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100万回死んでも生き返りますが、何か?  作者: らぐな。
第四章「胡散臭い宗教ほど、面倒なものはない」
109/123

終局…始まりの終わり

これが最終話だ!!

―???視点―

此処とは違う世界で妙な反応が観測されたため、私…岡崎夢美(ゆめみ)は助手の北白河ちゆりと共にその反応の正体を探り…結論が見えた。


「これは彼女が黙っちゃいないでしょうね…!!」

「そうですね、教授。」

そう、全てのデータが正しいと仮定するなら、この反応は…


「で?その教授様はこれがまた魔力とか言う変な力に依るものだと言い出すのかな?」

「…科学信者が何の用?」

邪魔するならお引き取り願いたいわ。

朝倉理香子…魔法使いのはずなのに科学信者という変人。

「…って地の文に見せかけて呟いてんじゃないわよ!悪かったわね信者で!」

「あら、自覚あるんだ。見直した。」

「…そ、そう?」

これ以上無駄話はしたくない。彼女の魔力、科学に対する知識は半端ではないのは事実なので、魔法のスペシャリストである理香子に意見を聞いてみることにする。

多分彼女もこの妙な空気を感じたからここに来たんでしょうし。


「…ここから真面目な話ね。これ…」

私はデータが記録されていく機械(コンピューター)のモニターを(つつ)いて彼女に聞いてみた。

「どう思う?」

「どうもこうもって…これ、どう考えても科学じゃ説明できない。もっと異質な『何か』よ。現地の映像、出せる?」

「ええ。」

私は軽くキーボードを叩き、画面を変える。


「…言っていい?これ、悪魔よ?」

「やっぱり?私も同じ結論に至ったの。でもおかしいわね。なんで悪魔なんかがあの世界に居るのかしら?」

「悪魔とは別だけど、霊体ならあの世界に行ける。それは『彼女』が証明して見せたじゃない。それに、悪魔にはもう一つ、あそこに行ける手段がある。『契約』よ。」

「契約?魔法にはそんなのがあるの?軽く調べただけだから解らない。」

「ええ。物理に詳しい貴女ならこう言えば解るでしょう…錬金術、人造人間(ホムンクルス)。」

「あぁー…、それね。良くわかった、ありがとう。」

錬金術…「何かを得るためにはそれ相応の対価が必要」という「等価交換の定理」が深く根付いてる魔法に近い科学、物理学。

悪魔とかいう人外の力を得るためには、『契約』が必要…そういうわけね。

「でもこれ…やばくない?力が増えてくのが解る…暴走してるわよ、これ。」

その理香子の発言はデータからもはっきり解る事実だった。

だが私たちは出る幕がないだろう、だって…

「まぁ、いざとなれば向こうにいる皆が止めてくれるし。問題ないでしょう。」

あっちにも、抑止力はある。

「それもそうね。」






―???視点―

これこれ、この力、(みなぎ)る力、(たぎ)る力!

「これを私は待っていたのよ!悪魔はあの世界でしか力を発揮できない、その為に私はこの人間に憑依()ったのよ!

でなければ何故こんな下等生物なんかに!恐れ慄け人間!!これが私のぉ!!!」

完全に私のものになった肉体を動かし、名も知らない神に緊迫。

「力よ!!!」

ふぅん、この魔力で異常に強化した拳を御柱でやり過ごすとは、流石神ということだけはあるわね。


…でも、甘いわ。甘ちゃんすぎる。


「悪魔、舐めんじゃないわよ」


この肉体に張り付いた『影』の形を変え、刃にして相手の脇腹に突き刺す。


「がはっ!!」

いぃ、いいわその顔。

苦悶に満ちたその顔を、私は見たかったの。

もっと見せて、その顔?


「まずはその(つら)剥いでみようかぁ!!」

高速の魔法詠唱からの劫火の雨を、相手に降らせる!

「つぅっ!」

自分の身体じゃないからまだ本気とまではいかないが、これでも十分通用するのは解った。

「はいはい次ぃ!」

連続詠唱、大地から氷の針の山を生み出し、相手の身動きを制限する。

「やらせるか!」

地面を蹴り、相手は飛び上がる。

…かなり予想通り過ぎるんだけど、どうする?

「殺す!!」

飛び上がった先の空中に瞬間移動、右手に魔力を込め…

「ぅらぁ!!」

一撃。

面白いように相手は地面を跳ねていく。ボールかっての。



「はい、詰み(チェックメイト)。」

首筋に剣を突き立て、完全に勝利を導く。

「妙な真似したら殺すわよ。まぁどっちにしろ殺すけど。」

「…最後に聞かせて。貴女、ここまで力があるのに、人間に憑依するってどういうこと?」

あ、そんなこと聞きたいの?

