ゲームセット
互いに攻撃出来ない、そして嘘も言えない空間。
沈黙が続く。
僕は、ゆっくりと口を開く。
「攻撃の中に、精神操作は入ってるのか?」
奴は、答える。
「他人に対して精神操作系を使うのは禁止だ。ペナルティで死ぬ。」
驚きを隠せなかった。
何故なら、今奴は自分自身に対して一つルールを自主的に設けたからだ。嘘を吐けないというルールにより、今奴が僕に対して精神操作を使えば奴は自身の発言により死ぬ事になる。
それとも、そもそもルールの中にあったからそう言っても不利にならなかったのか。
「次は、こっちが質問良いか?」
僕は、小さく頷いた。
「君、名前は?」
嘘だろこいつ。
名前を教えたら即死のルールの中でストレートに名前を聞く?頭おかしいのか?
「どうした?早く言えよ。」
「やだよ。だってさっきお前言ったろ?名前書いたら即死って。」
表面上はまだ軽薄そうに振る舞える余裕が残っている。しかし、この状況で焦っているのは片方だけだった。
さらに、そこから追い込まれたのも、またこちらだった。
「名前が分からなくちゃ契約出来ないんだけどなぁ・・・。」
僕は、最後の可能性に手を伸ばした。
「嘘を吐いた奴はその瞬間に死ぬのか?タイミングを調整するとかは無いのか?」
「無い。即時死亡だ。」
告げられる無情。
こちらが名前を告げなければゲームは終わらない。しかし、名前を告げれば即死。
「さぁ、質問には答えただろ?教えてくれよ、君の名前を。」
ここで、終わりか?
良く知りもしない手段で決着を付けようとした僕が間違っていたのか?
僕は・・・
俺は・・・
勝った。
これがこいつと俺のファイナルフェイズ。宣言する名は。
「・・・スペル。」
沈黙。
「はぁ?」
リーフは随分と驚いた様子だった。
「俺は、スペルだ。名前、お前が聞いたろ?」
形成逆転。
「・・・う、嘘は良くないなぁ?」
「そうか?実際、今俺は生きてるぞ?」
「一体どうやって・・・。」
「うるせぇ黙って契約しろ。出来るんだろ?」
「まぁ、そりゃあ出来ないこともないこともないこともないというか・・・」
「出来るだろ?え?」
・
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俺はリーフと契約を結んだ。
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「うぅ・・・なんて条件だ・・・。よりによって実体化と魔法行使の一切を封じた契約なんて・・・。」
そんなぼやきが脳内にうっすら響く。
お前は左手に入ってる契約だろ、黙ってろ。
「音量2つ下げろ。」
「カーナビのラジオみたいな扱いすんな!」
そう言いながらも声量を小さくしてくれるリーフ。これがデレ期か。何か違うけど。
幻影は二度目だし、破るのは簡単だった。
外に出る。
真っ先に視界に入ったのは師匠だった。
「お弟子君!?」
心配性な師匠に、リーフを閉じ込め・・・もとい、お願いして入ってもらった左手を見せつける。
「僕らの勝ちですよ、師匠。」




