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二の打ち要らずの神滅聖女 〜五千年後に目覚めた聖女は、最強の続きをすることにした〜  作者: 藤孝剛志
2章

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第24話

「この惨状をどうするつもりなんですか? 献金してもらうどころの話じゃないと思うんですが? こっちが弁償しないと駄目なのでは?」


 ザマーが呆れた様子で言う。

 美しかった庭園は見るも無惨な有様だった。

 さすがに屋敷が壊れるのはまずいと思っていてそちらには極力影響が及ばないようにはしていたが、それでも被害は甚大なものだろう。


「でも、ほっといたら屋敷が火事になってたよ?」

「そっちの方がまだましだったんじゃないですかね?」

「こっちも謝ってすまないかな?」

「ニルマ様のあれ、まったく謝罪ではないですからね!?」


 当然、騒ぎになっていた。

 屋敷の使用人たちが大勢外に出てきて、惨憺たる状況の庭園を見てざわついているのだ。


「ちょっと話を聞かせてもらえない?」

「あ、はい」


 ニルマたちは、再び屋敷に案内され、先ほどとは別の部屋に通された。応接室だけでもいくつかあるらしい。


「で?」


 全員が席についたところで、レオノーラが話を切り出した。


「できるだけ平和かつ穏便に済む方法をと思った」

「あれが?」

「ルビーさんが激怒してたから話が通じる気しなかったんだよ。戦闘になって消滅でもさせたらレオノーラの魔法に影響ありそうでしょ? だから戦わずに済む方法をと思って」

「……ルビー様を強制的に止める方法もあるにはあるんだけど……被害と切り札を切るのとどっちがよかったのか……」

『お主にできるのは、我にサファイアをぶつけてくるぐらいだろうが。炎と水の二つを失ってはコーンウェル家の被害は甚大だろう。家屋を多少損なう程度のことでごちゃごちゃとぬかすでないわ』


 ルビーもこの部屋に来ていて、宙に浮いている。

 どうやらルビーはニルマ側に立ってくれるようだ。


「まあ……庭も家も直せばいいだけですし……」

「よっ! 太っ腹!」

「あなたは反省してほしいんだけど!」

「はい……」


 さすがにニルマも意気消沈していた。やり過ぎたとは思っているのだ。


『しかし、お主何者だ?』

「マズルカのニルマ。聖女やってたんだけど、この時代じゃ認定されてないから名乗るのは微妙かな」

『聖女か……そこまでの力があるものなのか? あれは神霊と見紛うほどの力だったが……』

「ルビーさんは、五千年前ぐらいのことは知らないの?」

『今の我は百年ほどしか生きてはおらぬ』


 精霊は太古の昔からこの星に存在している。消滅してもいずれは同じ存在として復活するが、記憶の連続性はないのだ。


「五千年前だとあんな感じのやつらがいっぱいいたけどね」

「なんなの五千年前って……」

「言ってなかったっけ? 私、五千年ほど寝てて最近起きたんだけど」

「にわかには信じがたいけど……あなたのやらかしたことを見てるとそんなこともあるのかと思えてくるわね……まあとりあえずこれね」


 レオノーラは札束をテーブルの上に置いた。


「あれ、多くない?」

「30万ジルあるわ。どうせシントラとトーマスのとこにも取り立てに行くつもりなんでしょ? その分よ」

「取り立てって人聞きが悪いなぁ。でもなんで?」

「あいつらどうせ金持ってないから。とりあえず立て替えとくわ」

「そういうことなら」


 ニルマは遠慮なく札束を懐にしまった。


「で、今日のところはこのあたりでさっさと帰ってくれない?」

「そう? ちくちく嫌みでも言われ続けられるのかと思ってたんだけど」


 何を言われようと甘んじて受け入れなければならない立場だろう。解放されるのならありがたかった。


「あなた、私をなんだと思ってるのよ」

「性悪魔法使い?」

「はったおすわよ!?」

「見た目のイメージでなんとなく」

「とにかく、お爺さまが気づく前に帰ってくれない? あなたもあの惨状の張本人として紹介なんてされたくないでしょ?」

「あー、そりゃ立つ瀬ないなぁ。けど、お爺さまってこんな事態に気づいてないの?」

「お爺さまは地下にこもりっきりで魔法の研究をしてるから、気づいても上がってくるまでに時間がかかる」

「じゃあさっさとお暇させてもらおう」

「今度くるときはアポとってもらえる? いきなりこられても困るから」

「はーい」


 レオノーラも事態の収拾で忙しいのだろう。帰りの案内はなかった。


  *****


 レオノーラの屋敷を出たニルマたちは、冒険者センターに向かっていた。

 今日の外出の主な目的は、ザマーが背負うリュックに入っているポータル核の納品だ。

 冒険者センターは壊滅したが、仮設された施設で運営が再開されているらしい。


「ニルマ様……周囲に対する迷惑をよく考えましょうよ……」

「さすがにあんなのは滅多にやらないよ」


 力は一点に集中させるべきもので、無差別に発散するものではない。

 徹底してそれを身につけているニルマなので、あえてそうしようと思わない限り暴発はありえなかった。


「それにあくどい金持ちの家が多少壊れたって、世間から評判が下がることは無いんじゃないかな!」

「それでいいのか聖職者」


 冒険者センターが近くなってくると、倒壊した建物と瓦礫が多くなってきた。

 エルフは冒険者センターで大暴れしたようなので、このあたりは特に被害が大きいのだろう。

 冒険者センター前に到着したが、やはり受付などの入っていた中央棟は破壊されたままだった。

 ニルマたちは、中央棟を迂回して奥にあるグラウンドに向かった。以前、ガルフォードを懲らしめた場所だ。

 グラウンドにはプレハブ工法で作られたらしい建物がいくつか建てられていた。

 そこが仮設の冒険者センターなのだろう。

 何も無かったグラウンドに仮設の建物がある。当然そちらにも目がいくのだが、それ以上に目を引く物がグラウンドには存在していた。

 無数のプロペラを備えた巨大な船がグラウンドの奥に鎮座していたのだ。


「え? なにこれ? 飛ぶの?」

「飛ぶんでしょうね。他に持ってくる方法なさそうですし」


 街路を通れるような大きさではない。

 飛んでくるしか、ここに運び入れる手段はなさそうだった。

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