし!?
早く主人公出せよ作者!
というわけで次回
「目覚めたらラスボスの城に居ました」
お楽しみに!