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二の打ち要らずの神滅聖女 〜五千年後に目覚めた聖女は、最強の続きをすることにした〜  作者: 藤孝剛志
2章

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第40話

「ミクルマ様!」


 様子のおかしいミクルマを見て、アンナが叫ぶ。

 戦うどころではないようなので、ニルマは休戦になったと判断した。


「あんた海の底で爆発して死んだよね?」


 ニルマは気になっていたことをヴェルナーに聞いてみた。


「うん。あれは壊れた。けど、同じ物をたくさん用意してるから特に問題はないんだ」

「あぁ……なんかめんどくさいやつだ」


 ニルマはうんざりした。

 ここにいるヴェルナーを倒したとしても、またどこかから別のヴェルナーがやってくるのだろう。


「こんな辺鄙なとこで再会するってのは偶然じゃないんだよね?」

「もちろん。こっそり飛行艇に乗り込んでついてきたんだ」

「ここでなくてもよかったんじゃ?」

「ダンジョンで殺してもお咎めなしだから都合がいいよね」


 面倒なやつではあるが、周囲への迷惑を顧みずに無茶苦茶をするタイプではないようで、法を守る努力はしているらしい。


「で、私に用?」

「僕は負けず嫌いだからね。やられっぱなしってのは性に合わないんだ」

「あんたの手下で一番強いのもやられてるけど?」

「もちろん、あれ以上の物を用意したに決まってるじゃないか」

「それのこと?」


 ニルマはヴェルナーが座っている物を指さした。

 それはヴェルナーが作り上げた物なのだろう。複数の女の死体が融合した、おぞましい形をしたものだ。


「これは余った部品をくっつけただけだよ。本命はこっち」


 奇怪な乗り物の腕が、後ろにくくりつけていた物を器用に前へと差し出した。

 人程の大きさで、複雑な紋様が描かれた帯がぐるぐると巻き付けられている。

 ニルマはそれと似たような物を、海底遺跡で見たことがあった。

 今は封印されているのだろう。

 今のうちにヴェルナーを攻撃してしまえば何事も無く事態は終息するかもしれない。

 だが、ニルマはそうするつもりはなかった。

 何かあるのなら見せてみろ。そんな気持ちになっている。


「さて。聖女である君に勝てそうなのが何かいるかなと考えてみた」

「ニルマさんが聖女ってどういうことですの!? 聞いたことがありませんわ!」


 アンナが割り込んできた。

 先ほどまでは呼び捨てだったが、さんづけに戻っているあたり真面目な性格がうかがえる。


「ああ。当世の聖女が使い物にならないのはわかってるから黙っててよ」

「な!?」

「さて。海底遺跡でしてやられた僕は、ニルマくんについて調べたよ。なんでも五千年寝てたとかってふざけた話だけど、僕の実験体を殺すぐらいだ。そんなこともあるのかと思ったよ」


 ニルマは五千年前の人間であることを隠していない。

 知っている者は何人かいるので、調べればわかることだろう。


「さてそんな聖女より強いとなれば神様かな、とか思ったけど、魔神はすでにやられちゃったしね。となると、すぐに思いつくのはニルマくんと同時代の聖女だ。けれど、同じぐらいだと勝てるかわからない。だからより強い者をと探してみたら、大聖女なんてのがいるのがわかったんだよ」

「へぇ?」


 少しばかりニルマは興味を持った。

 マズルカ教はシンプルな位階体系だったので聖女に区分はなかったが、かつてのイグルド教では聖女にも上下があった。聖女のさらに上位に位置するのが大聖女なのだ。


「だから大聖女を再現してみようと考えた。けれど、さすがに五千年前の遺体なんてのは残ってない。イグルド教に残されてたのは最長でも千年前の遺体だ。まあ千年でもましな方かな、とも思ったんだけど、五千年前の聖女に関しては資料が残っていた。それもかなり詳細なものがね」

「この話、いつまで続くの?」


 少し飽きてきたニルマが聞いた。


「もうちょっとだよ、ごめんね。僕は自分の成果をちゃんと人に伝えたいってタイプでさ。で、遺体は残って無くても、大体似たような形に整えれば依り代に使えるんじゃないかと思ってね。降霊してみたのがこれなんだよ」


 ぶちり、と何かを包む帯の一つが千切れた。

 そして、立て続けに千切れはじめる。

 全ての拘束帯が千切れ、その中にいた者がゆらりと立ち上がった。

 それは古びた、ボロボロの神官服を纏っている。

 確かに、それは五千年前の聖女なのかもしれない。ニルマは、それに聖女らしき気配を感じていた。

 ヴェルナーの計画は的を射たものだろう。ニルマに対抗するなら五千年前の聖女をぶつければいい。

 だが、それには肝心の部分が、頭部がなかった。


「これでいいの?」


 さすがにこれではまともに動かないのではと、ニルマは余計な心配をしてしまった。


「よくないよ。けど足りなかったんだ」

「じゃあどうするわけ?」

「こうするんだ」


 ミクルマが両手をあげ、自らの頭部を挟み込んだ。

 そして、ゆっくり上へと伸ばしていく。

 当然、腕の動きに合わせて首がのびていく。ぶちぶちと音を立てて首が千切れようとも、ミクルマはその動きを止めなかった。


「いやあぁああ! ミクルマ様っ!」


 アンナが絶叫する。

 頭部を千切り取ったミクルマは、ふらふらと大聖女へと歩いて行った。

 そして、大聖女の首に、ミクルマの頭部をぐりぐりと押しつける。

 そんな程度のことでくっつくのかとニルマは半信半疑でその行いを見ていた。

 だが、その接合部はなじんでいく。もとからそうだったかのように、継ぎ目なくつながったのだ。

 ミクルマの身体は役目を終えたとばかりに倒れた。

 大聖女は目を閉じたままだった。

 その顔は少しずつ変化している。ミクルマだった面影はなくなっていき、大聖女の顔になっていくのだろう。

 そこに宿る魂に合わせて、身体が整えられているのだ。


「これが大聖女ルニカだよ。今、僕が持ちうる技術! 知識の全てを駆使して作り上げた最高傑作だ!」


 ヴェルナーが高らかに叫んだ。

 そして、その首が飛んだ。

 ルニカが、手刀で切り裂いたのだ。


「え?」


 ヴェルナーの頭がコロコロとニルマの足下にまで転がってくる。

 これも何かの作戦なのかとニルマは首をかしげた。


「……ちなみに、完全体の大聖女は当然僕よりも強いから、命令は聞かなくなるんだ……」

「あんた、もうちょっと考えて計画しなよ……」


 肺もないのにどうやってかヴェルナーは話しかけてきた。

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