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妄想世界解放戦線989  作者: 一季 巡
第一章:転移編

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17/21

トラウマ

ここは・・・どこだ。

分からない。何も。

手足どころか五感全てが曖昧だ。

しかし、何かが鮮明に見えてくる。

何かが・・・。



「おじさん!」

「俺はまだ40代だ。」

僕は、声を上げそうになった。いや、多分声が出せないだけだと思う。

「おじさんじゃん!」

「その通りだ。」

ケラケラと屈託のない表情で笑う少年。僕だ。そして、昔の自分が。

叔父と、話している。

何年も前の話だ。

傍観者としての視点から、ただ僕の意識だけがそこにはあった。

この日。このやり取りは、今でも忘れられない。

特段の記念日とかじゃない。正直正確な日付けは忘れてしまった。

でも。

(僕がこの日を忘れる事は決してない。)

「じゃあ、ちょっと出て来る。」

「おじさんいつ帰ってくる?」

「・・・すぐに分かるさ。」

そう言って、叔父が家を出ていくのを、ただ眺めていた。

心が、納得していた。これは、現実ではない。

今僕が走っても叫んでも、彼が帰ってくる事はない。

僕は、まだ10歳になったばかりのその少年の隣に居る事にした。小さい僕は何をしていたっけ?

(真実の離婚)

とんでもないタイトルの小説を書いていた。

(こんな事してたっけ、僕。)

一心不乱に原稿用紙を埋めていく少年。

失ったはずの情熱が、その瞳にはあった。だが、僕は知っている。

その光が、後数時間で消える事を。

それは、あっという間だった。

すっかり外は暗くなった。

固定電話が鳴る。

少年は、受話器を取る。

「もしもし、綾名です。」

「こちら県立総合病院です。綾名創一さんのお宅でしょうか。」

「そうです。おじさんがどうかしたんですか?」

「・・・亡くなりました。」

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