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二の打ち要らずの神滅聖女 〜五千年後に目覚めた聖女は、最強の続きをすることにした〜  作者: 藤孝剛志


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第12話

 役所を出たあと、ニルマたちは冒険者センターにやってきた。

 そこは、冒険者に関する全てを一手に引き受ける大規模な施設だ。


「でかいなー」

「訓練所も兼ねていますから」


 正面にそびえ立つ建物だけでも大きいが、その後ろにはグラウンドやら、校舎やら、訓練施設やらがあるため、広大な敷地を有しているとのことだった。

 ニルマたちは、冒険者登録を受け付けている管理棟へと向かった。

 中に入ると大勢の人で賑わっていた。

 冒険者登録受け付けにも行列ができている。

 そこに並ぶのかとニルマは思っていたが、セシリアはその列の後ろを通り過ぎて奥へと進んでいった。


「あそこで登録するんじゃないの?」

「あちらは規定年齢での登録専門の受け付けですね」


 何歳でも冒険者にはなれるが、国民の子弟は十五歳になれば必ず冒険者ならなければならない。

 この規程がなければいつまでも親たちは子供を手放そうとはしないからだ。


「で、こちらがそれ以外の冒険者登録の受け付けです」


 そちらの受付には人が並んでいなかった。


「本日はどのようなご用件ですか?」


 ニルマたちが受付の前に座ると、女性が話しかけてきた。名札によるとカシミアという名前らしい。


「はい、この二人を冒険者登録したいのですが」

「はい、少々お待ちください」


 カシミアが手元の機械を操作した。

 機械から光が照射されて、一瞬だけ三人を照らし出す。


「所有者がセシリアさん。被所有者がニルマさんと、ザマーさんですね。今回は、このお二人の登録でお間違いありませんか?」

「はい、その通りです」

「冒険者登録を行いますと、お二人は準国民となりセシリアさんは所有権を喪失いたしますが、ご納得の上でしょうか?」


 ニルマは、この受付に人がいなかった理由をなんとなく悟った。

 所有している人を冒険者登録するメリットなど何もないのだ。

 自分の子供なら十五歳まで登録などしたくないし、子供以外で所有している人物がいるなら奴隷のようなものだ。財産である奴隷をただで手放すなどしたくないだろう。

 なので、こちらの受付で登録するする人は滅多にいないのだ。


「はい」

「かしこまりました。ではその旨を了承したという書類にサインをお願いいたします」


 セシリアがサインする。

 それで、ニルマとザマーは冒険者となり、準国民となったようだ。


「セシリアさんに関しては以上で、手続きは完了となります。お帰りくださって結構ですよ」

「どうしましょう?」

「私たちはまだ手続きがあるんだよね? 時間かかる?」


 ニルマがカシミアに尋ねた。


「説明や測定で10分ぐらいでしょうか? さほどお待たせはしないかと思いますが」

「それぐらいだったら、待っててくれるかな?」

「はい、わかりました」


 この後、ポータル核の換金を行う予定だった。

 だが、セシリア一人に大金を持ち帰らせるのも不安だったのだ。


「はい。では、まずは準国民についての簡単な説明となります。こちらの冊子を元にご説明いたします」


 カシミアが冊子をよこしてきた。


  *****


「準国民と国民との違いは、不動産が買えない。人を所有できない。結婚できない。あたりですね」


 話しを聞いたザマーが大ざっばにまとめた。


「はい、そのご理解でよろしいかと」

「てことは、結婚せずにぶらぶらだらだら、無責任に生きていこう! って人なら準国民のままでもいいってことか」

「世間の風当たりは強そうですけどね」

「いつまでも準国民ですと、指導員が指導に参りますよ」


 カシミアが眉をひそめた。

 国民への昇格は、だいたい一年程度かかるのが平均的とのことだった。


「まあ、まずは国民にはなっとくかな」


 この国に落ち着くかはまだわからない。

 だが、しばらくここで暮らすなら、国民の資格を取っておく方が便利だろう。


「まず、功績値を千ポイント貯める必要があります。功績値を得る方法は様々です。所属するギルドで聞くのが一番よろしいでしょう」


 ギルドごとに得手不得手があるようだった。


「私の場合は、自動的にセシリアの教会所属ってことかな?」

「あの……私に聞かれても効率のいいポイントの稼ぎ方はお答え出来ないかと……」

「セシリアはどうやって貯めたの?」

「酒場でのアルバイトです……一日一ポイントいただけますので、三年ぐらいかかりました」

「酒場って、冒険者と関係あるの?」

「はい。酒場は冒険者さんの慰労施設扱いになりますので、わずかながらにでもポイントをいただけるんです」

「そのような方法もありますが、一度もダンジョンに行かずに資格を得ることは出来ませんよ?」


 カシミアが釘を刺してきた。

 確かに冒険者を育成するためのシステムで、戦わずに済ませるわけにはいかないだろう。


「じゃあ、一般的なのは?」


 セシリアに聞いても無駄なようなので、カシミアに聞いた。


「ダンジョンを発見するとか、ダンジョンを攻略するとかですね。そちらが正攻法です」

「じゃあ、そっちの方が手っ取り早そう。ポータル破壊だとどれぐらい?」

「そうですね。最低でも千ポイントはあるかと思いますが」

「一回で済むね!」


 ちまちま貯めるのも面倒だとニルマは考えた。

 昨日のポータル核はセシリアに譲ったので使えないが、似た規模のダンジョン攻略なら楽勝だ。


「あまり、無理はされない方がよろしいかと……」


 カシミアが苦笑する。大言壮語がすぎるとでも思ったのだろう。


「では次に神器適応率の測定です」

「それは、なに?」

「はい。神器と呼ばれるものすごい武器があるのですが、神器との相性を数値化したものですね。適応率が高いほど、より神器の力を発揮出来るんです」

「測定してどうするの?」

「10パーセントを超える方は、神将のギルドにお誘いすることになります。そちらで神器を扱う訓練を受けて頂き、完遂されますと、騎士の称号と貴族位を得られるんですよ」

「と、いうことは滅多に出てこない?」

「それなりというところですね。10パーセントギリギリぐらいですと、月に一人ぐらいはいる感じです」

「ふーん。じゃあその測定を――」

「おや? 俺が登録に来たというのに先客がいるとはどういうことだろうな?」


 測定してもらおうとしたところで、何者かがぞろぞろとやってきた。

 生意気そうな少年を先頭にした、十人の集団だった。

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