契約
「どうやって・・・アレを破った?」
悪魔は信じられないといった面持ちだ。
余程さっきの幻影に自信があったと見える。
対して僕は、平静を装って言う。
「身体強化で殴ったら消えたぞ?」
足元が少しふらつくが、普通に立ってられる。多分、精神とやらを消耗しすぎた。
「ははっ!多分そいつは心的強化とでも呼ぶべき、君のオリジナル魔法だ。普通、身体強化ではアレを破ることなど出来っこない。」
向こうにはまだ、余裕がありそうだ。
右手に身体強化を掛けて構える。そこで、そいつは言った。
「なぁ、平和的に解決してやろうか?」
師匠はすかさず反論する。
「今更信用できるとでも?」
僕は言った。
「分かった。やろうか。」
悪魔の提案は、少し予想外だった。
「じゃあ、契約しようぜ。心的強化はするなよ?」
また、意識が飛ばされる感覚。
さっきとは比べ物にならないほどの速度で意識が薄れていく。抵抗する暇も無かった。
目が覚めた瞬間に奴が目の前に居ると気づいた。
すぐさま距離を取る。
この前師匠から、悪魔は対象の名字と名前を両手に分けて書くと対象を殺せるとは聞いていた。
後は・・・
「知ってるかもしれないが、今から契約が終わるまで、質問に嘘で答えると、そいつは死ぬ。」
無駄話は駄目だ、隙を見せてもいけない。
慎重に言葉を選ぶ。
「契約が終わるまで、両者は攻撃出来ない、で合ってるか?」
「よく知ってるな。ただ・・・」
「名前を書く行為は攻撃に該当しない。か?」
「・・・察しが良くて助かるぜ。」
さあ、契約の時間だ。




