その黒い意思は
昼下がり。
心地良い陽射しの中。
「何昼寝しようとしてんですか師匠。ブランケットまで使って。」
レジャーシートを広げて寝転がったと思ったらブランケットをどこからともなく取り出した師匠。必死に引っ張る。
だがこの芋虫、意外に抵抗してくる。
「やだ!久しぶりの外なんだもん。それにわざわざ寿命を減らしてるんだ!楽しんだって文句ないだろ、弟子!」
ブランケットを引っ張りあう。
「都合のいい時だけ弟子呼ばわりならこっちだって!師匠の癖に弟子を放っておいていいのか!?」
今度はテーブルクロス引きの様にレジャーシートを奪えないか試してみる。
「違うの!ただ今ちょっとお昼寝がしたいだけなの!」
・・・いつの間に杭で固定してたんだ。小学校の運動会じゃないんだから。
杭を抜こうとする。抜けない。
「残念。私には土属性もあるからね。簡単に抜かれちゃ困る。」
スッとブランケットを奪う。レジャーシートにしか集中してないからだよ。
「あ!待て弟子!」
くるりと後ろを向いて走り出す。
「待って〜!」
後ろから悲痛な叫び声が聞こえる。知ったこっちゃない。
無意味な鬼ごっこは、しばらく続いた。
「「はぁ、はぁ。」」
息を切らした僕たちは、夕暮れの中を歩いていた。
「師匠、精神は大丈夫ですか。」
「弟子に反逆されたせいでボロボロ。」
「そっちじゃなくて魔力的なやつですよ!」
「分かってるよ。まあまだ持つよ。でも、今夜は地下に空洞作ってそこで寝泊まりで良い?戦闘はあまりしたくない。」
「分かりました。」
「へぇ。戦いたくないってのか。」
「何でそんな戦闘狂みたいな・・・」
足を止める。平然と話し掛けてきた、師匠によく似た声。
「残念だったな。昼間でも、悪魔は動く。君たちの回復速度を上回るDPSが出せるんだよ。」
黒いシルエット。背丈は80センチくらいで背中の羽で浮いている。
雷→雷光→→閃光→→剣閃→→『聖剣』
師匠が黒いシルエットに斬りかかる。
ひらりと躱したそいつを見て、師匠は言った。
「こいつは悪魔。この世界の住民が、前を向いて生きる事を諦めた成れの果て。逃げなさい、お弟子君。」




