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二の打ち要らずの神滅聖女 〜五千年後に目覚めた聖女は、最強の続きをすることにした〜  作者: 藤孝剛志
2章

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第25話

「このプレハブとかをあれで運んできたのか」


 今もいくつかの建物が建設中だった。

 作業員が巨大な船と建設現場を行き来しているので、そうなのだろう。


「そのようですね。あの大きさなら建設資材とかを一気に運んでこられそうですし」

「しっかし、空飛ぶ船は作れるのに、そこら辺を走ってるのは馬車で、剣とか弓でモンスターと戦ってるってえらくアンバランスな文明だよねぇ」


 ニルマが寝ていた間に人類の文明がどのように変遷していったのかはわからない。

 おそらくは、宇宙に避難していた人類が戻ってきた際に、何らかの事情で以前の文明をそのまま継続できる状態ではなくなったのだろう。

 人類の文明は原始的な状態にまで退行を余儀なくされたが、一部の技術や機械は残っていてそれのみ利用できる。そんなところかとニルマは想像した。


「まあとりあえず引き取り所にいこうか」


 それぞれの建物には看板が出ている。

 事務手続き、ダンジョン情報、物品引き取り所のように用途ごとに建物が別れているようだ。

 ポータルの核の交換をしに来たので、ニルマたちは引き取り所に向かった。

 プレハブ小屋だが造りは意外としっかりとしている。こぢんまりとはしているが、以前とそれほど変わりはないようだ。

 受付の前には先客が三人いたので、ニルマはその後ろに並んだ。

 すぐに順番は回ってきた。


「お疲れ様です」


 受付前の席に座ると、受付の女性が頭を下げた。

 ニルマは違和感を覚えた。そこいる女性が、神官服のような服を着ていたからだ。


「あれ? 受付の人だよね?」

「はい。臨時で代行しております。私、ユニティ聖王国より参りました、ジェニファーと申します」


 ユニティ聖王国。

 イグルド教が統治する宗教国家だ。他国が冒険者センターの運営に関与しているのは不思議だが、聖王国とこの国とは密接な関係にあるのかもしれない。


「もしかしてここの職員の人って?」

「残念ながらほとんどの方がお亡くなりになられたと聞いております。人材、機材ともにほぼ全てを失った緊急事態ということで、聖アンナ様の陣頭指揮によりやってきた次第です」

「むちゃくちゃ立派ですね。そちらの聖女様は……」


 ザマーが感心したように言う。


「え? あたしは立派じゃないの?」

「ニルマ様は場当たりに対応してるだけですけど、聖アンナ様という方は大局を見てますよね」

「う……」


 そう言われると、あまり言い返せなかった。


「はい。聖アンナ様はとても素晴らしいお方です。他の聖女様方ももちろん素晴らしい方々なのですが、聖アンナ様はこうやって我々とともに下々の者のために動いてくださるのです」

「へぇ。他の聖女様方ってどうしてるの?」

「天聖宮において、我々を見守ってくださっています」


 ――なるほど、偉そうにふんぞり返ってるんだ。


 そう思ったニルマだが口には出さなかった。


「じゃあ聖アンナ様は庶民派みたいな感じなんだ」

「はい! オーランド王国の第十八王女で、特級冒険者で、神将で、イグルド教の聖女にまでなられたお方だというのに、我々のような者にでも気さくに接してくださるんですよ!」

「お、おう……」

「属性てんこもりですね……」


 受付の女性は、聖女アンナを心の底から信奉しているようだった。

 神将についてはよくわからなかったので確認したところ、神器の所有者をそう呼ぶらしい。

 十三器の存在が確認されている完全神器の一つをアンナは持っていてるのだ。


「あ、すみません。聖アンナ様のことになるとつい興奮してしまって。マズルカ伝習会のニルマ様ですね」


 受付にある小さな機械から光が照射された。魔力波形での個人識別を行っているのだ。


「この冒険者のデータって残ってたの?」

「こちらの機材は全滅してましたので、王都に集約されているデータを持ってきて利用しております」

「王都で集中管理してるんだ。これのデータって電信とかで送れるものなの?」

「いえ。都市間は電信で繋がれていませんので、紙の書類を郵便などで送ってますね」

「紙……魔力波形って紙に書き表せるもんなの?」

「ニルマ様ですとこのようなものですね」


 ジェニファーが用紙を一枚、受付カウンターの上に置いた。

 そこには細密な幾何学模様びっしりと書き込まれている。それが何を意味しているのか一見ではわからなかった。


「符号化した二次元コードのたぐい? 技術レベルがよくわかんないな……」


 符号化には高度な数学知識が必要だろうし、それを読み取って記録する機械を作っているのだから優れた工業技術が存在しているのだろう。ならば情報送信も効率的な方法を使っていそうなものだが、そこは人力での運搬なのだ。

 何が出来て何が出来ないのか、いまいちニルマにはわからなかった。


「あ、納品に来たのに、余計なことばっか聞いてたね」


 ニルマは、ザマーが背負っているリュックからポータルの核を取り出し、受付の前に置いた。

 直径30センチほどの黒い球体で、ひびが入っている。


「おお! これはポータル核ですね。これはどちらで? 出発登録はされてないようですが」

「海の底にあったダンジョン。向かった先でたまたま見つけた」

「海の底でたまたま……場所などは発見カウンターで報告をお願いできますか。発見報酬もありますので」

「あー。うん。一応報告しとくよ」


 ダンジョンの認定には、何名かによる確認が必要になっている。

 発見報酬が得られるのは正式認定された後になるのだが、海底にあったダンジョンは盛大に崩壊していた。

 海底とあっては、残骸を確認するだけでも一苦労だろう。

 なので、発見報酬は望み薄だとニルマは思っていた。

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