□3…災厄の身代り
少しずつですがクライマックスに向かってますよー!
-霊夢視点-
「一気に片を付けるわ!」
使ったは良いが、早くケリをつけないとこちらが圧倒的に不利になる。
そうなることは解っているから、宣言通りに仕留める…!
「何のカラクリかは知らないけれど、当たらなければどうって事はないわ!」
なんか何処かで聞いたような台詞が相手から聞こえたが、私は当てに行くのではなく…触れに行く!
「私の身体だけが武器とは思わない事ね!」
軽く相手に向かって掌を向け、空気を押す。
瞬間、空気は圧縮され衝撃波となって零奈に襲い掛かる!
「忘れてた…!貴女は真空の鎧を纏ってるようなものだった…!」
零奈に波が当たり、零奈は吹き飛ぶ。
暴風ぶつけたようなものだし…飛ばない方がおかしい。
「…危なかった…神力がなかったら、今頃死んでたわ。」
零奈は立ち上がる。
…今まで3人を相手にしていたにも関わらず、疲れは来ていないようだ。
というよりも、あの身のこなしのよさ…まさか。
「…あんた、疲れも外に渡しているわけ!?」
「その通り。最近出来るようになったのよ。おかげさまでさらに長期戦に強くなったわ。疲れ知らずって凄いわね。」
「どうりで手応えがそんなにないわけね…!」
これは最悪の事態だ。
傷もなかったことに出来るだけで随分とやりづらいのに、長期戦に持ち込んで相手の隙を作る事も出来ないとは。
…!そうだ!
「解ったんならその鎧、さっさと外しなさい!」
弾を展開しながら零奈がこちらに迫ってくる。
「外してあげるわよ…」
私も随分と周りに感化された、こんな賭けにさらに賭けを仕掛けるなんて。
大穴中の大穴、レナやあの新聞記者風に言えば『当たれば奇跡、外れれば死』って所かしら。
「だけど後悔はしないことね!死んでも文句は言えないわよ!」
腕と足だけに力を、『あらゆるものから浮いた』力を集める。
「そこ!」
右腕を振るい…!
一撃を、入れた!!
拳を入れたのは溝尾からずれた部分だったが、それでも確実に腹に入れる事が出来た。
「吹っ飛べ!!」
渾身の力を込め、体重を右腕に乗せる。
「流石に…これは…耐えられない…!」
再び零奈の足が宙に浮く、だが今度は天に向かって身体が上って行く。
「ナイスよ霊夢!」
そして、この機を狙っていたかのように隙間が開き、零奈の身体が吸い込まれるように隙間の奥に消えた。
「…紫…ちゃんと閉じ込めたんでしょうね…?」
「当たり前よ。これ以上暴れられても困るもの。それよりも、随分息が上がってるわ…無理をしたみたいね。」
心配そうな表情を浮かべる紫。
それもそのはず、夢想天生の力は一点に集めるような…いや、容易に集められるような力ではないからだ。
「あんたが…役立たずだった…だけじゃない…」
「結界が砕かれるのよ?相性が悪すぎた、それだけのことよ。」
と紫と話をしていた所に、空から声がした。
「大変だ、大変なんだぜ!」
「あ、役に立たなかった人その2だ」
勝てたから冗談が言えるんだけど。
「冗談でも止めて欲しいぜ…っと、それより!レナがいないんだ!」
「!!」
どういうこと!?
だけど、それを考える時間はなかった。
レナがいない、その事実を知ったその瞬間。
「操神『オモイカネディバイス』」
「神宝『ブリリアントドラゴンバレッタ』」
「『インペリシャブルシューティング』」
私達は、意識を無くした。
-レナ視点-
「ども♪呼んだ?」
…率直に言おう。
…誰?
それもそのはず、レナは彼女のことをほぼ知らないと言っても過言ではないのだ。
なんせ彼女はまさに瞬殺されていたし…
「紹介しよう。彼女は因幡てゐ。兎だ。」
「兎は兎だけど、そこら辺にいる兎と同列みたいな言い方しないでよ…喋れて人と似たような姿な兎は珍しいんだよ?」
確かに、兎と言う割には人と似た姿だし、耳がピョコピョコ動いている…
ってあれ本物!?
「で、私を呼んだって事は良い儲け話があるってことでいいんだよね?」
「ああ。それがあれだ。」
研究所を指差すらぐなさん。
「投資みたいだね。施設はかなりの上物、未来はかなりありそうだね。今のままで大丈夫なような気がするんだけど?」
「それが、ある取引先がヤバめの所らしいと解ってな…そいつらと縁を切りたいんだが、そいつらが結構な額の資金を提供してたみたいで…」
「よくあるパターンだね。さて、此処からビジネスだ。いくら出せば良いのかな?」
「え?えっと…月々2000万円くらい資金提供受けてて…それがそっくりなくなるから…」
数字の部分だけ気持ち声が小さくなった気がするが、にとりはそう呟いた。
が、その後衝撃的な一言を聞くことになる!
「2000万?え?そんなものでいいの?」
『はぁっ!?』
俺、小悪魔、幽々子、椛が見事に驚愕のハモり。
「私ならその倍出すよ?月4000万、それでどう?」
「ほ、ほんとに!?」
にとりの表情に光が戻る。
「決まりだね!良いことにお金が使えそうで良かったよ!」
「あ、ありがとう!」
ガシッとお互いに手を握るてゐとにとり。
だが、1つ釈然としないことがある…
「らぐなさん、あのてゐって人、どれだけお金持ってんですか?4000万なんてポンと出せる金額じゃないですよ?」
「そうだなぁ…前に数兆円資産があるって言ってたぞ?」
「…ほわっつ?」
どの世界にも、お金持ちは居るんだな…そう思った瞬間だった。
-???視点-
「…良かった。にとりは大丈夫みたいね…にとりに持たせておいて本当に良かったわ。」
私特製の身代り人形…効果があると確認出来て良かった。
「…となれば、この人形を色んな人に渡すべきね…」
私はこっそりとその場から離れた。
次回よーこくー。
ついにあの人が動き出す!
というわけで次回
「□3.5…妖怪の山の日陰には」
お楽しみに!