今考えてみれば、これから俺の物語が始まったんだな
今回はコメディーじゃないですよ?
それでもよろしければどうぞ。
駄文なのは相変わらずです。
2011,6/16,一部修正しました。
俺は今、なんか大変な大役を任されてしまったんだ。
「ごめん…私の代わりに、行って。」
一体なんでこうなったのか、とりあえず簡潔に思い出してみることにする。
俺は彩埼 玲奈。皆からは「レナ」って呼ばれている。
女の子らしい名前だが、男だ。
どうしてこんな名前にしたのか母に聞いてみた所、「女の子っぽい感じだったからー(はぁと)」となんか適当感溢れる回答だった。
ちなみに母は女優だ。しかし、女優にしては仕事が少ない感じがする。夜に放送されているドラマ(今の時期では週2回出てる、もちろん放送局は異なる)にも母は出ているのだが、連続ドラマにも関わらず、いっつも家に居るのだ。…撮影とか忙しくはないのだろうか。
父は歴史を研究している。なんでも、この世界には「パラレルワールド」というものが存在していて、
父は「仮に戦争が起きなかったらどうなっていたか」とか、「仮に海底遺跡があったらどうなっていたか」とか真面目に考えている。…と力説していた。
それだけではなく、歴史から得た史実を科学的に考察していて、父の本は飛ぶように売れている。…今、この瞬間にも。
このままでは永遠に回想シーンから抜け出せなくなるので、話を進める。
俺はとある私立高校に通っている。高校2年、そろそろ進路について考え始める時期だ。
俺はとりあえず大学行って、父と同じ道を志すつもりだ。
そんな風に考えていたある日、異変が俺を襲った。
俺はいつもの通り、学校から家へ帰っていた。
駅の改札を通って、ホームへ。
電車は後2分で来るらしい。俺は鞄から読みかけの本…アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を取りだし、しおりを挿んだページを開いた。
『まもなく、⑨番線に電車が参ります。危ないですから…』
そろそろ来るな。俺はページの文字を読み始めようと、視線を本に向けようとした、その時。
視界の端に、何かが線路に落ちるのを見た。
気のせいだろう…どうせ落ちたとしてもゴミか…そう思ったが、直後の悲鳴で事態を理解する。
「ゆかり!」
どうやら子どもが線路に落ちた…って、あれ⑨番線じゃねぇか!
もうすぐ電車来るぞおい!
俺は本と鞄をかなぐり捨て、線路に飛び降りる。
「危ないぞ、君!」
サラリーマンっぽい服装の青年が俺を呼びとめるが、そんな事はどうだっていい。
俺は線路に倒れてる幼い女の子をホームの真下、緊急用の避難スペースに無理矢理押し込む。
間に合った…女の子は大丈夫だ!
「危ない!」
え?
振り向けば、電車が目の前に。
「一名様、幻想の世界へごあんな~い♪」
と同時に。
俺は「落ちた」。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
模型でしか見たことのない電車の底が、どんどん遠ざかる。
代わりに見えてきたのは紫色の不気味な世界。
眼、眼、眼。
無数にある眼が、俺を嘲笑うかのように直視していた。
その眼の中を落下しながら、ふと冷静になった。
…俺、どこまで落ちるんだ?
ここで物理の話をしよう。
物体が真下、つまり鉛直方向に落下する時、落下距離yを表す式は
y=1/2gt^2
ここでgは重力加速度、tは落下時間だ。
ここは何処かさっぱり分からないが、地球だと仮定すれば重力加速度gの値は9.8だ。
で、さっきから少なくとも10秒以上はこのままの体勢で落下し続けている。
こんな思考が出来るくらいだからな。
というわけで、少なくとも俺は490メートル落下していることになる。空気抵抗は抜きにして、だ。
当然、今も落下し続けているため、もうとうに500メートルは落下しているだろう。
さぁ、俺は何処まで落下する?
このまま行けば俺は間違いなく死ぬ。
最後に、何処まで落下したのか知りたい。
そうして、落下秒数を数えていた。
28…29…30…
32秒を過ぎたあたりか、急に視界が晴れた。どこかに出たらしい。日の光が俺に突き刺さる。
俺はそろそろ死を悟った。
下を向いた事で解ったが、地面が近付いているからだ。
耳にびゅうびゅうと音が響く、それはこれが「現実」だと俺に突き付けていた。
ふぅ…もう見える景色も見えなくなる訳だ。
俺はそっと、眼を閉じた。
近付く死に、俺は大手を広げて歓迎しようとしているのだ。
我ながらかなり勇気のある行為だと思う。って人生最後の思いってこんなにしょぼいのか!?
もっと走馬灯とかそんなもので『死にたくない』と思うのが普通だろ!?なんでこんなに冷静なんだよ、俺!?
が、もうすぐ死ぬ訳で。
深呼吸で頭を落ちつける。
迫るその時を、俺は待った。
ぐしゃり。
意識が、途絶えた。
ところが。
俺は目を開けてしまった。
見慣れない天井…木造だと一目見て解る天井。
此処は…天国…なのか。
にしては風景がリアル過ぎる。
天国と言えば、何処も明るくて、周りに天使がいて、神様もいて、雲の上で…というイメージだが。
天井がある時点で、何かがおかしい。此処ホントに天国?
「あ、気付いた。」
誰かが、俺を見て笑った。
小豆の色をもう少し薄めたような瞳に、頭に乗る大きな朱色のリボン。
黒…というのか焦げ茶というのだろうか…そんな色の長い髪が、俺の頬をなでる。
紅白の明らかに巫女さんだろと言わんばかりの服。なぜか腋が露出している。
「大丈夫?あなた、随分ボロボロだけど。」
随分…ボロボロ…?
動こうとした瞬間、全身に電流のように痛みが走った。
「あなた、骨を沢山折ってるわ。なんでそれで生きてるの?ってくらい。とにかく、動いちゃ駄目。」
これが、俺と彼女の出会いだった。
感想とか要望などありましたらどうぞ!
次回予告「博麗という少女」
お楽しみにー!




