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妄想世界解放戦線989  作者: 一季 巡
第一章:転移編

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心的強化

言葉を失う少年。

胸を駆け巡るのは、無力感。でも。

(違う。)

少なくとも、これを引きずって生きる事は間違っている。

(なら、どうしたら。)

答えは、未だ見つからない。

幼い綴は、蹲って泣いていた。

それを見た僕は・・・


・・・


僕は、何だ?

分からない。


分から・・・


意識が遠のいていく。



「彼に何をしたの。」

7つもの属性を持ちながら、目の前の怪物に手も足も出なかった憤りが言葉に滲み出ていた。

「心の中を見つめ直してもらってるのさ。具体的に言うと、そいつが表層心理の中で一番恐怖しているものをね。それを克服するまで、そいつはそのまま。」

「・・・アナタを倒せば、その術は解けるの?」

「その通り。だけど、君に出来る?」

キッと悪魔を睨みつけ、彼女は宣言する。

「何としても、アナタを倒す。」



遠のく意識の中で、声が響いた。

(じゃあ名乗りましょうか?僕はあや・・・じゃなくて、スペルです。)

思い出した。いや、忘れていたかったんだ。

僕は、スペルだ。ここでは、少なくとも綾名綴じゃない。

更に薄らぐ意識が静かに、でも確かに切り替わる。

だったら、僕には師匠が教えてくれた事がある。

上手くまとまらない意識の中、それでも気力を振り絞る。

(精神(メンタル)を集めろ。そして、意志を固めろ・・・!)

そして。

「無力な僕は終わりだ。」

心的強化(エンハンス)

視界が、白く染まっていく。



「はぁ、はぁ。まだ・・・。」

目の前の悪魔はまだ余裕がある。でも、私の精神(メンタル)は尽きかけている。

術の展開速度も、その強度も、段違い。

でも、お弟子君・・・綴さんのために、私は負けられない。

電→『紫電』

静電気の様な音を鳴らす、鮮やかな紫を身に纏う。

「無駄だって言ってんだよなぁ。」

『闇』

黒い球体がいくつも浮かぶ。

黒い球体を睨み、右手を構える。私の最高速、かつて「紫」の色素魔導師に教わった、紫の光を、真っ直ぐに突き出す。

今にも互いの術がぶつかる時、黒い球体が消え、爆発が起きた。

穴の空いた悪魔の身体の残骸に、さらにダメージを与えるべく右手を叩きつける。

煙が晴れた先、2つの影が見えた。

「スペル君!」

彼は、不敵な笑みを浮かべて悠然と立っていた。

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