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妄想世界解放戦線989  作者: 一季 巡
第一章:転移編

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2/21

まずは・・・妄想だ。からの急転

 眠っていた。

暖かな春の陽気に照らされ、食後のインスリンもそれを後押しし、僕はとても穏やかに眠っていた。


授業中に。


「おい綾名!聞いているのか?」

「ハッ!」

「この問題の答えが分かるか?」

「はい。If I were a bird, I・・・」

「ふざけるのも良い加減にしろ!今は数学の時間だ!」

どっと笑いが起きる。だが、それも合図したかのように一斉にピタリと止まる。

そして、再び何事も無かったかのように、いっそ機械的に授業は進んでいく。


チャイムで授業は終わる。

「大丈夫?」

隣の席の夢咲が僕の顔を覗き込む。彼女はいわゆる幼馴染と言うやつで、数少ない僕の友人の一人でもある。

「いーや。まずこの学校というシステムそのものに文句があるね。何せ教師っていうのは・・・」

そこで、担任の鳴海に遮られる。

「綾名。数学担当の村山先生が第3指導室で呼んでる。」

「悪いな夢咲。ちょっと行って来る。」

「今日委員会あるんだよ?」

「すぐ戻るから!」

そして、第3指導室。

(なっがい・・・)

この先生は、一度説教が始まるとなかなか止めず、関係ない話まで持ち出してひたすらネチネチ話すのだ。

(あー夢咲と委員会行かなきゃいけないのに。)

だが、こいつを止めることは自分には不可能だ。その上で、この時間を有効活用する為には・・・


(ちょっとなんか考えてるか。)


そして、いつものように僕の妄想が始まった。

家族のこと。少ない友人のこと。小学校で才能が無いと言われ辞めたサッカーのこと。

いつもなら、この辺で周りの誰かが起こしてくれる。だが、今僕の思考に割り込む声は無い。さらにあてどなく思考を巡らせる。

定期的に新しい他人と知り合う時に、いつも上手く話せないこと。論理的思考力という言葉を押し付けられるのが嫌いなこと。

そして、夢咲のこと・・・


不意に、夢咲の顔のシルエットがぼやけた。

(・・・?)

もう一度、思い出そうとする。


だが、僕の意識はそのまま闇へ落ちていった。



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