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二の打ち要らずの神滅聖女 〜五千年後に目覚めた聖女は、最強の続きをすることにした〜  作者: 藤孝剛志
2章

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第41話

 ニルマはヴェルナーの頭を蹴り飛ばした。足下にいられるのも鬱陶しかったのだ。

 ヴェルナーの頭を飛ばした大聖女ルニカは、攻撃を終えたままの姿勢で止まっていた。

 まだ、完全ではないのだろう。

 ニルマはルニカが動き出すのを待った。


「な、なにが! なにが起こってるのですの!?」


 首なし人間が起き上がり、ミクルマが自分の首を引きちぎり、ミクルマの頭が首なし人間にくっついて、ヴェルナーの頭が飛んだのだ。

 聖女であろうと混乱するのは当たり前だろう。


「大聖女ってのが復活したらしいよ」

「それは……敵なのでしょうか!?」


 ルニカからは不穏な気配を感じる。だが、それは服がボロボロで薄汚れているからそう見えるだけかもしれない。


「そういやそうだね。ヴェルナーの命令聞かないらしいし、敵じゃないかも」


 大聖女にまでなった人物だ。

 聡明で慈悲深く、こんな状況でも即座に把握して適切な行動を取るかもしれない。

 必ずしも敵になるとは限らないのだ。

 ルニカはまだ動かない。

 その内で何が起こっているのかは伺いしれないが、その結果は外側へと漏れ出ていた。

 ゆっくりとだが、ルニカの気配が強くなっていくのだ。

 その気配は、そこに何か強大な者がいることを、唯一無二の個性を持つ物がそこにいるのだと否応なしに伝えてくる。

 それを中心に大気が渦巻きはじめた。その大気は帯電し、小さく、断続的に輝いていた。

 それはやがて竜巻のごとく変化を遂げ、唐突に消え去った。

 音が消えた。

 ルニカは、完全に復活を遂げたのだ。

 ルニカがゆっくりと目を開く。

 その目は、憎悪に彩られていた。それと相和することはできないだろうと瞬時に確信できた。

 そして、それが知った顔であるとニルマは気づいた。


「あぁ! ルニカってあのルニカ?」


 大聖女などと言われたのですぐに結びつかなかったが、今目の前にいる女はニルマが過去にあったことのあるルニカだった。

 ルニカと目が会う。

 ルニカも目の前にいるパジャマの女がニルマだと認識したのだろう。

 途端に憎悪は霧散し、目に怯えが走った。


「ひっ! な、なんでニルマがここにいるのよ!」


 ルニカが後ずさる。

 イグルド教の聖女ルニカ。

 ニルマが今ほどは強くない頃、神滅大戦以前の小競り合いにおいて何度も殴り倒した相手だった。


「なんでもなにも。あんたの方こそ、なにほいほい降霊とかされてんのよ」

「し、知らない! 私が望んだことじゃないし!」

「おまけに大聖女なんてえらそーなもんになっちゃってさ」

「そ、それは……」


 どうやら大聖女の肩書きは自ら望んだものらしい。


「まあ、とにかく。邪法で復活したアンデッドってことなら、とりあえず倒しとこうか」

「い、いやぁああああああ!」


 ニルマが腰を落とし攻撃の姿勢を見せると、ルニカは崩れ去った。

 首が取れ、腕がとれ、細かく別れてバラバラと地面にこぼれ落ちる。

 どうやら、自らを浄化したようだ。


「あの。これは一体……」


 異常な状況に呑まれていたアンナが口を開いた。


「私と戦うのが嫌だったみたい。で、どうする?」

「……状況が把握できるまで、休戦ということにできないかしら?」

「いいよ。てか、私は戦いたくなかったんだけど」


 ニルマは改めてあたりを見回した。

 巨大ロボットが横倒しになっていた。

 ヴェルナーは頭がとれている。頭だけでもしばらく生きていたようだが今は死んでいるようだ。

 女の死体で作られた奇怪な乗り物は動きを止めていた。ヴェルナーの指示があるまでずっとこのままかもしれない。

 ルニカだったものはバラバラになっていて、ミクルマの頭部も落ちていた。顔つきはミクルマに戻っている。


「ミクルマ様の頭くっつけたら元に戻ったりしない?」

「そんなのあるわけないですわ! いえ、もしかすれば……」


 普通ならありえない。試そうとも思わないだろう。

 だが、アンナはよほどミクルマを信奉していたようだ。ニルマの馬鹿げたアイデアを、一考の余地があると思ったらしい。

 アンナはミクルマの頭部を拾い上げ、ミクルマの頭のあった部分に置いた。

 もちろん、勝手にくっつくようなことはなかった。


「うう……ミクルマ様……」

「そりゃそうだよね……ん?」


 ミクルマの頭部に変化はない。しかし、身体がぴくりと動いたのだ。


「ミクルマ様!? もしや生きておいでなのですか!」

「いや、どうなんだろ。ちょっと見てみるよ」


 ミクルマの身体を観察する。

 動いているのは腹のあたりだ。

 ニルマはミクルマの側にしゃがみこみ、服を手で引き裂いた。

 ミクルマの腹には、大きな傷跡があった。

 臍を通るように縦に大きく切られていて、そこを縫い合わせた跡があったのだ。

 そして、動いているのはその傷跡の下だった。

 中にいる何かが蠢いているようなのだ。


「これって古傷だよね?」

「そうだと思いますが……ミクルマ様がこのような大怪我をしたと聞いたことはありませんわ」

「中を見てもいいと思う?」

「それは……」


 アンナが言い淀む。

 なので、ニルマは勝手に進めることにした。

 傷跡に指を突っ込んで左右に開く。血が出ることはなく、そこには内臓も存在していない。

 代わりに入っていたのは、一冊の本だった。


「あああああああああ!」


 ニルマは素っ頓狂な大声を上げた。

 そこに入っていたのは表紙に女の顔が描かれた分厚い本。すなわち聖導経典だった。

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