□4…最速の黒翼
リアル忙しすぎて1ヵ月近く放置してますね…
申し訳ないです。
-椛視点-
…ふぅ、予想以上に時間を食ってしまった。
早く戻って、戦いの準備をしなくてはならない。
「地味に時間を食ってしまったし…皆待ってるだろうなぁ…」
疲れるからこの手段は取りたくなかったんだけど、私はある手段を使う。
私も天狗の端くれ、高速移動くらいなら出来る。
で、さらに速度を上げ…
ほら着いた。
「遅い!5秒の遅刻よ!」
秒単位で遅刻かどうか判断する時点で何かがおかしい気がするが、それも新聞記者ゆえの職業病だろう。
「すみません、彼らを撒くのに手間取っちゃいまして。」
ここで謝っておかないと、後でいろいろ面倒なことになる。
「…まぁいいわ、それよりも準備が出来たの。後は彼女の連絡を待つだけ。」
「既に仕掛けてる、と?」
「ええ。場合によっては今からすぐにでも…」
と文が言おうとしたその時、彼女の携帯が鳴った。
「もしもし?」
即座に取る彼女。
直後、電話の主は私にも聞こえるような大声を上げて叫んだ。
『やられた!私たちの行動は既に読まれてたの!!』
「え、一体どういうこと、イ…」
が、すぐに電話は切れ、これ以上の情報は掴めなかった。
だが、何かが起きた、それもまずいことが起きたんだということは電話の主の声、そして文の顔から容易に予測出来た。
「椛、今すぐ守矢神社に向かいましょう!」
「ええ!」
私たちは最速の翼を拡げ、守矢神社へと向かった。
‐イヴェリア視点‐
「…どうりで人形たちの定期連絡がないと思ったら…!貴方…スパイだったわけね…!」
私はある男を睨んでいた。
そう、味方であったはずの、加藤を。
「騙す事になって申し訳ない。だが、やり方は過激とはいえ、『古き秩序を排除して、新たな秩序を創る』…その考えには私も賛同するのです。だからこんな真似をしたわけですがね。」
「だけど、あのやり方じゃ秩序は変えられても、人間との関係は悪化する!そうすれば戦争にもなりかねないのよ!?」
すると、加藤はフッと笑い、こう返した。
「構いませんよ。そうなれば『秩序』の名の下に、人間を殲滅できるのですから。」
…だが、その考えは破滅しか生まない、そう伝えようと思ったが、それは思いだけで終わった。
加藤が戦闘態勢を取ったからだ。
「…イヴェリアさん、貴女の存在は新たな秩序の障害と成り得る。故に貴女には、ここで消えてもらいましょう。」
「あくまでやる気ね…!!」
残った人形は数体。これで加藤を倒せたとしても、守矢の面子は…
「ぬっ!?」
!?加藤の身体が、何かに締め付けられてる!
まさか…!
「イヴ、逃げて!コイツはあたしが仕留める!」
「萃香…!!」
そうか、今まで霧になっていたから解らなかったのか!
「それは私達の台詞よ」
同時に萃香に向けられた、3本の手。
「…撒いたつもりが、逆に追い込まれたってこと…?」
萃香は誰か解っているようだ。
「そうよ。私達に楯突こうとは、中々勇気があるじゃない。でもそれは勇気なんかじゃない、ただの無謀よ。」
最悪のシナリオだ。
此処に守矢の3トップが来るとは…!!
「おとなしく降参して、私達に付きなさい。そうすれば、この御柱を無駄な血で汚さなくて済むから。」
「神奈子の言うとおり、素直に降参した方が身のためだよ?」
「私達に勝てるとでも思っているのですか?だとすれば、それは儚い夢ですよ?」
いくら私と萃香でも、八坂神奈子、洩矢諏訪子、東風谷早苗の3人を同時に相手しろというのは無理がある。
詰まれた…か?
「そうだねぇ、流石にあんたらを相手にするのはキツイよ。ここは素直にあんたらの言う事聞いておくのが賢いね。」
ほら、萃香ももう諦め…
「…って言うとでも思った?甘いよ!!」
萃香の姿が消えた!
「なっ…!?」
そうか、そういう事ね。
その隙、貰うわ!!
「デスフェアリー!!」
神相手には小手先にしかならないが、今の状況なら牽制には十分!
「くっ…!小賢しい真似を!」
さて、私もお暇します、これでね!
「貰い物『上海人形』!」
仕込んでおいて助かったわ…!
この情乱に乗り、私と萃香は撤退した。
‐早苗視点‐
「逃げられると思わないことね…!早苗、あの人形使いを追って!諏訪子は鬼の方を!」
「解った!」
「はい!」
神奈子様の仰るとおりに、私はあの人形使いを追いかけた。
空から見れば、簡単に見つけられる…そう思った私は上空に飛んだ。
が、そこには…
「やっぱりね。所詮は人間って所ね。」
「貴女は…!」
‐???視点‐
「こんなことをしちゃって本当に大丈夫なの、永琳?」
「ええ姫様、私達は頼まれただけ…罪は全部『彼』が被ってくれますから、大丈夫です。」
永琳は倒れている3人に何かを飲ませている。
「それ、なんなの?」
なんて妹紅が言うもんだから、聞かなくてもいい薬の中身を聞かされる羽目になった。
「睡眠薬、それに記憶操作の薬です。暗示さえかければ私達に襲われたなんてこと、すぐに忘れます。」
「そんな便利な薬あるんだ…」
大体この手の薬は永琳が|やばいことをやってた時代《蓬莱の薬を作った頃》に作ったものだったりするのは内緒だ。
「まさか、あんたに頼まれる日が来るなんてね…輝夜。」
「仕方ないじゃない、私は『彼』に頼まれただけよ!そうじゃなきゃなんで妹紅なんかに…!」
「『なんかに』って何よ!扱い酷すぎでしょ!」
だってそれくらいの扱いだもん。
「2人とも、喧嘩はそこそこにしてこの3人を縛りましょう?ここまでが彼に頼まれたことなんですから。」
「…そうね。さっさと終わらせて今度こそ妹紅を殺すわ。」
「正当防衛で殺されても文句は言えないよ、輝夜?」
この話を聞いて、永琳はひとり「喧嘩するほど仲が良いってなんでこの2人は気づかないのかしら…」と思ったそうな。
次回予告。
ついに風神録編佳境!
というわけで次回
「□5…奇跡は普通でしかない」
お楽しみに!