いいわ、教えてあげましょう。

「私の身体はある『化け物』に封印されちゃってるのよ。だから私は霊体同然だったんだけど、依り代が見つかった、ただそれだけのことよ。」

「予想はできるわ。だいたいそんなこと出来る奴は一人しか居ない…私の記憶の中じゃ、ね。」


へぇ、あんたも知ってるんだ。「あいつ」を。


「面白い、名前だけ聞いてあげよう。」

「八坂神奈子…一応神よ。」

そういう貴女は?なんて聞かれたから、名前だけ教えてあげる。

「私?悪魔の一部、メイライアよ。」

「聞いたことないわね…てっきりその殺人的な力から、『あの姉妹』のどっちかと思ったんだけど。」

「残念。あの姉妹はこんな手の込んだことしないわ。もっと直接的に殺しにかかるし。」

「…そう。じゃあさっさと殺しなさい。神も悪魔も負ければ『無』よ…」

「意外に諦めいいのね。うん、じゃあ殺すよ。でも神様なんだから、またすぐに会えるでしょうし。」

「そうね。その時は今度は同士として飲みましょう?」

「ええ、そうしましょう。」


殺しにかかろうと剣を振り下ろそうとした、その時。




「待ち…やがれ…!!」






―小悪魔視点―

「!!」

なんだ、この妙な魔力?

というより、これって…!!


「そこの神様!あんたの仲間が危ないよ!!」

「えっ!?本当ですか!?」

「嘘かどうかは見てから言いなさい、行くわよ!!」


私と早苗は一直線にある場所へ向かった。

そう、あの場所に…





―Viewpoint Out―


「待ち…やがれ…!!」

そこに現れたのは、レナ。


「うん?なんか来た?それにしても…」

悪魔メイライアはその人物を一瞥(いちべつ)し、言い放った。

「随分死にかけじゃない。いんや…既に死んでてもおかしくない。…なぁんで死んでないのかなぁ?」

玩具を見つけたかのように声を半音上げるメイライア。

「俺は…死なない…だから…俺は…あんたを止める!!」

「うん、寝言は寝てから言おうか」

一瞬で距離を詰め、レナの目の前に立つ悪魔。

軽くデコピンをすると、レナはまるで殴られたかのように吹っ飛ぶ。

「これに反応できないでなんで私を倒せるのかな?『死なない』から?」

「…」

ふらふらと立ち上がるレナ。

「ムカつく…死なないのは人外の特権なの。私や、そこでボロボロになってる神奈子みたいな人外のね。人間ごときが不死になってんじゃないわよ。」

「待て、彼はただの人間だ!関係ない人間なんだ!」

神奈子が叫ぶが…

「関係ないって言われてもねぇ…ヒーロー気取りの馬鹿には死ぬくらいがちょうどいいわ。そこで見てなさい。少しだけ本気を出してあげるわ。」

悪魔は左腕でレナの首を掴みあげる。






「さようなら」






レナの心臓を、悪魔はレナの体内で『砕いた』。



「…っ!!!!!」

神奈子は戦慄した。

これが「悪魔」…悪魔の前では、人は無力。

それは「神と双極を成す」のが悪魔だからというのは解ってはいた。

だが、悪魔や神はこんな簡単に人を殺していいのだろうか。



そう思った瞬間、神奈子は気を失った。



「あれ?神奈子は気絶?いいわ…私も少し暴れすぎたし、少し休みましょ…」

「させないわ」


悪魔は声の方向を向く。

「…ヒーロー気取りその2、3?たった2人で?どうするつもりよ?」

「そう言ってられるのも今の内…今の私はとっても…





キレてるから。」

刹那、悪魔の目の前に居た2人の内、一人が消える。

同時に悪魔の右腕が切断された。


「っ!!?」

「ぼさっとしない、幽々子!!」

「解ってるわ。『反魂蝶‐八分咲‐』」

悪魔から鮮血が舞う。

レナとの戦いで使ったそれとは明らかに威力が違う。

この攻撃は本気…これが幽々子の全力であった。

「幽香、後は頼むわ。」

「「任せなさい!!」」

いつの間にか2人に分身していた幽香。


「終わらせるわ」

「この一撃で」

「貴方を、こんな死なせ方には」

「させない!!」

「奥義」

2人の幽香がそれぞれ持つ日傘の先が輝く。


「「Twin Spark」」


悪魔は、光に包まれた。









「…使い物にならなくなったな、あの神は。さて…私もそろそろ動くか。」






『まさか、こんなことになるとはな…』

「場合によっては私が手を打ちます。彼の死は痛いが、それで計画を頓挫させるわけにはいきません。」

『済まぬ…頼むぞ…』







彼は、死んだ。






~終局~

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