その右手の閃光は
朝日が射す。
でも、目を閉じたのは眩しかったからじゃない。
覚悟なんて、出来てない。出来てる訳がない。
怖くない訳ない。
それでも。
「この選択は、間違ってない!」
振り下ろされるであろう爪でも妄想しておくか。
その時。
轟音。
声が聞こえる。
「ナイスだ、お弟子君!」
目を開く。
五体満足の師匠が、ニヤリと笑って立っていた。
「え?あの傷は?」
「治った!」
攻撃したり、回避したりと元気に動き回る師匠。
「さっき死にかけてたのは一体・・・」
「今別に良いでしょ!」
いや良くないよキモいよ。それに、自分が今まで化け物について来た可能性が浮上して来てるから割と大事な話だよ、こっちとしては。
そんなこと考えてる間に師匠が何かトドメっぽいの刺そうとしてるし。
何か魔法覚えたり魔物を間近で見てみたりしたかったよ。まあ別に今度で良いけど。
ボケッと戦闘を見てた。なのに。
「やべ外した。」
師匠が何か言ってる。ん?
ガァアアアァ!
傷だらけの化け物が何か悪足掻きみたいな叫び声上げてこっち来てますけど。
「いやさっき近くで見てみたいとか思ったけども!」
またこいつに追われる羽目になるとは。
ろくな事は考えるもんじゃない。新たな経験を得た。でも、対価として人生を失いそう。
さっきまでの疲労や傷のせいで上手く走れない・・・あれ?
傷、無いじゃん。
もしかして自分師匠と同レベルの人外だったかもしれない。
振り向いて怪物を見据える。
身体に駆け巡るのは、自分ならどうにか出来るという傲慢、よりによってこちらを狙われた怒り、そして夜通し訳の分からない事ばかり起きている事による混乱。
今なら、何でも出来ると思った。
右手を向けて、叫ぶ。
「ふざけんな化け物がぁ!」
右手から、閃光が迸った。




